トヨタから秘書提供の代わりに“税金還流”する直嶋経産大臣 国会議員「公設秘書兼業」全リスト
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秘書兼業“税金還流”額ワースト5議員。 |
- Digest
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- 兼業の必要がない水準が国費で払われている
- 閉ざされた公設“秘書兼業”情報
- 公設“兼業秘書”124人、報酬6億円超
- 兼業秘書“税金還流”ワースト1はトヨタ直嶋経産相
- ワースト2もトヨタ族議員
- ワースト3:国民新・松下忠洋氏
- ワースト4:外務省から受注、民主・阿久津氏
- ワースト5三菱重工で“税金還流”
- 教授、弁護士兼業で年収2600万円
- “脱税企業”から兼業報酬、民主・牧義夫議員
- “黒い献金”も受領
- 「言わなければいけないの?」
- 労働者と隔絶した“労働貴族”な秘書たち
- 報酬額1位は民主・石田勝之氏
- 「失業手当」「退職金」も手厚く支給
- 09年総選挙時の退職金570人計19億8千万円
兼業の必要がない水準が国費で払われている
衆参の国会議員計722人は、国費から給与が支払われる「公設秘書」を、3人つけることができる。「政策秘書」「第一秘書」「第二秘書」の3人だ。
国会法によると、政策秘書とは「主として議員の政策立案及び立法活動を補佐する秘書」のことで、第一秘書と第二秘書は「議員の職務の遂行を補佐する秘書」である。
このように一応、役割が分かれている建前だが、実体はどの公設秘書も同じような仕事をしていることが多い。むしろ最大の違いは、給与の格差にある。
公設秘書の給与は税金で賄われる。金額は、秘書の種類と、年齢や勤続年数で異なるが、衆院によると、一番給与が低いのは「23歳以下で公設秘書の経験ゼロ」の秘書。一番高いのは「公設秘書の経験25年以上で49歳以上」の秘書だという。
衆院への取材に基づき、このレンジで各秘書の年収を計算した。すると「月給」は、政策秘書が36万5900円~54万4200円。第一秘書が34万7500円~53万6600円。第二秘書が26万6600円~39万9500円となる。
この月給に「地域手当」なるものが、給与の17%分加算される。
そして「期末手当・勤勉手当」(ボーナス)が6月と12月に支給される。年間ボーナス額は、給与の4.15倍である。
さらに、「住居手当」が最大、月2万7千円支給。さらにさらに「通勤手当」がなぜか「一律月3万円」支給される。
これらを合算して弾き出された実質的な年収は、以下の通りとなる。
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このように政策と第一は特に高給だ。にもかかわらず、最も兼業の多いのは実は年収1000万円クラスで生活が保障された第一秘書や政策秘書の面々だった。
閉ざされた公設“秘書兼業”情報
国会議員の公設秘書の兼業は法律で「原則禁止」されており、国会議員が、支障がないと認めて許可した場合のみ、例外的に兼業ができることになっている(つまり国会議員が許可すれば兼業OKというザル法だ)。根拠法は以下の条文。
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公設秘書が兼業した場合は、永田町の衆参の事務局でのみ閲覧できることになっている。ちなみに、閲覧文書はなんとコピーもとれない。しかも衆院の場合は情報公開制度があるのに、肝心のこの閲覧文書は情報公開対象外となっているので、書き写さねばならない。
情報公開できない理由を衆院文書課はこう説明する。
「衆院の情報公開の規則を定めた文書には『法令に別段の定めがあるとき』には、行政文書を開示しない、とあるためです。公設秘書の兼業届は、公開する、と法律で定められているので、不開示に該当するのです」
意味不明であり、なんとも釈然としない規定だ。本来、すべてWEBで公開して当然の情報なのに、あえて国民に交通費と時間を浪費させねば閲覧させないという、政治家の後ろめたさをアリアリと感じさせるシステムだ。政権交代してよくなるかと思いきや、一向に改善する気配もない。これだから政治家は信用ならない。
そこで筆者は、秘書兼業文書のデータを1つ1つ書き写し、間違いのないよう何度も校正して、兼業の実態を調べていった。
公設“兼業秘書”124人、報酬6億円超
こうして衆参の秘書兼業の実態を調べたところ、秘書兼業がわんさかあることがわかった。ただし、中には報酬を得ていないNGOなどの団体役員などもいた。そこで、「報酬を伴うもののみ」を秘書兼業と定義して実態を調べたところ、衆院79人、参院45人、計124人の公設秘書が計154の兼業先から、トータルで年間6億6047万円を稼いでいることがわかった。
