“血塗られた”タマホーム 40代トップセールスが過労死――サビ残横行、1カ月無休、震災需要増も人員増なく、急性心筋梗塞に
タマホーム広告塔を務める木村拓哉。同社ではサビ残が横行し、いわき店の47歳の営業マンが11年10月に過労死した。(写真は同社HPより) |
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- 契約成立後3か月で着工、着工後3か月で引き渡し
- サビ残横行、CMでみのが「残業代稼がなきゃ」の裏で…
- 震災を機に「疲れた、疲れた」「寝れない」「クラクラする」
- 業務扱いの支店対抗ソフトボール大会に出場後、急性心筋梗塞
- 遺族が労災認定後に1億406万円求め提訴
- 「タマホーム黒書」に新たな1ページ
【タマホームCМ】
契約成立後3か月で着工、着工後3か月で引き渡し
タマホームは、福岡県で設立後、わずか15年で東証一部上場(2013年3月)を果たした注文住宅業界の急成長企業。その裏には、会社そのものが“突貫工事”であることによる様々な歪みやきしみが付きもので、とりわけ3千人超となった社員の労働環境によく表れる。
訴状や準備書面、証拠書類によれば、亡くなった木村蓮氏(死亡時47歳、仮名)は、1988年に大学卒業後、福島県いわき市内のゴルフ場やホテルのリゾート開発を手がけるN社に入社。そこで施工管理の主任まで昇進したが、90年に倒産。その後、木村氏は、親の経営する土建会社に転職。そこで専務取締役として現場監督に従事したが、06年にやはり会社が倒産。
翌07年3月、木村氏はタマホームに入社し、本宮支店いわき営業所(当時の神谷店、以下「いわき店」)で働き始めた。木村氏は入社から09年までは、工務課で現場監督として下請けの管理業務を担当し、10年からは営業職の主任に就任した。
タマホームの営業は、営業所の敷地内にある展示場が主な現場となる。いわき店の展示用住宅は3棟。営業マンは、来場した客の要望を聞き、戸建住宅のプランを作成し、客に提案する。そのとき、客の住宅用地を見に行き、法務局で土地面積や形状を確認したり、場合によっては、客に用地の選定や融資の提案も求められるため、不動産回りや銀行訪問も業務の一環だった。
こうして提案が客に認められると、契約成立となる。その後、営業マンは、図面を完成させる。さらに仕様決定など、通常は工務担当が行う業務や、引き渡し後の顧客対応なども行うため、業務負荷は、むしろ契約を取った後の方が大きかったという。
しかも、タマホームは基本的に、個人顧客の戸建て住宅については、契約成立後3か月間で着工し、着工後3か月で引き渡すことになっている。そのため、短期間で、客の細かい要望を把握しなければならず、客と何度も打ち合わせや電話連絡が必要だった。
ノルマもきつかった。タマホームでは、本社が契約数のノルマを決定し、その数字をもとに本社→東北地区本部→本宮支店→いわき店と、下部組織に毎月のノルマを割り振っていく。例えば、いわき店長は本宮支店長から営業目標を達成するよう、プレッシャーをかけられており、ノルマ未成のときは厳しい指導を受けていた。
サビ残横行、CMでみのが「残業代稼がなきゃ」の裏で…
サービス残業も常態化していた。タマホームでは、タイムカードはなく、出勤時間、退勤時間の管理はしていなかった。
上はCM映像。下は、タマホーム社長の玉木康裕氏(同社HPより) |
そのかわり、
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タマホームいわき店(同社HPより)
タマホームCMのみのもんた。「でもあれでしょう、残業代しっかり稼がなきゃいけないんじゃない?ローンもあるんでしょ?」と発言
上はタマホームの支店対抗のソフトボールの光景(11年10月11日付タマホーム長崎支店ブログより)。下はヤフードーム(ソフトバンク帯広中央HPより)
公正取引委員会が、タマホームの広告は景品表示法違反(優良誤認)にあたる、として排除命令を出したこともあった
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しかし、この人はツキのない人生だな。ご迷惑をお祈りします
(MyNewsJapan)
ディープ・パープルではなくディープ・ブラックな模様。まぁ昔から(モノも企業も)評判悪いものな。
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読者コメント
積水もミサワも、同じようなものです。日付変更線変わるまで、一か月で契約とれたか取れなかったかで吊し上げ。(そこで働いていた知人の話によるとそういうものらしい。)
ピタットハウスの葛西は、終電まで帰るな!って強制収容所のようらしい、不動産関係はなんかイメージ悪いね、
同僚です
タマホームさんだけではなくて多くの会社の人事評価の基準は公開されていないでしょう。例えば、偽装請負や脱法的なやり方で人件費を削減した場合でも人事部や管理職の評価が加算するような評価基準があるのではないでしょうか?問題なのは過労死が起きた時でも会社の誰も責任を取らないケースが多かったり、労働行政がそういった会社を公表しないことです。労働行政の実態や問題点をちゃんとレポートするメディアって少ないです。
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