だからぁ～！　トヨタのルールとはそうなんだ！　

8月１日、染谷大介氏は、部品メーカーからトヨタ自動車堤工場に送られてくる箱を所定の位置に運び、空になった箱をメーカーに返す仕事をしていた。

1台の台車は200キロの重さだが、最高７台までつなげてある。後ろ向きに台車を引っ張ったところ、右ヒザに痛みが走り、右膝外側副々靭帯損傷を負ってしまった。

病院で治療した際に健康保険で受診したが、よくよく考えてみれば、会社での仕事中にケガしたのだから労災保険を使うのが当たり前と思い、労災保険に変えた。

ところが会社は、健康保険にしろと執拗に迫り、有給で休んでいた８月22日に、メールや電話で労災保険で受診するのをやめるよう、要求してきた。何が何でも労災保険での受診にしたくないという、異様なほどの空気を染谷氏は察した。（詳しくは第1回の記事を参照）

会社の対応は尋常ではなかった。何が起こっていたのか。染谷氏が振り返る。

「８月25日、仕事が始まると、CL（チーフリーダー）から、安全衛生処置室に行こう、と言われて行きました。私、チーフリーダー、安全衛生担当のAさんの、３人による話し合いが始まりました。

「このようなやり取りがあったのですが、ここで話してもラチが明かないと思い、『わかりました』という言葉を残して部屋を出ました」

もう少し調べてから判断しよう、というよりも、「労災じゃない」の一点張りだったというのだ。

本人に断りなく上司が病院に電話し労災から健保への変更要請

トヨタ自動車の健康保険証の裏面。

「現場に戻ってきてから、本人に断りなく会社が病院に連絡して保険を切り替えるなんてあり得るのか？そんなことを会社がしていいのか？という疑問で、いてもたってもいられなくなり、会社を早退し、確認するために病院に行きました