政党別にみると、民主党98人、自民党18人、みんなの党4人、国民新党1人、共産党1人、改革クラブ1人、無所属1人となる。民主党が圧倒的に多いのは、まず議席数を大量に確保していることによる。第二に、秘書経験ゼロで社会人から公設秘書になったばかりの人が多く、前職とかけもちになったまま、という事情もある。第三には、後述のように兼業を当然と考えている節がある“労組族”議員が多いことなどが挙げられる。
全124秘書の兼業の実態はどうなっているのか。それを知るため、筆者は「兼業先の法人の概要」、「兼業先の役職、仕事内容、勤務先、勤務時間」等を全秘書にFAXで質問して集計した。それが「衆参“秘書兼業”全リスト(2009/12/22~2010/2/3調査)」(記事最後からダウンロード可)だ。その中で特に問題のある“兼業秘書”を以下、順にみていこう。
兼業秘書“税金還流”ワースト1はトヨタ直嶋経産相
数ある秘書兼業のなかでも特に悪質なのは、税金還流を伴う秘書兼業だ。これに議員の「職務権限」が伴えば、なおのこと悪い。そこで、国から補助金や委託費、入札などの形で収入を得ている法人から報酬をもらっている議員秘書をピックアップして、議員ごとに金額順に並べたのが、画像1の「兼業秘書“税金還流”ワースト5」だ。
ワースト1は、直嶋正行経産大臣。秘書2名はともに、全トヨタ労働組合連合会、トヨタ自動労働組合と、そこかからの資金で成り立っている政治団体A、Bから報酬を得ている。トヨタ丸抱えだ。
トヨタは国策の「エコカー減税」「エコカー補助」により、プリウスを「日本で一番売れる車」にすることができた。車が売れ、トヨタが儲かり、トヨタ労組がデフレ下にもかかわらず高賃金を維持し(デフレ下での定昇維持は相対的な賃上げを意味する)、組合費が直嶋氏の事務所に秘書給与という形で流れる。つまり税金が還流されているわけである。
しかも、エコカー減税・補助の決定権者は、ほかならぬ直嶋経産相だから悪質だ。職務権限を持つ政治家に秘書というワイロを2人も提供する代わりに減税や国費による補助金支給という便宜を図ってもらう。刑法上の「収賄罪」の構図そのものである。
その直嶋の秘書は、一体、秘書以外に何をやって600万円もの報酬を得ているというのだろうか。直嶋議員事務所は次のように説明する。
「役職名は全トヨタ労連が主査、トヨタ労組は専門部員となります。仕事内容は政策に関するコンサルティング、議会状況や動向の情報提供等。勤務時間帯は主に秘書業務の時間外・休日で対応しているので、差し支えありません」。
つまり、この2人の秘書は、現役の労組専従職員であり、現役のトヨタ自動車の正社員ということだ。トヨタの下請けで泣きをみている中小企業をしり目に、片手間で年収600万円とは、いいご身分である。
ワースト2もトヨタ族議員
ワースト2位も、トヨタ。民主党の古本伸一郎・財務大臣政務官だ。昨年6月の記事にある通り、同氏自身が、トヨタの権益拡大のために国会活動をするエージェント的な存在。直嶋氏と全く同様の構図で、トヨタ労組とトヨタ系政治団体が504万円を秘書の東氏に支払っている
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画像2:上は私大教授、弁護士を兼業して2,600万円の報酬を得ている政策秘書を持つ、民主党・横山北斗議員。下は、脱税企業に兼職している民主党・牧義夫議員。
画像3秘書兼業“労働貴族”議員リスト
画像4秘書兼業報酬額上位20
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←政権中枢ポスト議員のうち補助金,公共事業などの形で税金もらってる企業で兼業する秘書のうち金額の多い順からワースト5(タグ参照)。落選中元議員を含めると自民党の兼業秘書の方が多いという点に留意。
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読者コメント
ETCもだよ、協豊会企業への天下りと癒着。
ETC関連団体に奥田さんとか豊田さん入っているよ。
今はやっている労組からの裏金問題
関係あるかも知れませんね。
民主党は労組とつながりがふかいから・・・・。
直嶋!!もう辞めろ!
金 貯まったただう!
御用聞きはもういらない!!
これは見事な企業との癒着・・。高速道路無料化政策(厳密には一部ですが)が日本国においてすんなり成立したのが分かったように思います。
記者からの追加情報
お詫びして訂正いたします(佐々木奎一)
本文:全約9,400字のうち約5,700字が
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