毎日新聞新人記者が、入社3年目に自ら退職届を出すまで――うつ病招く異常な業務量、読者不在の記事
大阪出身、関西の私大卒業後、2008年に毎日新聞社に入社、静岡支局に配属。うつを発症し休職後、2013年4月、退職。現在も治療を続けている。 |
- Digest
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- 自分で退職届を出す
- 残り2時間で「3人の顔写真とってこい」
- 親の指摘で覆る
- ネガティブ思考スパイラル
- 休職3年間、傷病手当金での生活
- 約40人の同期記者
- 興味本位、ドラマチックな記事に疑問
- 「うつ状態」で1回目の休職
- 「この布団では無理」寝れない泊りの日
- 共同通信に再加盟したのに…
- 仕事用自動車もカメラも自費で買う
- NHKの県警キャップが自殺し…
- 「紙回さないぞ」と一課次長
- 「やるな」とは言われない毎日
自分で退職届を出す
「おまえ、これ、間違ってるって言われたぞ」
入社3年目の2010年4月半ば、ある記事での些細な間違いを上司から指摘されて、「また怒られる!」と思い、私は倒れました。それまで、積もり積もって張りつめた精神状態の緊張が、破裂したようでした。
お茶畑での凍害を伝える記事でしたが、お茶の種類の表記を間違えて書き、取材先から指摘を受けたのです。
2010.04.06 地方版/静岡 25頁 写図有 (全678字)
気温が3月末、急激に冷え込んだ影響が農作物に出始めている。茶所の島田市、牧之原市、袋井市などではお茶の新芽が凍るなどの被害があり、茶農家からは減産や価格への影響を懸念する声が上がっている。静岡市での「一番茶」の初取引が19日に迫っており、関係者は被害状況の把握を急いでいる。2日取材に訪れた県中部の広大な茶畑は、薄く赤みがかってみえた。3月中旬ごろから芽吹く「極早生種」の新芽の一部はしんまで固く凍りつき、黒ずんで枯死していた。(後略)
「もうダメです」――県政キャップと中堅記者にそう言って、そのまま自宅に帰り、ルーズリーフに「一身上の都合で~」という紋切型の文章で退職届を書き、封筒に入れて、支局長のところに持って行ったんです。
「すいません、無理です」と言うと、「もういいから帰れ、明日もう一度、ファミレスで会おう」ということになりました。
翌日は、日曜日。ファミレスで支局長に会うと、引き留められることもありませんでした。それまでの経緯があったからです。「退職届の書式を守っていないから書き直しなさい、ウチで認められた書式で書けば、その方向で受理するから」となりました。
「2回目だし、残念だよ」とも言われました。既に1回、うつ病の前段階である「うつ状態」で3か月弱、休職していたからです。だから、支局長に悪気はなかったんだと思います。
手書きはダメだ、印字しろ、いつまでに書き直せ、といった事務的な指示を受け、「もう帰ってもいいですか」と言って、私は開放されました。
残り2時間で「3人の顔写真とってこい」
既にその前の月には、キャップ(直属の上司)から怒られても、声が遠く聞こえるようになっていて、「おまえ、どうした?」と言われるほど、おかしくなっていました。
倒れる1カ月前の2010年3月、御殿場市の「野焼き」で火入れしていた地元の参加者3人が、火に巻き込まれて焼死する、という事故が発生しました。
キャップから、夜8時ごろに「亡くなった3人の顔写真をとってこい」という指示が出て、締切が2時間後に迫っていました
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医療費と給付金支給額のお知らせ。基本給の7割にあたる金額が毎月、「傷病手当金」として、毎日新聞健康保険組合本部から支給される。
毎日新聞社の従業員就業規則
毎日新聞の賃金テーブル(就業規則より)と住宅手当。給料=本給+第二本給+年齢給+各種手当。住宅手当も一律27000円+αと、渋い。
毎日新聞は「やるな」と潰されることはない社風だが、ひとえに「時間があれば」ということ。
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僕は病んでまで働かなくてもいいと思うけどなあ。今日のシェアハウスイベント来てた人たちは年収100万円代以下の人が多かったけど、楽しそうに生きてたよ。病んだら完治しにくい。病む前に辞めるべき。
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読者コメント
『長時間労働自体が違法ではない』、『過重労働自体は違法ではない』っていうのが根本的な原因という意見を見たことがあります。この2点が変らなかったら、似たような事が起きても不思議ではないでしょう。
まだまだ修行が足りん!とか思っているんだろうな毎日新聞上層部。どうせ日経や朝日と比べて給料低いんだからもっと記者の労働条件良くしろよ。インタビュイーのようなまともな人間を退職に追い込むようじゃ毎日新聞の未来は無い。このまま慰安婦捏造問題で大揺れの朝日新聞と共に滅びろよ。
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