トヨタ系ベアリング会社・光洋熱処理で鮮やかな偽装派遣が発覚 団交16回拒否で逃げの一手
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違法な派遣をされたうえに解雇された對馬純さん。故郷青森を出て10年間、トヨタ関連の仕事をしてきた。 |
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- 派遣社員が整理解雇
- 14人中、契約書あったのは6人だけ
- 「偽装派遣の隠れ蓑に当社は利用された」と怒る派遣会社社長
- 違法を語る営業日誌も
- 人員配置・解雇決定・休日日変更などすべて光洋熱処理の指示
- 「会社が労働委員会に虚偽報告」と労組
- 窮乏する解雇された人たち
派遣社員が整理解雇
それは突然のことだった。2008年12月、トヨタ系の光洋熱処理㈱で働いていた對馬(つしま)純さん(当時38歳)ら派遣社員が、社員から説明を受けた。
「減産のために労働時間を短くするしかないので、シフトを変更する」
この時点では、まだ事態をのみ込めず光洋熱処理の社員に言われたままになっていた。日本全国で派遣切りが進められ、職と住居(寮)を多くの人が失い、東京をはじめとして各地で“派遣村”という臨時救援体制が取られる直前のことだった。
「減産を理由に休業を命じられ、時給1000円の私たち派遣社員は、アパートの家賃を下回る収入になってしまい、これは大変なことになる、と思いました。これから先どうなるんだろう…と」
不安を感じた對馬さんは、年明けの1月に、個人でも加入できる労働組合「ユニオンみえ」に入り、所属していた派遣会社アドパーツ㈱と団体交渉を開始したが、09年2月28日、光洋熱処理にいた派遣労働者14人全員が整理解雇されてしまった。派遣先の光洋熱処理㈱は、今にいたるまで16回も団交を拒否している。
しかし、これまでの交渉によって、トヨタグループでは最も歴史のあるジェイテクト(1921年設立)とその連結子会社・光洋熱処理による、絵に描いたような偽装派遣の実態が暴露される結果になっている。
光洋熱処理は、ジェイテクトの連結子会社で、トヨタ車などのベアリングやステアリングの熱処理加工を業務としている
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ユニオンみえの指摘で社内調査したところ、違法な実態が明らかになった。その結果を報告した派遣会社アドパーツ・宮本正明社長名の文書。解雇された労働者らの主張をほとんど認める内容であり、派遣先の光洋熱処理㈱が派遣労働者を全面的に管理していたことがわかる。
派遣会社アドパーツのB所長が業務日誌から抜粋して作成した会社宛ての報告書。「工場長」と記載してあるのは、派遣先・光洋熱処理のA部長である。派遣されているはずの労働者の配置から解雇までA氏が具体的に指示していることが明白に書かれている。
光洋熱処理に直接雇用と解雇以降の賃金支払いなどを求めて抗議する労働者と支援者たち。トヨタグループの老舗ジェイテクト工場敷地内に同社はあり、入口も同じで、派遣労働者たちはジェイテクトの食堂で昼食などを採る。下の書類は土地謄本で、光洋熱処理の土地はジェイテクトの前身・光洋精工所有となっている。
2回目に出された是正指導書。
二回目の改善報告書。経済的に大変で、解雇された人の契約を更新するのはできないとしている。ところが、別の派遣会社から来ている3人を契約更新し、直接雇用(期間工)にした事実が発覚したため、この報告は虚偽だと「ユニオンみえ」は主張している。
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