飲み会は仕事なのか――『Nスペ』スタッフが中国ロケで白酒を一気飲みし死亡…労基署は認めず、地裁が労災認定
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亡くなったNHK孫請けスタッフの大島聡史氏(死亡時31歳、仮名)は09年8月11日放送のNHKスペシャル「日本海軍400時間の証言 戦争裁判 第二の戦争」)の制作のための中国ロケ中に、アルコール度数56度の白酒を半強制的に浴びるように一気飲みさせられて死亡した(画像は同番組より) |
- Digest
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- NHK正社員の4分の1、孫請けスタッフの年収
- 中国軍事施設の空港撮影許可を何度も当局に要請
- ロケ最終日の前夜に宴会スタート
- 二次会(返礼の会)で白酒(56度)を10回以上一気飲み
- 病院に行くよう勧めたのに上司が「大丈夫です」と拒否
- 中国での“宴会”の位置付け
- 労災認定の判決下る
- Nスペ取材班執筆本で死に触れるも反省、謝罪は一切なし
NHK正社員の4分の1、孫請けスタッフの年収
裁判資料によると、亡くなった大島聡史氏(死亡時31歳、仮名)は2000年5月(当時23歳)に「㈱ホットスタッフ」(派遣会社)に入社。そこからNHKの下請け制作会社である「エクサート松崎」と請負契約を結ぶ形態で、NHK取材スタッフとして照明音声業務を担当するようになった。
遺族提出の資料によると、大島氏は、子どもの頃から正義感が強く、嘘と間違ったことが大嫌いで、とても律儀な子どもだった。将来については、14歳の頃から、映像に携わる仕事をすると決めていた。それが念願叶ってNHKで仕事をするようになり、幸せそうだったという。そのためか、仕事が休みになると、不満そうな顔をするほど、働くことが大好きだったという。
同僚の証言でも、大島氏は、「真面目な性格」で「人一倍仕事熱心で誠実」「番組をよくするために、率先して面倒な役回りや大変な仕事を引き受けるなど、番組を良くするための労を惜しまない性格」だったという。
そんな大島氏が担当したNHK番組は、NHKスペシャル、クローズアップ現代、ニュースウォッチ9、首都圏ネットワーク、おはよう日本、おはよう首都圏などの報道・ドキュメンタリーだった。
そんな大島氏の待遇は、月収は基本給17万円、住宅手当8,700円、業務手当1万6千円~4万2千円など、合わせて平均月収26万円程度、ボーナスなし、年収312万円程度だった。
ちなみに、NHK正社員の平均給与は今年度予算で年間1163万9505円。福利厚生・退職手当を含めると一人当たり年間1777万590円もらっている。(NHK「平成26年度 収支予算、事業計画及び資金計画」より)
そんな格差社会のど真ん中にいる大島氏は、現場のNHK正社員と飲みに行くこともあった。例えば後述のNHK報道局社会部ディレクター内山拓氏(実名、大島氏より1歳年下)と飲んだ際、内山氏が「どうしてそんなに仕事を入れるのか?」と大島氏に聞いたことがあったという。そのとき、大島氏は「仕事をした分だけ給料がもらえるし、彼女もいないから…」と答えたという。
中国軍事施設の空港撮影許可を何度も当局に要請
このように仕事三昧だった大島氏は、NHKスペシャル「日本海軍400時間の証言」(09年8月9~11日まで3夜連続放送)のなかの、3夜目の「戦争裁判 第二の戦争」)の制作のため、09年4月1日から中国ロケに行く事になった。このロケは、旧日本海軍が中国南部の三灶島(さんそうとう)の住民を大量虐殺した事件の取材だった。
ロケのスタッフは、前述のNHK報道局社会部の内山拓ディレクター、NHK報道局映像取材部の佐々倉大(実名)氏、大島氏の3人。この3人は08年12月にもハワイ真珠湾のロケで一緒だった。
中国ロケの準備は、現地へ行く4か月前の08年末頃から、中国現地で通訳を担当する楊昭氏(以下、新たな登場人物は全て実名)が何度か三灶島現地に入り、取材対象の場所、人の選定、取材許可申請を進めていた。その頃から、
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三灶島の地図(同)
白酒(パイチュウ)の一気飲みを繰り返した(写真はイメージ。「ガイドブックよりわかりやすくレビュー発信!ITエンジニアの満作ブログ「どうする満作!?」より)
上二枚は戦時中の三灶島の空港。下は現在(同番組より)
「日本海軍400時間の証言軍令部・参謀たちが語った敗戦」(著:NHKスペシャル取材班/新潮社刊)より
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中国ロケ、それも共産党相手の返礼接待なら仕事そのものじゃねえか。それに向こうの飲み方は、杯を逆さにして飲み干したことを見せるのを繰り返すんだろ。死んでも不思議じゃねえよ。
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