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トヨタホームが手抜き工事 施行放棄、建築士法違反も「客とは思っていない」

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基礎工事の頃の長さんの自宅写真。当時はまだトヨタホーム東京を信頼していた長さんは数日ごとに見学に来て我が家の完成を楽しみにしていたが、後にこの基礎工事を含めた数多くの施工放棄やマニュアル違反を発見することになる。
 自社製品のリコール対応が不十分なトヨタの体質は、本業の車に限らず住宅部門でも同様のようだ。茨城県つくば市に住む長秋雄さんは、トヨタホーム東京と契約して新築した自宅に関して自力で次々に欠陥を発見し、4年前から現在までトヨタと交渉を続けている。耐震強度偽装事件は個々の建築士らを断罪し収束したが、長さんの話を聞けば、トヨタのような大企業グループによる潜在的な被害は、水面下でより大きく広がっている可能性が見えてくる。

 トヨタホームは、トヨタ自動車の100%子会社だ。長さんがトヨタホーム東京と工事請負契約を結んだのは2002年5月。数ある建設会社の中からトヨタグループを選んだのではなく、気に入った区画が建築条件付分譲だったからだという。
 「目の前に歩行者専用道路と緑地帯があり、公園や学校施設も近く、購入希望者8名の人気の区画でした。そこがたまたまトヨタの区画だったのです。幸いにも当選し、土地付きで約4500万円で、トヨタホーム東京が紹介してきたトヨタファイナンスとローンを組みました。

 トヨタホームの売りは『耐震等級3』という、地震に対して最高ランクの強度で、どんな地震が来てもつぶれない、というものでした。

 私は地震防災の研究者として30年間研究を続けてきたので、万が一地震が起きた時には私の家をご近所の方のためのシェルターにすることができると考えました。建築の間は、それなりのメーカーさんなので信頼していました」
◇床下に潜ってわかった欠陥
 家屋の受け渡しも予定通り10月に終えて家族とともに住み始めた長さんが、トヨタホーム東京に不審を抱いたのは、新居での初めての冬を迎えた2003年の2月頃だった。
 「妻が、ダイニングの床暖房の調子が悪い、冷たいところがある、というので、私が床下に潜って見てみると、床暖房の配管に保護管が巻かれていませんでした。2月15日に修理依頼をしたところ、3月初めに来た業者は、規定以上の温度差となる4度以上のむらがあることを確認した上で、『なんで温度が低いかわかりますよね、ここに配管がないんだから』と話してくれました。

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トヨタホーム東京のパンフレット。「安心の家づくり」をうたっているが、「強靭な構造体」も「強い基礎」もマニュアルを守って作ってこそ本来の性能が発揮されるもの。大地震が来た時に心配なのは長さんの自宅だけではなく、潜在的な被害者は数多くいる可能性がある。
 トヨタの場合は鉄骨構造をユニットとして組んでいくので、ユニットとユニットの間に10センチほどの鉄骨が入ることになります。そのため、床暖房エリアの真ん中に、10センチから20センチの間隔で床暖房のパイプが配管できない。これは構造上の欠陥商品です。

 それ以上にひどいのは、後から入手したトヨタの設計マニュアルによれば、暖房配管は保護管で巻くこと、とあるのに、実際には巻かれていなかったことです。配管を裸で出していれば傷もつくし、そこからどんどん熱が逃げてしまう。これはミスではなくて、明らかに施工放棄です。通常は床下なんてめったに潜ることはないし、チェックすることもありません。

 トヨタは見えないところで手抜き工事をやっていたんです」
 その後も長さんが床下を自力で調べてみると、盛土がされていない、防湿シートの破損、電気配線の不備などの欠陥が次々と見つかった。
 「さまざまな手抜き工事があったので、トヨタの販売パンフレットに書いてある工事記録書を見せてくれ、と要求したら、内部資料だから見せられない、と言われました。あきらめずに2回ほど要求したところ、ようやく基礎工事記録書だけは見せてくれました」

◇欠陥が次々明るみに出ても修理を拒否
 「基礎工事記録書には、施工したらその都度、現場写真を残しなさい、と書いてあります。監理建築士は、その写真に基づいて設計どおりに施工されているか確認するのですが、基礎工事記録書に添付されるべき写真が無いところがたくさんありました。

 その点についてトヨタホーム東京に尋ねたところ、『撮り忘れました』と言うんです。あきれましたよ。その写真を撮るお金だって私は払っているのに。その他にも、基礎工事に関してさまざまな施工基準違反・マニュアル違反を発見したので、このままにしてはおけないと思いました」

 2003年4月に行われた長さんとトヨタホーム東京との打ち合わせでは、長さんが気づいた基礎工事の施工基準違反・マニュアル違反については協議事項となったものの、最初に発見した床下の不良箇所(床暖房修理・床下盛土高の不足・防湿シートの破損)については、協議事項のいかんに係らずトヨタホーム東京が修理を行うことで合意し、署名捺印した文書 も交わした。

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長さんの再三の要求によりトヨタが出してきた工事監理報告書。本来は家屋の引渡し時に建築主である長さんに渡す義務があるのに、長さんの手元に届くまで約2年が経っていた。
 一方で、トヨタホームの施工に不信を募らせた長さんが独学で建築関係の法律を調べたところ、本来は2002年10月の家屋の引渡し時に建築主が受け取るべき書類である工事監理報告書を、いまだにもらっていないことに気づいたという。
 「工事監理報告書というのは、工事監理を委任した一級建築士(トヨタホーム東京一級建築士事務所)が建築工事が設計図書どおりに行われたことを確認し、建築主に報告する文書です。建築士法は、竣工後速やかに建築主に提出することを義務づけています。この文書を提出するようにトヨタホーム東京に電話で再三要求しましたが、なぜか拒否されました。

 その上、基礎工事の修理要求を放棄しない限り、床下の不良箇所に関する修理もしない、と前言を翻してきたのです。

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(上)当初は床下に関する修理を文書で約束していたトヨタホーム東京だが、その後、長さんが数々の欠陥を指摘し文書の提出を要求すると、基礎工事のやり直し要求を撤回しなければ床下修理もしない、と態度を一変させた。(下)トヨタホーム東京の代理人が電話で長さんに「客とは思っていない」と発言したことについてのトヨタの弁明書。正式な契約書を交わしローンも払い続けている建築主への暴言に関して、「謝罪する意思はない」と断言している。

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