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「面接官・リクルーターの心に響かせるストーリー」の作り方とは――就活面接を乗り切るフレームワーク『Journey Maps』

情報提供
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私が『Journey Map』に問題解決の手法を交えた、ストーリーを語るための自己PR用フレームワーク。私がリクルーター時代に、実際にこの図を書きながら、学生のストーリーを引き出していた。しかし、これに沿ってストーリーをちゃんと語れる学生は思っていたよりも少なく、問題解決に整理して落とし込む人はさらに少なかった。
 日本経団連の「採用選考に関する企業の倫理憲章」によると、「面接等実質的な選考活動については、卒業・修了学年の4月1日以降に開始する」と表明しているものの、実際には2月から水面下で就職活動が本格化していくのが実態だ。外資系などの一部企業では採用面接が進み、日本の大手企業ではリクルーター面接が水面下で進められていく。今回は、リクルーターだった筆者の経験から、自己PRにおいて有用とおススメできる、ストーリーのフレームワーク『Journey Maps』を紹介したい。腹に落ちるよう、具体的なサンプルとして、筆者自身のものと、ある学生のサンプルを同意のもとに用意した。具体的にどう自己PRを書くかという点で、参考になりうる情報となっているはずだ。新卒の学生だけでなく、第二新卒を考えている社会人にとっても参考になれば幸いである。
Digest
  • 自己PR用フレームワーク『Journey Maps』
  • ストーリーの作成事例その1- 筆者の就職活動時のストーリー
  • ストーリーの作成事例その2- ある学生のストーリー
→前回記事NTT元リクルーターが語る「リクルーターの建前と現実」

自己PR用フレームワーク『Journey Maps』

リクルーター面接を突破するには、そのリクルーターに気に入られるか否かという個人的な印象も要因となるが、私自身は、ストーリーを語れるか否かだと思っており、それはかなり一般的に通用するものだと考えている。

今回は、私がリクルーターをしていた時、学生の話を聞く際に利用していた強力なフレームワークをお伝えしたい。

私がリクルーターをしていた時、学生に聞いていたのは2点。それは「ストーリーを語れるか否か」「志望動機がモレ・ダブリなく筋を通して語れるか」であった。NTTのマニュアルがそうなっていたわけではないが、就職活動や、目に見える仕事の実績がまだ少ない20代の転職活動のコミュニケーション全般で求められる内容は、そこに帰結すると考えている。

ストーリーを語るフレームワークとはどのようなものかを簡単に言ってしまうと、「挑戦してみて、挫折をどう乗り越えて、何を学んだか」を語る流れである。具体的には、以下の流れを紙に「Journey Maps』と題して、喫茶店のテーブルにあるナプキンなどに書き殴りながら、学生に聞いていた。

1: Inertia(自分の現状の不満は?):学生時代・社会人時代で不満に思っていたことはあるか?やる気を阻害するのは何か?

2:Call(不満を脱するきっかけは?):不満を脱するきっかけを作りだしたものは何か?

3:Jump(挑戦したことは?):自分が勇気を出して挑戦してみたことは何か?未知なる世界に入るのに一歩踏み出させたものは何か?

4:Trails(直面した様々な試練は?):挑戦してみた結果、どんな試練があったか?手ごわいものは何であったか?それにどう対応したか?

5:Dissolution(最も辛かった困難は?):最も辛い困難は何か?それを克服するために取り組んだことは何か?問題は何で、解決先には何をどう取り組んだか?

6:Discovery(困難を克服した際の成果・気づきは?):その結果、得られたものは?成果は?どんな発見があったか?

7:Integration(自分の強みをまとめると?):気づきを総合して何が言えるか?自分の強みは何か?

8:Application(活かしてやりたいことは?):得られたこと・発見できた自分の強みを活かして、仕事場でどう自分が活躍をしたいか?

これだけ見ると、「なんだ、たいしたことないじゃないか」と思われるかもしれないが、私自身が『Journey Map』を基に聞いてみると、かなり誘導をしてあげて、やっと答えられるどうか、という学生ばかりであった。

自分で言うのも僭越であるが、ストーリーを語るフレームワークに関して、『Journey Map』は、自信を持ってオススメできる。その根拠は3つある。

1つ目は、もともとこの『Journey Map』は大学2年時のゼミで、キャリアディベロップメントのコンサルをするゲストスピーカーから教えてもらったからである。私が大学時代のゼミの先生の授業のゲストスピーカーで来ていたRebecca Chan Allenさんから、著作である“Guiding Change Journeys: A Synergistic Approach to Organization Transformation”を紹介してもらったのがきっかけであった。カナダでコンサルをしているというRebecca氏の実践的なフレームワークである。

ここで教えてもらった『Journey Map』に基づいて、自分のキャリアをストーリーとして語り、さらにこれに問題解決の話も加えたのが、私がリクルーター時代に使っていたものであった。

2つ目は、私自身の就職・転職活動で活用できたことがある。就職活動では、ブラザー工業という会社を受けた時、「ホワイトボードで図を書いて自己PRしてください」という変わったお題が出て、このフレームワークを使ってプレゼンした。それで、Journey Mapsを書いてストーリーを語るプレゼンをしたところ、「あなたのプレゼンはかなり評価が高かった」と人事担当から言われたことがあった。

その時、早稲田法学部の学生、慶應総合政策学部の学生がいた。海外インターンで仕事の経験をしたことなどのPRであった。私から見ると、私のサークルとゼミのエピソードに比べると遥かにすごい経験をしている印象があった。しかし、私の方が評価が高かったようなので、面接官が見ているのは、話のすごさよりも、ストーリーを語れるか否かであった、ということを確認することができた。

3つ目は、私自身がリクルーターをやっていたときに、これに粘り強く応えてくれた学生は、最終面接までいけたという成果があった。逆に言うと、このフレームワーク自身はストーリーを語れるか否かという素朴なものであるにも関わらず、実際にちゃんと応えられる学生はかなり少なかった。ワン・シーズンで私が見ていた20~30人の学生の内、本番の面接に進めたのは2、3人程度、二次面接は1、2人程で、そのまま最終面接までいけた学生が、ちゃんとストーリーを語れていた人達であった。

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上記のJourney Mapの元ネタである“Guiding Change Journeys: A Synergistic Approach to Organization Transformation”の一部。興味のある人は、洋書の置いてある図書館かAmazonで取り寄せて読んでみてほしい。カナダでキャリアディベロップメントの実務にあたっているRebecca Chan Allen氏のもので、ストーリーを語るフレームワークとして参考になる。

ストーリーの作成事例その1- 筆者の就職活動時のストーリー

前回私のストーリーを紹介したが、どういうJourney Mapsを描くかについて、私の就職活動時に書いていたものを思い出しながら、以下に記載したい

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comuchi2014/02/06 13:34

確かに使えそう。

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 2015/10/05 00:02
 2015/10/05 00:02
fukano2014/03/03 18:12会員
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