ビクター「名ばかりフリーランス」事件 個人請負の労働者性争い二転三転、最高裁が再審命令
ビクターサービスエンジニアリングで出張修理の個人請負代行店として25年以上働く山口則幸氏(実名、54歳)。全日本金属情報機器労働組合(JMIU)大阪地方本部JMIUビクターサービス支部ビクターアフターサービス分会の会長。8年に渡って裁判闘争を続けている |
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朝礼に出席命令、「ハイ、オはようございます」
山口氏は、1978年に都内の私大を卒業後、印刷会社に就職。1984年3月にその会社を退職後、求人雑誌をみて、ビクターサービスエンジニアリングが求人を出していることを知った。契約形態は、社員ではなく「個人代行店」と書いてある。「個人代行店」とは、独立の個人事業主として、個人で仕事を請け負うこと(=個人請負)、つまり、フリーランスという意味だ。
個人請負は昨今、アルバイトを含む直接雇用の労働者に比べ会社側の負担が軽い(報酬を不利益変更できる、雇用責任がない、社会保障負担がない…)ことから、あらゆる業種で増える傾向にあり、その労働者性をめぐる争いも目立つようになった(「すき家」のゼンショー事件など)。
ビクターサービスエンジニアリングは、ビクター製品の修理・保守業務をする会社である。山口氏は、大学では工学部電気科電子コースを専攻していた。そのため、「自分の学んでいたことが生かせる、興味を持っている分野の仕事ができる、しかも社員ではないので比較的自由に自分の時間がとれる」といった思いから、応募。その後、筆記試験と面接試験を受け、約4か月間の研修を経て、同年8月に契約した。契約期間は1年間。2年目以降は、署名、押印もなく自動更新となっていた。
個人代行店、つまりフリーランス・フリーランサーとは、「自由契約者。特定の会社に属していない記者・俳優・歌手など。フリー」(集英社『imidas』より)である。
だが、個人代行店の実像は、「名ばかりフリーランス」だった。例えば、こんなことがまかり通っていたという。
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上からビクター社員モットー、従業員行動綱領、個人代行店の名刺、作業服、名札
会社と個人代行店の交わす契約書
上から、従来の委託料覚書、改定後の覚書、延長通知
労組結成通知、会社への要求書
「ビクターサービス支部」ののぼりを掲げる山口氏。12年11月27日、都内の水天宮で開催の「許すな!『解雇自由化』ブラック企業のメダリストIBMの大量指名解雇に反撃する大集会」(主催:全労連/東京地評/JMIU/JMIU日本IBM支部)にて
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労務担当者は何をやってたんだ?
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読者コメント
自分自身で理解、納得してから契約すべき。色々なリスクを理解せずに契約した本人が悪い。嫌なら初めから契約しなければいい。腕がよければ他から仕事を請けることもできるだろう。できないという事は、個人請負の仕事にこの人が安住してきたということ。生活に困ったからゴネでるだけだね。結局はこの人負け組み。
受注時のノウハウみたいな話なんだろーか。都合のいいようだけの使われぱなしは勘弁して欲しいよね。
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