伊藤忠系・スペースシャワーネットワーク社が新人ジャズシンガーのCDを廃盤にした後、配信ビジネスに悪用続ける――裁判所も認定した音楽著作権の闇
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廃盤にされたShimaのCD『ザ・グッド・ライフ~ジャズ・スタンダード・フロム・ニューヨーク』 |
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- 他人の著作権を無断で
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ひとりの女性ジャズシンガーが法廷に立っている。芸名はShima。優れた歌唱力を持ちながら、不条理の渦に翻弄され、ステージから消えた。
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東京六本木にあるイースト六本木ビルの玄関。スペース社の本部が入っている。![]() |
CDの廃盤とは、音源データを削除し、店頭にあるCDを全て回収または破棄し、在庫品を一掃することである。CDが発売された直後に、一方的にCD廃盤を宣告されたら、CDの売り上げを糧に細々と生きるアーティストは、ただ呆然とするしかない。
2011年4月、ある1枚のCDが密かに廃盤に処された。ひと月まえに発売されたばかりのCDで、新人歌手・Shima(シマ)のデビュー作だった。
『ザ・グッド・ライフ~ジャズ・スタンダード・フロム・ニューヨーク』と題するそのCDには12曲が収められ、音楽関係者からも高い評価を得ていた。
『毎日新聞』(2011年2月17日付)は、次のようにShimaのCDを批評した。新聞の文化欄がジャズの歌手を紹介することはあまりない。
また、NHKのジャズ講座講師であり、東京ジャズフェスティバル初代編集長であるジャズ評論家・高木信哉氏は、『Jazz RECORD REVIEW』で、次のようにShimaのCDを評価している。
他人の著作権を無断で
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毎日新聞(2011年2月17日付け)に掲載されたのShimaのCDの紹介。![]() |
廃盤にされたCDは、小針俊郎氏が代表(当時)を務めるタッズ・インターナショナル社(以下、タッズ社)から発売(レーベル名は「24ジャズジャパン」)され、スペースシャワーネットワーク社(以下、スペース社)によって販売ルートに乗せられた。
このうちタッズ社の小針氏は、1948年生まれのジャズ・プロデューサーである。現在、FM放送「MUSIC BIRD」の「Jazz In Applause」という番組で司会を務める。FM東京に在職中は「ライブ・アンダー・ザ・スカイ」などのジャズ番組を制作した。
また、販売を請け負ったスペース社は、同社のウェブサイトによると、「日本のロック・ポップスを中心に、邦楽・洋楽・メジャー・インディーズを問わず、様々なジャンルを網羅し、全国のスカパー!J:COM、ひかりTV、ケーブルテレビで24時間放送する日本最大の音楽チャンネル」を運営する会社である。このうち「スカパー!」の知名度は極めて高い。
最近では、ベッキーの不倫事件で話題となったゲスキワ(ゲスの極み乙女)のプロモーターとしても知られる。アーティストやレーベルと契約し、音楽配信(レコチョク)やCDの製造販売を行う、日本最大級の音楽企業である。
同社役員には、伊藤忠商事の関係者が名を連ねている。
伊藤忠商事が37%の株式を所有する、同社の関係会社(住生活・環境カンパニー分野)でもある。
いわば、ShimaのデビューCDは、「24JazzJapan」というレーベルから、小針俊郎氏のお墨付きで世に出て、日本を代表するメディア企業の販売ルートに乗せられたのである。
ところが、スペース社と小針氏は、発売から1カ月弱にも満たない時期に、Shimaの了承も得ずに、CDを廃盤に処したのである。
この事件は、後に裁判になりShimaが勝訴するが、東京地裁の判決文の中でも小針氏らの廃盤行為が、次のように認定されている。この先は会員限定です。
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著作権が盗まれていたキャンデーの「春一番」。穂口雄右氏の作詞作曲。
ニューヨークの町。出典:ウィキペディア
配信は国内外の100社以上に対して行われていたことを示す小針氏の手紙の一部
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常習犯なのか?伊藤忠商事社員であり、株式会社スペースシャワーネットワーク社長の清水英明氏公認の違法配信。音楽著作権侵害。あまりにも手口が手慣れている???
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読者コメント
FMの小針俊郎って、日経新聞にこの間、音楽評論書いてたよ。
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