第四級アンモニウム塩が使われている柔軟剤と合成洗剤。P&Gの柔軟剤「レノアプラス」と花王の衣類用洗剤「アタックNeo」
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ファブリーズの除菌成分「第四級アンモニウム塩」は、陽イオン合成界面活性剤の一種で、柔軟剤や合成洗剤の抗菌剤としても使われている。洗濯の際に浮遊するほか、特に柔軟剤の場合は成分が洗濯後も衣類に付着して残留し、日々、皮膚に接触、吸入の恐れもあるので要注意だ。主要商品を調べると、柔軟剤ではP&G『レノア』、洗剤では花王『アタック』『ハイター』に、第四級アンモニウム塩が使われていた。この成分はいくつかの種類に分かれ、特に危険なのは、生殖毒性のある「第四級アンモニウム塩(塩化ベンザルコニウム)」。各メーカーに詳しい成分名を取材すると、「公開情報以上の成分名については社外秘」と、人体への安全性に関する情報にもかかわらず開示を拒んだ。答えられないということは、消費者としては生殖毒性アリの成分と考えて対処するほかない。その他の陽イオン界面活性剤についても、発がん性や生殖毒性のデータが十分なものは皆無で、安全性不明のまま使われている。柔軟剤や抗菌剤入り洗剤は避けた方が無難だが、使わざるを得ない場合に特にどれを避けるべきか、NG一覧表(図2、3)にまとめたので参考にされたい。
【Digest】
◇衣類に残る柔軟剤の陽イオン界面活性剤
◇柔軟剤成分の安全性比較
◇衣類用洗剤・漂白剤の安全性比較
◇ファブリーズ以外の除菌スプレーの成分は?
香り付きの柔軟剤が、ブームになって久しい。ただ、過剰な香りは健康被害も起こしている。
柔軟剤の香りをかいで「気分が悪くなった」、「頭痛がした」などという相談が急増したことで、2013年に国民生活センターが、柔軟剤の過度な使用を控えるよう呼びかけを行っている。
それに対応して、メーカー各社は「香りの感じ方には個人差があります。周囲の方にもご配慮の上、お使い下さい」とCMに表示するようになったのだが、CMをみても、フォントが小さく、表示時間もとても短いためにまったく読めない。商品のマイナス情報を示したくないという企業態度が透けて見える。
現在柔軟剤で問題にされているのは香料だが、じつは柔軟剤の、衣類を柔軟にする有効成分は、「陽イオン界面活性剤」といい、その中には、ファブリーズにも使われている「第四級アンモニア塩」も含まれる。それらの関係をまとめたものが図1だ。
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図1:陽イオン界面活性剤の分類 |
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第四級アンモニウム塩には大きく分類すると3種類あり、その中で最も毒性が強く生殖毒性の可能性が指摘されているのが、ファブリーズにも使われている「塩化ベンザルコニウム」。「アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩」の一種類に分類される。
以下商品表示をもとに、柔軟剤と合成洗剤に使われる陽イオン界面活性剤の安全性を比較するにあたり、成分の化学物質について発がん性・生殖毒性の毒性データで安全性が確認されているものは「〇」、データが無い又は不十分なものは「×」とした。しかし「〇」に該当するものはなかったため、第四級アンモニウム塩のうち、最も危険な「塩化ベンザルコニウム」が使用されている可能性のあるものは「×××」、それ以外で生殖毒性・発がん性の可能性が指摘されているものは「××」、発がん性・生殖毒性の安全性データが無いもの又は不十分なものは「×」とした。
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◇衣類に残る柔軟剤の陽イオン界面活性剤
柔軟剤の陽イオン界面活性剤については、花王のホームページにわかりやすい説明が掲載されている。
その説明によると、陽イオン界面活性剤とは、プラスの電気を帯びている界面活性剤のこと。衣類は水にぬれると表面がマイナスの電気を帯びるため、プラスの電気の陽イオン界面活性剤が繊維の表面に吸着し、繊維の表面にきれいに並んだ状態になる。
その結果、繊維の表面の摩擦抵抗が減って、繊維同士のすべりがよくなり、ふんわりとなめらかな仕上がりになる。また静電気の発生も少なくなる。
通常の洗浄剤として使われる界面活性剤は、すすぎの段階で洗い落とされるのに対して、陽イオン界面活性剤は、すすぎの段階において投入される。洗濯後にも、衣類に付着し続けることによって、効果が示されるためだ。
衣類全体が陽イオン界面活性剤にコーティングされているため、洗濯後の衣類を着ている間、ずっと陽イオン界面活性剤が皮膚に接触し続けることになる。
◇柔軟剤成分の安全性比較
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図2:市販の柔軟剤の柔軟成分の安全性比較一覧 |
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市販の柔軟剤の成分表示を比較し、結果をまとめたのが図2だ
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図3:衣類用洗剤・漂白剤の除菌成分の安全性比較一覧 |
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図4花王のリセッシュ、ライオンの「HYGIA」の成分の安全性比較 |
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