「面接官・リクルーターの心に響かせるストーリー」の作り方とは――就活面接を乗り切るフレームワーク『Journey Maps』
私が『Journey Map』に問題解決の手法を交えた、ストーリーを語るための自己PR用フレームワーク。私がリクルーター時代に、実際にこの図を書きながら、学生のストーリーを引き出していた。しかし、これに沿ってストーリーをちゃんと語れる学生は思っていたよりも少なく、問題解決に整理して落とし込む人はさらに少なかった。 |
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- 自己PR用フレームワーク『Journey Maps』
- ストーリーの作成事例その1- 筆者の就職活動時のストーリー
- ストーリーの作成事例その2- ある学生のストーリー
自己PR用フレームワーク『Journey Maps』
リクルーター面接を突破するには、そのリクルーターに気に入られるか否かという個人的な印象も要因となるが、私自身は、ストーリーを語れるか否かだと思っており、それはかなり一般的に通用するものだと考えている。
今回は、私がリクルーターをしていた時、学生の話を聞く際に利用していた強力なフレームワークをお伝えしたい。
私がリクルーターをしていた時、学生に聞いていたのは2点。それは「ストーリーを語れるか否か」「志望動機がモレ・ダブリなく筋を通して語れるか」であった。NTTのマニュアルがそうなっていたわけではないが、就職活動や、目に見える仕事の実績がまだ少ない20代の転職活動のコミュニケーション全般で求められる内容は、そこに帰結すると考えている。
ストーリーを語るフレームワークとはどのようなものかを簡単に言ってしまうと、「挑戦してみて、挫折をどう乗り越えて、何を学んだか」を語る流れである。具体的には、以下の流れを紙に「Journey Maps』と題して、喫茶店のテーブルにあるナプキンなどに書き殴りながら、学生に聞いていた。
2:Call(不満を脱するきっかけは?):不満を脱するきっかけを作りだしたものは何か?
3:Jump(挑戦したことは?):自分が勇気を出して挑戦してみたことは何か?未知なる世界に入るのに一歩踏み出させたものは何か?
4:Trails(直面した様々な試練は?):挑戦してみた結果、どんな試練があったか?手ごわいものは何であったか?それにどう対応したか?
5:Dissolution(最も辛かった困難は?):最も辛い困難は何か?それを克服するために取り組んだことは何か?問題は何で、解決先には何をどう取り組んだか?
6:Discovery(困難を克服した際の成果・気づきは?):その結果、得られたものは?成果は?どんな発見があったか?
7:Integration(自分の強みをまとめると?):気づきを総合して何が言えるか?自分の強みは何か?
8:Application(活かしてやりたいことは?):得られたこと・発見できた自分の強みを活かして、仕事場でどう自分が活躍をしたいか?
これだけ見ると、「なんだ、たいしたことないじゃないか」と思われるかもしれないが、私自身が『Journey Map』を基に聞いてみると、かなり誘導をしてあげて、やっと答えられるどうか、という学生ばかりであった。
自分で言うのも僭越であるが、ストーリーを語るフレームワークに関して、『Journey Map』は、自信を持ってオススメできる。その根拠は3つある。
1つ目は、もともとこの『Journey Map』は大学2年時のゼミで、キャリアディベロップメントのコンサルをするゲストスピーカーから教えてもらったからである。私が大学時代のゼミの先生の授業のゲストスピーカーで来ていたRebecca Chan Allenさんから、著作である“Guiding Change Journeys: A Synergistic Approach to Organization Transformation”を紹介してもらったのがきっかけであった。カナダでコンサルをしているというRebecca氏の実践的なフレームワークである。
ここで教えてもらった『Journey Map』に基づいて、自分のキャリアをストーリーとして語り、さらにこれに問題解決の話も加えたのが、私がリクルーター時代に使っていたものであった。
2つ目は、私自身の就職・転職活動で活用できたことがある。就職活動では、ブラザー工業という会社を受けた時、「ホワイトボードで図を書いて自己PRしてください」という変わったお題が出て、このフレームワークを使ってプレゼンした。それで、Journey Mapsを書いてストーリーを語るプレゼンをしたところ、「あなたのプレゼンはかなり評価が高かった」と人事担当から言われたことがあった。
その時、早稲田法学部の学生、慶應総合政策学部の学生がいた。海外インターンで仕事の経験をしたことなどのPRであった。私から見ると、私のサークルとゼミのエピソードに比べると遥かにすごい経験をしている印象があった。しかし、私の方が評価が高かったようなので、面接官が見ているのは、話のすごさよりも、ストーリーを語れるか否かであった、ということを確認することができた。
3つ目は、私自身がリクルーターをやっていたときに、これに粘り強く応えてくれた学生は、最終面接までいけたという成果があった。逆に言うと、このフレームワーク自身はストーリーを語れるか否かという素朴なものであるにも関わらず、実際にちゃんと応えられる学生はかなり少なかった。ワン・シーズンで私が見ていた20~30人の学生の内、本番の面接に進めたのは2、3人程度、二次面接は1、2人程で、そのまま最終面接までいけた学生が、ちゃんとストーリーを語れていた人達であった。
上記のJourney Mapの元ネタである“Guiding Change Journeys: A Synergistic Approach to Organization Transformation”の一部。興味のある人は、洋書の置いてある図書館かAmazonで取り寄せて読んでみてほしい。カナダでキャリアディベロップメントの実務にあたっているRebecca Chan Allen氏のもので、ストーリーを語るフレームワークとして参考になる。 |
ストーリーの作成事例その1- 筆者の就職活動時のストーリー
前回私のストーリーを紹介したが、どういうJourney Mapsを描くかについて、私の就職活動時に書いていたものを思い出しながら、以下に記載したい
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確かに使えそう。
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読者コメント
これは本当に思う
技術者として新卒入社して、「自分はどれくらいこの会社にいるのか、どういう学習が必要なのか、」
「どういうキャリアを描けば良いか」てのが全くわからない
大学でキャリアプランニングについての講義をもっと取り入れるべきだな
日本の学生はいい大学に入れたらそれだけで残りの人生安泰だと考えてるような
世間知らずが多すぎる
履歴書がうまく書けなかったので、参考になりました。ありがとうございます。
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