フジテレビ・バラエティ番組のロケバス運転手が違法運転の横行を告発、一審で未払い賃金983万円支払い命令
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フジテレビのバラエティ番組のロケバス運転手をしていた内村小次郎氏(40代前半)。会社を相手取り未払い賃金3141万円を請求し、一審で983万円の支払い命じる判決を勝ち取った。 |
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判決文や証拠類などの裁判資料や原告などへの取材によると、原告の内村小次郎氏(現40代前半、仮名)は、大学卒業後、運送業大手社員などを経て05年5月、東京都江東区塩浜にある、テレビ局のロケバスを運行する「東名運輸(株)」に入社した。
きっかけは、肉体労働系の求人情報誌「ガテン」だった。同社の募集欄に「テレビ関係の仕事で運転」「35歳くらいまで」「不規則な仕事でも大丈夫な方」とあり、もともと車が好きだった内村氏は、会社に電話をし、面接を受け、晴れてロケバスの運転手となった。
東名運輸の運転手は21~22人。ほかに事務員1人、デスク2人と社長、顧問がいた。運転手たちは、フジテレビ、テレビ朝日に二手に分かれ、両局のバラエティ番組のロケバスを運行する。内村氏は、フジテレビを担当した。
ロケバスは、運転手一人につき一台がつく。車種はハイエースの大型。色は、主にクリームとベージュのツートン。これを業界では「一輪車」と呼ぶ。ほかに音楽番組の巨大スピーカーや舞台セットなどを運搬する「美トラ」(美術用トラック)や、喪中時の黒色など、東名運輸では計32台のバスを保有していた。
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ロケバス(裁判資料より=原告提供)![]() |
内村氏は入社当初、8時から22時頃まで勤務し電車で帰宅していた。
しかし、徐々に仕事に慣れてくると、電車のない深夜の時間帯から始まる仕事が多くなってきた。シフトは、前日にフジテレビで決まった。
フジテレビの13階は、1つのフロア全てがバラエティ制作のフロアになっている。その一角に、東名運輸の机が、4つある。
そこに、東名運輸の社員であるデスク1人が11~20時まで常駐しており、ロケバスの仕事を受注し、18~19時頃に翌日のシフト表をつくり、各運転手に電話して割り振っていく。もし自社のロケバスでは足りないほど仕事が入った場合は、下請けのロケバス会社を動員した。ちなみに、テレ朝のデスクは、東名運輸の会社内にある。
東名運輸が担当したフジテレビのバラエティ番組とは、例えば、タモリの「笑っていいとも!」「エチカの鏡」や、島田紳助の「ヘキサゴン」、ダウンタウンの「HEY!HEY!HEY!」、「人志松本の○○な話」、ナインティナインの「めちゃ×2イケてるッ!」や、「SMAP×SMAP」「とんねるずのみなさんのおかげでした」、クイズ番組「全国一斉!日本人テスト」などなど。
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フジテレビ本社(鹿島HPより)![]() |
そのなかで内村氏は、「ヘキサゴン」や「日本人テスト」「エチカの鏡」「笑っていいとも」「オレワン」(若手芸人が身体を張って競い合う番組)、「JAPANロッケフェスティバル」(同上)といった番組を担当した。
フジテレビ内のカプセルホテルで寝起き
ロケバスの仕事は、早朝に出発し、ロケ地を回り、夜に戻るパターンが多かった。
フジテレビは、ロケバスや照明などの技術スタッフ、舞台などの美術スタッフなどの下請けに対し、23時半以降から朝にかけては、タク送(タクシーチケットでタクシー代をフジテレビが負担する仕組み)で帰宅、出勤できることになっている。ただし、制作スタッフは経費節減で
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運転日報
上はロケバスの点呼について記載した「旅客自動車運送事業運輸規則」「貨物自動車運送事業輸送安全規則」の条文。下は、厚労省労働基準局の「バス運転者の労働時間等の改善基準ポイント」
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ブラック・バス?
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読者コメント
こういう現状があるからテレビでは派遣や非正規労働などの問題を積極的に取り上げて報道してこなかったのではないだろうか?と思えてしまう。
また、大企業が主催するマスコミ懇談会もあるらしいが、詳しくどこも伝えてくれません。広報担当者が何かを要請しているのだろうか。そういった事情もぜひ知りたいものです。
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