客の苦情に内容証明で提訴予告 大手法律事務所「ミライオ」の“上から目線”ぶり
![]() |
「ホームロイヤーズ」時代のパンフレット。債務整理の着手金がサラ金・クレジット会社1社あたり4万2000円、過払い報酬21%、減額報酬5・25%などの費用は決して安くはない。 |
◇名誉毀損訴訟ちらつかせる「内容証明郵便」
「ミライオは本当に債務者のことを考えてやっているのか疑問です。もし知り合いが債務整理を頼もうとしたら私は『やめろ』と言いますよ。サラ金から過払い金を取り返すくらい自分でやれるってわかりましたから」
そう話すのは高松市の男性Yさん(51歳)だ。現在アルバイトで生計を立てている。
今年5月、彼にあてて1通の内容証明郵便が届いた。ミライオ代表の西田研志氏からだ。ワープロ打ちA4版5枚にわたる長文の最後にはこう書かれていた。
〈仮に、党派的なグループが、多重債務者問題に真剣に取り組んで、救済をしてきた当事務所を攻撃し、救済をやめさせる意図のもとに、このような言われのないクレームをでっち上げたのだとしたら、毅然とした法的措置をとらざるを得ません〉
無論、ミライオを攻撃する意図などYさんにあるはずがない。「党派的なグループ」などといわれても何のことかわからない。クレームをでっち上げたというのもひどい言い方だ。疑問を感じたから指摘しただけなのに「毅然とした法的措置」というのは、まさに逆ギレ、客商売とは思えない高飛車な態度だった。
どうしてこんなトラブルになったのか。発端は2年前にさかのぼる。
◇きっかけはテレビCM
ちょうど2年前の2008年夏、Yさんはサラ金数社の借金が返せなくなって困りはてていた。勤めていた会社のリストラなどが原因で生活費に困り、サラ金に借りて資金を回しているうちに行き詰ったのである。どこか相談先はないものか。悩んでいたYさんに家族がこう助言を与えた。
「テレビCMで宣伝している『ホームロイヤーズ』に頼んで債務整理してもらったらどうだろうか」
Yさんは家族の助言にしたがうことにした。ミライオに電話をかけたのは約2ヶ月後の2008年10月である
「ミライオは本当に債務者のことを考えてやっているのか疑問です。もし知り合いが債務整理を頼もうとしたら私は『やめろ』と言いますよ。サラ金から過払い金を取り返すくらい自分でやれるってわかりましたから」
そう話すのは高松市の男性Yさん(51歳)だ。現在アルバイトで生計を立てている。
![]() |
週刊誌や報道番組に“口止め料”として積極的に広告・CMを出している |
〈仮に、党派的なグループが、多重債務者問題に真剣に取り組んで、救済をしてきた当事務所を攻撃し、救済をやめさせる意図のもとに、このような言われのないクレームをでっち上げたのだとしたら、毅然とした法的措置をとらざるを得ません〉
「毅然とした法的措置」とは名誉毀損などでYさんを訴えることらしい、と前後の文脈からわかる。穏やかではない話である。しかしYさんはミライオに対して不当なことをしたつもりは微塵もない。
後に詳しく述べるとおり、ミライオに債務整理を委任した結果、いくつか納得のいかない事態に直面した。約1万4000円の過払い金を回収するために10万円以上の経費が使われたというのも一例だ。疑問点を手紙に書いて説明を求めることにした。なんどかやり取りを繰り返した。そのうちに届いたのがこの内容証明郵便だったのだ。無論、ミライオを攻撃する意図などYさんにあるはずがない。「党派的なグループ」などといわれても何のことかわからない。クレームをでっち上げたというのもひどい言い方だ。疑問を感じたから指摘しただけなのに「毅然とした法的措置」というのは、まさに逆ギレ、客商売とは思えない高飛車な態度だった。
どうしてこんなトラブルになったのか。発端は2年前にさかのぼる。
![]() |
「CMにだまされた。ミライオに頼むんじゃなかった」と不快な経験を語るYさん。自分で過払い金の請求をすればよかったと後悔する。西田弁護士に委任していたつもりだったが、じつば別の弁護士だったと後に知る。![]() |
ちょうど2年前の2008年夏、Yさんはサラ金数社の借金が返せなくなって困りはてていた。勤めていた会社のリストラなどが原因で生活費に困り、サラ金に借りて資金を回しているうちに行き詰ったのである。どこか相談先はないものか。悩んでいたYさんに家族がこう助言を与えた。
「テレビCMで宣伝している『ホームロイヤーズ』に頼んで債務整理してもらったらどうだろうか」
「ホームロイヤーズ」は当時頻繁にテレビCMを流していた弁護士法人である。Yさんも聞き覚えがあった。
代表は西田研志弁護士。その後「弁護士事務所MIRAIO」と名称を変えた。現在は弁護士法人としての法人格はない。なお、本稿では以後「ミライオ」と統一して記すことにする。Yさんは家族の助言にしたがうことにした。ミライオに電話をかけたのは約2ヶ月後の2008年10月である
この先は会員限定です。
会員の方は下記よりログインいただくとお読みいただけます。
ログインすると画像が拡大可能です。
- ・本文文字数:残り6,244字/全文7,499字
Yさんの問いあわせに対してミライオから送られてきた債務整理の内訳。サラ金業者から回収した過払い金は約164万円、うち約80万円ものお金を報酬や経費名目でミライオが取った計算だ。「経費」10万9000円は、わずか1万4000円ほどの過払い金を回収するために福山と東京を3往復した旅費だった。
ミライオと契約したYさんがまず指示されたのは着手金の送金だった。なけなしのアルバイト収入から毎月2万円、3万円と払ったが、連絡は途絶えがちで債務整理の経過もよくわからず不安に駆られたという。
公式SNSはこちら
Twitterコメント
はてなブックマークコメント
facebookコメント
読者コメント
過払金を自分で請求して、同じ結果がでるほど債権者は甘くありません。訴訟しない限りね。借金清算できたらできたで文句を言う。この件にかかわらず他人任せで結果論で文句を言う人は甘いと思います。
ホームロイヤーズ時代から弁護士会の規約を平気で破るとかしてたし、少し頭がおかしいというか利益にアグレッシブなんだね。
返済能力を超えた借り入れにも問題は有るが、利息金利にも問題あり。そこをビジネスにしてしまう弁護士はさらに問題。
弁護士が都市部に過剰気味で、過疎地には不足している。
利息上限規正法、借り入れ規制が行われた事から、「過払い返還」を専門としていた弁護士・弁護士事務所は「次」は何を弁護士業とするのやら。
社会悪の根絶が本来の弁護士の役割と感じた次第。
地方自治体に法律相談会があるので、担当の弁護士に相談し、事を進めるのが一番ですね。
商工ファンドCMの次はサラ金CMで、パチンコCM、そして悪徳弁護士CM被害か。
電通の罪は深い!
元債権者の自分からすれば、ミライオもミライオだけど、Yさんも、そんな理由で借りて、返せる筈無いじゃない。
借りるって意味を分かってない人が多い様に思いますね。
記者からの追加情報
会員登録をご希望の方は ここでご登録下さい
新着のお知らせをメールで受けたい方は ここでご登録下さい (無料)