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ファンケル、「えんきん」被害相談について説明拒否 薬物性肝障害が発生した「目のピント調節」の機能性表示食品で――東京都消費生活センターは重大事故の報告怠り業務放棄

情報提供
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原因と疑われる5商品のうち、消費者から健康被害の申し出があった事を認めたのはファンケル社の「えんきん」だけ
 「目のピント調節」をうたう機能性表示食品で、治療に30日以上を要する重篤な健康被害が起きていたことが、4月10日発表の東京都の危害情報でわかった。このユーザーは、入院して医師の診断も受けたという。原因と疑われる商品はファンケル『えんきん』。同社は消費者から健康被害の申し出があったことは認めたが、因果関係など自社調査の内容について回答拒否し、説明責任を放棄している。今回の健康被害は「消費者安全法」にもとづき、「重大事故」として消費者庁が因果関係などの調査を行う義務があるが、東京都の「消費生活センター」が重大事故の報告を怠り、業務放棄していることも分かった。都と消費者庁による事故対応の制度がまったく機能せず、企業も責任放棄する現状では、消費者は自己防衛するしかない。安全上のリスクが明らかになるまで同製品の使用は控えたほうが無難だ。
Digest
  • 「目のピント調節」商品の摂取による急性肝炎で入院
  • 原因と疑われるのは4社5製品
  • 「消費者からの被害申し出はあった」ファンケル
  • 消費者庁にも調査義務があるが責任放棄

「目のピント調節」商品の摂取による急性肝炎で入院

「目のピント調節」の機能性表示食品で、重篤な健康被害が起きた。4月10日に東京都が公表した平成28年度上半期の「『危害』の消費生活相談の概要」に記載されたものだ。(後述するが東京都の記載内容は4月28日に改訂され簡略化されてしまった)。

 消費生活相談とは、消費者から全国の消費生活センターへ寄せられる苦情相談のこと。健康被害だけでなく、製品事故や架空請求被害なども含まれる。情報は国民生活センターが管理するPIO-NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)というデータバンクに集約される。元情報には企業名商品名なども記載されているが、閲覧できるのは消費生活センターの相談員や消費者庁職員などに限られ、一般の人は直接見ることはできない。

東京都の危害情報は、このPIO-NETに登録された東京都への消費生活相談の中から、ケガや病気などの疾病(危害)を受けたという相談事例をまとめて、消費者への注意喚起として公表したものだ。

当初公開されていた情報は以下のようなものだ。

被害者の40代男性は、4か月ほど前に友人から「目のピント調節の機能性表示食品60粒入り1袋」をプレゼントされ、2か月前から、表示通り1日2粒を朝晩に分けて摂取し続けたところ、1ヶ月半ほど前に、自宅でオレンジ色の尿が出た。

既往症の尿路結石の再発を疑って医療機関で検査したが結石ではなかった。その3日後に、全身にかゆみを感じて、別の医療機関でアレルギー薬の処方を受けたが服用はしなかった。

全身のだるさとめまいが取れず、5日後に血液検査を受けたところ、翌日に医師から「肝臓検査値が異常に高いのですぐ来院するように」指示され、その場で「急性肝炎の疑い」と診断された。

 3日後の朝に別の医療機関で血液検査を受けたところ、「要入院異常値」と言われ、中核病院を紹介され緊急入院。担当医の所見は「当該機能性表示食品による薬物性肝炎」だった。肝疾患の症状である「黄疸、全身のかゆみ、倦怠感の改善と薬物の除去治療」の後、2週間前に退院した。

肝障害の多くは、ウイルスやアルコール、薬物などいろいろな原因による起こるが、薬物によって起こる肝障害が薬物性肝障害と呼ばれている。

薬物性肝炎についての論文によれば、1997年~2006年の全国29施設での薬物性肝障害症例の分析結果では、起因薬が特定できた879例中、多くは医薬品が原因だが、10%にあたる88例は様々な健康食品が原因であった。

もし医薬品が原因と疑われた場合には、事業者や医療機関には、関連が明らかに否定できる以外を除き全てを報告する義務が医薬品医療機器法で課せられている。また、商品名とともに医薬品医療機器総合機構のホームページ上に公表される。

一方、機能性表示食品をはじめとする健康食品には、医薬品のような報告義務の制度が無い。薬物性肝障害の10%は見過ごされる可能性が高く、消費者は気をつけようとしても十分な情報が得られないのが現状だ。

ハインリッヒの法則によれば、1つの重大事故の背後には29の軽微な事故があり、そしの背景には300の異常が存在するという。したがって被害予防のためには、報告された被害事例について徹底的に調査し原因を究明する必要がある。

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原因と疑われる機能性表示食品4社5商品

原因と疑われるのは4社5製品

そこで、目のピント調整をうたう機能性表示食品の中で「60粒1袋、1日2粒の摂取目安」という条件を満たす商品を調べると、4社5製品に絞られた(左図)ため、筆者も関わる「食の安全・監視市民委員会」から、当該4社に質問状を送付した。質問事項は以下のとおりだ。

自社製品の事例か確認をしたか?

消費者庁や保健所に届け出たか?

消費者から企業へ被害の申し出があったか?

自社で因果関係などの調査を行なったか?

など。各社及び東京都からの回答全文は記事末尾にてPDFダウンロード可能としているので詳細は、そちらでご確認いただきたい。

4社いずれも、東京都から公表された事例が自社製品のものであるかは確認していないとのことだが、2社の2製品は容器の形状が違うので自社製品ではないと判断した、と回答。

残りの2社3製品のうち富士化学工業は、消費者からの被害申し出もない、と回答した。

「消費者からの被害申し出はあった」ファンケル

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ファンケルからの回答

ファンケルのみが消費者からの健康被害の申し出があったことを認める回答だった

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ファンケルからの回答2

2017年1月に粉末青汁を摂取しで薬剤性肝障害を起こした類似のケースでは、備考の欄に重大事故として処理されている。

ピント調節の機能性表示食品の事例も掲載されてはいるが、重大事故としては処理されていない

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読者コメント

 2017/05/27 18:20
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