イーアクセスが組織的なヤラセで社員に広告クリック詐欺を指示――拒否したら降格・左遷・罵倒・退職強要で、うつ病の末に失職
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左はイーアクセス創業者で現ワイモバイル取締役会長の千本倖生氏(ワイモバイルHPより)。右は現ワイモバイル社長兼CEO(旧イーアクセス社長)のエリック・ガン氏(同) |
- Digest
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- ネット広告で詐欺行為が横行
- 「これは完全詐欺です」と指摘してから干される
- 広告主のHPに計1万回のクリックを指示
- 降格処分で「管財部」に左遷されて郵便配送、携帯磨き、退職強要…
- 「マスターベーションだよねそれは」「この会社やっていけんの」
- 一審で会社側が一部敗訴、自慰発言が違法認定…
ネット広告で詐欺行為が横行
訴状や準備書面、一審判決文などの裁判資料によると、原告の飯田晃氏(仮名、現40代後半)は次のように訴えている。飯田氏は大学卒業後、海外ニュースの放送会社で映像の仕事を約10年続けた後、00年代に入ってから電機メーカー系列のプロバイダー会社に転職し、前職の経験を活かして、Webサイト、モバイルサイトの映像コンテンツのプロデュース、新規事業を担当した。
それから約5年後の05年1月、飯田氏は当時のイーアクセス(14年7月にワイモバイルに社名変更)に入社。きっかけは、求人募集だった。イーアクセスは前年04年6月に米大手プロバイダAOLの日本法人を買収して以降、AOLの人が次々と辞めていったため、AOLのサイトを運営していくマネージャー職を募集していた。それに飯田氏は応募し、採用されたのだった。
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AOLは04年6月~09年2月までイーアクセスが運営していた(ワイモバイルHPより)![]() |
飯田氏は入社後、それほど大きなトラブルもなく3年弱の月日を送ったが、07年12月、「開いた口が塞がらない」事態に遭遇することになった。
発端は、管理職が出席する会議でのことだった。そこで会員向けに配信しているメールマガジン「AOL通信」に掲載されている「アメリカン・エキスプレス(アメックス)・ゴールド・カード入会の広告」について、メルマガ経由の新規加入者数のノルマを達成するため、従業員にいったん入会させてノルマを達成し、手数料がかかる前に解約手続きをすることを決定したのだ。この会議には飯田氏も出席していた。
この会議の決定を踏まえ、同年12月12日12時36分、管理職に対し、「【お願い】」と題する以下のメールが、上司の坂山氏(仮名)から送られてきた。
「おつかれさまです。
先週の管理職会議でもお伝えさせていただきましたが、アメリカン・エキスプレス・カード入会のお願いです。
今朝配信された号外メール(添付※筆者注:そのメルマガは「AOL通信号外 アメリカン・エキスプレス・カードのご案内」と題するもので、「入会キャンペーン、初年度、年会費無料、ご入会いただいた方全員に、アメリカン・エキスプレス・カードのオリジナルネームプレートをプレゼントします」とした宣伝メール)を通じて入会いただくと、「初年度年会費(27,000)が無料」になる特典がございます。(中略)
なお、アメックスとの一連のディール(150万円の広告出稿)の中、30件の申し込みをコミットしていますが、12/10段階での申し込み数が4件です。
今回の号外からの獲得見込み
管理職の皆様(コンテンツ除く):11名
コンテンツ部(川合(仮名)、坂山含む):7名確定+α
一般メンバー:10名 見込み
累計:32名見込み(これでクリア)
売上面からみても、(150万円の広告出稿以外に)、申し込み1件あたり8,000円のアフィリエイトフィーとなりますので、AOLメンバーのみならず、皆様にも是非ご協力を頂きたく、ご連絡させていただきます」
いうまでもなくアメックスは、AOL会員から客を獲得するために、150万円も払って広告出稿している。それをあろうことか、イーアクセス内部で、アメックスに入会して、無料期間に退会して広告の成果を見かけだけ上げようとしたのである。
上記メールをみた従業員の一人は、10分後にこんなメールを送った。
「皆、一気に申し込んでしまっていいの?勤務先、思い切り同じ人達なんだけど」
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アメリカン・エキスプレス・ゴールド・カードの入会広告で詐欺的不正が行われていた(同社HPより)![]() |
すると、坂山氏は、こういう返事をした。
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不動産業者「athome」「メジャー7」「HomeWithNET」「ホームズ」のHP広告で、水増し詐欺が行われていた。このうち「HomeWithNET」は、イーアクセスの不正による損害のせいかは定かではないが、2012年9月18日でサイトは閉鎖した(各HPより)
広告詐欺の不正を中止するよう訴えた飯田氏は、その直後に、降格処分となって減給1割強となり、「管財部」という部署に左遷させられた。そこではセキュリティー対策と称して、社員用のイーモバイルの携帯電話のカメラを、クギとハンマーで破壊する作業や、郵便配達、机運びといった雑用をさせられ、上司との面談で退職強要に遭っていた(写真はワイモバイルHPより)
原告の一部勝訴とはいえ、一審判決で違法行為と認定したのは、原告との面談で上司が発した「マスターベーションと一緒」発言のみ。それ以外の原告の訴えはことごとく棄却された。この判決を下したのは今年3月に富士ゼロ“障がい者は用済み”訴訟で原告敗訴の判決を下した東京地裁民事第19部の芝本昌征裁判長だった(富士ゼロ判決時の当サイト記事より)
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