東急電鉄は暴力容認企業　東急セキュリティ警備員が同僚2人から殴る蹴るの暴行受け重傷も、被害者がクビにされ生活保護に

佐々木奎一 2014/05/30 02:35

東急セキュリティの非正規社員として、渋谷モヤイ口で警備中に、同僚２人から暴行を受けて重傷を負った、と訴える藤井裕司氏（実名、４６歳）

　東急電鉄100％子会社の警備会社「東急セキュリティ」で契約社員として働いていた藤井裕司氏（４６歳、実名）は１４年２月１０日深夜午前２時５０分頃、仕事中に同僚２人から投げられ、蹴りを何発もくらい、背骨を圧迫骨折、あばら骨を２か所骨折、頸椎捻挫で、全治半年以上の重傷を負った。藤井氏は直後に労災手続きを進めるよう会社に求めたが、上司は、手続きを進めると言いつつ放置したため個人で申請するはめに。さらに加害者２名の処分を求めたが、何のお咎めもなし。それどころか逆に、藤井氏のほうが雇い止めとなって無給に陥り、生活保護受給を余儀なくされた。藤井氏は渋谷警察署に被害届を出し、先月２３日に告訴。刑事事件として取り扱われることが決定した。東急グループの陰惨な社内暴力と、それを容認する企業体質がわかる事件をお伝えする。

Digest

渋谷モヤイ像前で警備
職場の同僚全員に無視される
仕事中に同僚に暴行受け全治一年以上の重傷に…
背骨骨折の重体なのに休ませてもらえず
暴行による絶対安静中に雇い止めに…
労災申請手続きをすると言っておきながら放置

渋谷モヤイ像前で警備

被害を受けたと訴えるのは、藤井裕司氏（実名、４６歳）。藤井氏は都内の配送業などを経て１３年４月１日、東急電鉄１００％子会社の「東急セキュリティ」に有期契約社員として入社した。（契約期間は、１３年４月１日から同年７月１０日まで。その後、７月１１日から１４年４月１０日まで契約更新）

東急セキュリティは、東急沿線エリアを警備する会社で、社員数は１，１３０人（１３年３月現在）。同社の組織は、警備本部、営業本部、経営統括部、経理部に分かれている。藤井氏は警備本部の施設警備部・警備一課の、「モヤイ口（ぐち）警備隊」に所属した。

「モヤイ口」とは、ＪＲ渋谷駅南口にある「モヤイ像」前を指す。日中にモヤイ像の前に立つと、約５メートル先に、車両の出入りする倉庫のようなスペースがあり、その前に東急セキュリティの社員証を付けた警備員が５人立っている。これがモヤイ口警備隊である。

その業務内容は、朝８時から２１時までが、５人常駐警備体制による、駅構内や東急百貨店向けの車両の誘導と道案内。これは３つのシフト（２４時間勤務と、早朝から昼まで、朝から夕方まで）の計９人で担当した。

各自２時間に１回、３０分休憩でローテーションする。仮眠時間は２１時から２時過ぎまで。仮眠は、現場から徒歩約７分の南平台交差点付近の待機室で休む。隊員たちは起床後、モヤイ口に向い、２時５０分までにバス停の柵を開け、外側のシャッター２枚、内側のシャッター２枚を開ける。そして３時に、ゴミの運搬車両を入れて、その後、東急百貨店向けの納品車両などを入れる作業を朝８時まで行う。これが一日の流れである。