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ポスト戦後のキャリア論-9 望む仕事内容に就くには①

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40代でも採用される人とは

仕事をしていくなかで、自身の「動機」と「能力」は分かってきた。そこで問題となるのが、その交差するエリアで、どうやって仕事を得ていくか、である。本章では、具体的に、いつ、何を考え、社内外でどう動いていくべきかについて述べる。

Digest
  • くじの当り外れは自分にしかわからない
  • 40代でも採用される人とは
  • 30代半ばがリミットな訳
  • 氷河期世代は爪を研げ
  • コンサル会社(27才~)
  • 金融業界へ(31才~)

『35歳までに読むキャリアの教科書』目次一覧へ

くじの当り外れは自分にしかわからない

最初の仕事はくじ引きである。最初から自らに適した仕事につく確率は高くない。得るべきところを知り、向いた仕事に移れるようになるには数年が必要である。われわれは気質や個性を軽んじがちである。だが気質や個性は、訓練によって容易に変えられるものではないだけに、重視し、明確に理解することが必要である。

――ドラッカー『プロフェッショナルの条件』(ダイヤモンド)

ドラッカーのいう「気質や個性」とは、本書で使っている言葉でいえば「動機」と「才能」である。いずれもその人独自のアイデンティティーを形成するもので、基本的に変化しない。だから、くじ引きで「当り」を引けなければ、つまり、動機とも異なり、才能も伸ばせないと思ったならば、自分から積極的に職場を移って、仕事内容を調整していくしかない。

その判断基準は、世間の評判や給料の高さといった「外発的な動機」を満たすものであってはならない(第4章参照)。世の中には、自分自身ではない何かに振り回されて、キャリアを棒に振っている人が多い。人気企業の社員ほど、そして給料が高い企業の社員ほど、外発的動機が満たされることを理由に辞められないまま、気がついたら偽りの人生を送っている、というケースが多く見られる。

「コア動機(=内発的動機)」と「コア能力(=才能)」以外を判断基準にすべきではないし、それを判定できるのは、自分だけだ。実際、ケース②のBさんは世間的には人気企業の旅行会社を3年目に辞めたし、ケース④のCさんも給料の高い外資証券を1年で辞めているが、2人にとっては正しい選択であり、両者とも何らの後悔もしていない。

40代でも採用される人とは

望む仕事内容が現在からかけ離れている場合には、大胆なキャリアチェンジ(職種も業種も変える)が必要となる。これは第2章で述べたとおり、日本ではポテンシャルが過大評価される20代の間でなければ難しい。したがって、安穏とはしていられない。改めて図で説明すると、右記のようになる。

逆にいえば、「稼げる力」を継続的に増強し続けられる人は、何才になっても雇用不安はない。たとえば40才にもなれば、少なくとも業界内では名前が知られているくらいの存在になっていなければいけない。コンサル業界では、シニアマネージャークラスになるには、その分野の専門家として本を出したり雑誌に寄稿するなどの定量的な実績が求められる。

そうやって、歳とともに、右肩上がりで継続的にキャリアを積めるならば、『会社は2年で辞めていい』 (幻冬舎新書)の著者、山崎元氏のように、40代後半になっても11回目の転職ができる。

だが、それは多くの人にとっては現実的ではない。人間の能力は若いときは誰でも伸ばせるが、図の「人的資本のポテンシャル曲線」で示しているとおり、30代以降に急激に衰えていく。

ポテンシャルが下がるなかで、稼げる力を増していける人というのは、稀に出現する一部の超優秀で勤勉な人だけだ。私が属するジャーナリスト業界でいえば、40代以降も稼げる力が向上し続けている毎日新聞出身の佐々木俊尚氏などがそうだが(むしろ図でいえば左上に向かって反り上がる感じ)、並外れた自己統制力で、ちょっとマネできそうにない。

したがって、ほとんどのビジネスパーソンにとっては、「稼げる力」が、企業が採用したいと思うエリアにまだ収まっている30代半ばくらいが、転職のリミットということになる。ここを過ぎると、ポテンシャルもなくなる、歳相応の稼ぐ力もなくなる、という二重苦で、おまけに厳しい日本の解雇規制によって労働市場がロックインされて人材が固定化されるという政策面からの三重苦まであるから

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