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ポスト戦後のキャリア論-5 動機を顕在化するには②

情報提供
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「キャリアアンカー」の「キャリア指向質問票」

前回まで、動機を顕在化するとはどういうことなのか、を述べてきた。すなわち、「登る山」を決めるために、人生最期の日を意識し、内発的動機を理解し、人生の目的を文字にしてみる…。さらに、そのサポートとなりそうなのが、世界中で開発されてきた動機の診断ツールのたぐいである。代表的なものを、5つほど説明しよう。

Digest
  • 動機を知るための診断ツール
  • ライフストーリー分析
  • 友人、先輩、同僚に聞く
  • 働くなかで「動機のツボ」を見つける
  • 好きなこと≠動機を満たす仕事

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動機を知るための診断ツール

①キャリパープロファイル

米国キャリパー社が、心理学を応用して開発した『キャリパープロファイル』を用いて、個人が自分を知り、適職を発見するためのカウンセリングを行っている。21言語、39カ国に対応。キャリパージャパンによると、プロファイルをもとに個別の法人向けに細かく作り込むため、個人には非対応(2010年9月現在)。影響力、復元力、社交性、好印象欲、感謝欲、徹底性、自己管理、外的管理、切迫性などといった切り口で、動機を分析する。

②MBTI(Myers-Briggs Type Indicator)

ユングの心理学的タイプ論の考えをもとに開発され、米国で普及。初版が1962年の完成。性格を16 のタイプで考える。日本MBTI協会によると、世界24カ国語に翻訳され、45カ国以上で利用されている(2010年9月現在)。

③エニアグラム

1970年代から、米国において精神医学や心理学の研究者が研究を重ねてきた性格理論。人間には以下の9つの性格タイプがあり、すべての人はそのうちの一つに当てはまる、としている。1「完全主義者」、2「献身家」、3「達成者」、4「芸術家」、5「研究者」、6「堅実家」、7「楽天家」、8「統率者」、9「調停者」。

ウェブ上にあるツール(90問に答える)でやってみた私の診断結果は、タイプ5の「研究者」だった。この本を書いている時点で、そういう志向は確かにある。職業適性は、科学者・哲学者・プログラマー・会計士・コンサルタント。有名人でいうと野村克也・小泉元総理・湯川秀樹。いずれも思い当たる節はあり違和感はない。

④キャリアアンカー

これは米国の心理学者エドガー・シャイン氏が提唱する「長期的な仕事人生の拠り所」のこと。アンカー(=船のいかり)というだけあって、「組織や仕事が変わっても、自分として絶対に捨てたくないコアな動機、価値、能力のセルフイメージ」を指すという。

『キャリアアンカー-自分のほんとうの価値を発見しよう-』(エドガー・シャイン著、白桃書房)の説明によると、「そのひとのパーソナリティの階層上で最上位に位置づけられる、たった1つのセット(才能、価値観、動機からなるセット)がキャリアアンカーです」とある。

キャリアアンカーは次の8つ。「専門・職能別コンピタンス」「全般管理コンピタンス」「自律・独立」「保障・安定」「起業家的創造性」「奉仕・社会保障」「純粋な挑戦」「生活様式」。それぞれの人は、その内なる心に、どうしてもこれだけはあきらめたくないと思う際立って重要な領域を持つ、という考え方で、その領域を示すラベルが、その人のキャリアアンカーになるそうだ。

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「キャリアアンカー」集計表

同書の「キャリア指向質問票」に沿って答えていくと、判定が下る。質問はたとえば「複雑な組織を率い、大勢の人びとを左右する意思決定を自分で下すような立場を目指す」に対して、「全然そう思わない」(1点)から「いつもそう思う」(6点)までの幅で記入していく。これが40問続く。どう感じるか、どう思うか、何を目指すか、という質問なので、個人の動機と価値観が判定されると考えてよい。できるか否か、得意かどうかは問われないから、能力の判定ではない。

結果、私が一番高かったのは、突出して「奉仕・社会貢献」(7.4)だった

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「R-CAP」(RecruitCareerAssessmentProgram)職業適性診断のテスト一部

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