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「すき家」のゼンショーが全敗 東京高裁でも敗訴、団交拒否めぐり

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全敗中のゼンショー社長・小川賢太郎氏。深夜の連続11時間勤務をいまだ標準シフトとするなど労基法違反の疑いが強い働かせ方を指揮する最高責任者。売上高は外食トップの4,029億円(2012年3月期)に。2位の日本マクドナルドは3,023億円(2011年12月期)。
 牛丼チェーン「すき家」を運営するゼンショーが労組との団交を拒否したことを巡る東京高裁の判決が先月末にあり、ゼンショーが敗訴した。これでゼンショーは東京都労働委員会、中央労働委員会、東京地裁、東京高裁と、4戦4敗。社名の由来は全勝だが、小川賢太郎社長は全敗街道を突き進む。その主張も、アルバイト社員を業務委託契約だと言い出すなど、荒唐無稽なものばかり。06年以来の団交でゼンショーから「労組とはいえない」などと存在を否定されつつ勝訴した首都圏青年ユニオン書記長の河添誠氏は「全体として、あり得ない企業」とそのブラックぶりを語る。同社が低価格を武器に外食トップ企業へと登りつめた裏で、働く現場に何が起こっていたのか。“ゼンショー全敗”の実態をお知らせする。(中央労委の命令書、地裁・高裁の判決文は全文ダウンロード可)
Digest
  • 一敗目、都労委で「違法認定」
  • 「ゼンショーの行為に正当な理由はない」中労委
  • 「主張自体失当」裁判所がダメ出し連発
  • 「あり得ない企業」河添氏
  • 損害賠償裁判は一戦一敗で係争中

一敗目、都労委で「違法認定」

今年7月31日、東京高裁の判決で、控訴人ゼンショーの訴えが棄却され、ゼンショーの4戦全敗が決まった。ことの発端は今から6年前にさかのぼる。

06年7月、東京都渋谷区内の「すき家」の2店舗で働くアルバイト20人超が「店舗のリニューアル」を理由に、事前通告もなく突然、解雇された。雇用契約は、2カ月ごとの自動更新契約だった。

そのうち6人(全員が20代の男性、2~5年勤務)が、若いフリーターなどが個人加盟する「首都圏青年ユニオン」(以下、青年ユニオン)に相談、加入した。

その後、青年ユニオンと、その上部組織である「東京公務公共一般労働組合」(地方自治体の非常勤職員などが加盟する労組。以下、公共一般労組)が、ゼンショーと団体交渉を始めた。交渉は同年7月から9月までに、計6回。労組側の訴えは「組合員6人の解雇撤回と職場復帰」「休業手当と未払い分の残業割増賃金の支給」だった。

そして06年9月25日、労組側の訴えが認められる形の協定が締結された。こうして組合員たちはバイトに復帰。過去2年間の「未払い割増分賃金」と「解雇中の休業手当」として、総額153万円超が、支払われた。

なお、「残業割増賃金」とは、残業代そのものではない。労働基準法では、1日8時間超の労働(残業)に対し、25%の割増賃金が義務付けられているが、ゼンショーはこの割り増し分を、支払っていなかったわけである。

その後、同年11月に入り、宮城県仙台市の「すき家」仙台泉店で勤務していた福岡淳子氏など9人と、同市の同「金港町店」の1人、合わせて10人が青年ユニオンに加盟した。福岡氏は、当サイトの08年の記事でもおなじみの人物である。

同月中旬、青年ユニオンはゼンショーに対し、新たに加わった組合員についての「未払い残業割増賃金」などを求めた。

ゼンショー側は「残業の事実が明かではない」として、労組側の請求をつっぱねたが、突然、全アルバイト従業員約1万人に対し、同月(06年11月)以降の「未払い残業割増賃金」を支払うことを決定した。

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首都圏青年ユニオン書記長の河添誠氏

これに対し、青年ユニオン側は、それ以前(06年10月以前)分の未払い賃金などを求める団体交渉を申し入れた。その日付が「07年1月17日」である。するとゼンショー側は、これまで団体交渉に応じていたにもかかわらず、急に交渉を拒絶した。

表向きの理由は「組合員には、当社従業員が加盟しているか確認できないので、組合員名簿を開示せよ」などというもの。

要するに、実際に交渉に臨むのは、河添氏など従業員以外なので、本当に組合員が加盟しているのか疑わしい、との言い分だった。

労組側は「組合員名簿の開示要求には法的根拠はないから、これを拒否する」として交渉を申し入れるも、会社側は拒否する、といった調子で一向にらちが明かない。

そこで労組側は07年4月25日、ゼンショーが同年1月17日付の団交申し入れに応じないことは労働組合法第七条2項「(不当労働行為)第七条 使用者は、次の各号に掲げる行為をしてはならない。2 使用者が雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを正当な理由がなくて拒むこと」に当たるとして、東京都労働委員会(以下、都労委)に対し救済を申し立てた。

そして09年10月6日、都労委はゼンショーに対し、以下の命令を下した。

「ゼンショーは団体交渉に誠実に応じること」

「ゼンショーの団体交渉拒否が不当労働行為と認定されたこと、及び、このようなことを繰り返さない旨を記載した文書を組合に交付すること」

「履行報告を命じる」

命令は以上の三点だった。ゼンショーの完敗である。これが一敗目だ。

「ゼンショーの行為に正当な理由はない」中労委

都労委の命令を不服としてゼンショーは09年11月13日、棄却を求める再審査を中央労働委員会(国)に申し立てた。

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中央労働委員会の命令書。全文は記事末尾からダウンロード可

ゼンショーの主張は以下の2点。

「組合は、いわゆる合同労組(労働者が個人で加入する労組。企業別組合と異なり、企業の枠を超えて組織される労組)であり、大衆運動ないし一時的集団にすぎない」

「組合が主張する『会社の雇用する労働者』とする組合員は、会社と労働契約関係にない。つまり、業務委託契約だった

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東京地裁判決。全文は記事末尾からダウンロード可

東京高裁判決。全文は記事末尾からダウンロード可

東京高裁判決後、労組側が厚労省内で行った記者会見の様子

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setagayatagayase2012/08/18 03:06

「すき家」のゼンショーが全敗 東京高裁でも敗訴、団交拒否めぐり

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