竹中工務店(理系) 年収1300万円台の副部長まで年功序列で昇格する“サラリーマン建設ピラミッド”の頂点
![]() |
竹中工務店の社員証。各分野の職人らがのべ1千人超も働く建設現場に入ることもあるため、身分証は携帯必須。 |
- Digest
-
- 現場組とオフィス組――ゼネラリストはいない
- サラリーマン建設ピラミッドの頂点、施工部門の人たち
- ヒーローショーにバザー…神戸のユル~い寮生活
- 設計と施工、異なる労働の質とストレス
- 20代から海外赴任アリ
- 組織設計事務所との違い
- 設計社員5人に1人のCADオペを配置
- 2D→3D→BIMの流れ
- 監理と管理
- 「条件入れると自動で設計」はアリ
- プロジェクト特有のこだわり部分
- ガンガン言う「我が強いタイプ」が多い
- 竹中家の家業、派閥争いなし
- 古い建設業界、進歩は遅い
- 機械化進まぬ職人の手作業
- 独身寮、家族向け社宅が充実
- 総3に上がる際に資格取得が必要
- 「総合職(地域)」を「若干名採用予定」

現場組とオフィス組――ゼネラリストはいない
![]() |
竹中工務店20代後半社員の年収(源泉徴収票)。“現場職種”はプラス100万円くらい。![]() |
「自分の場合、残業は月30時間以内でサービス残業もなく、週休2日。給料も高いほうだと思います(左記参照)。ただ、週6日動く現場は、私も経験しましたが、確かにタイヘンで、土曜も交代で必ず出勤しますから、週2日は休めませんし、盆と正月でも一週間休めない。残業の上限も、設計や営業など非現場は60時間が目安ですが、現場は月80時間に設定され、100時間超える人もいます」(若手社員)
“現場”とは建築が進む個別の建設現場を指し、「作業所」と呼ぶ。そこでは竹中に限らず業界全体が「日曜だけ休みで残りは動く」が常識となっており、最終的な監督責任を持つ元請けのゼネコン社員だけ休んでいたら示しがつかない。
オリンピック需要に沸く建設業界に「働き方改革」という言葉はなく、現場の実質的な過労死水準労働(2~6ヶ月にわたる80時間以上の残業)は珍しくないという。
こうした実情のもと、ゼネコンの業界団体である日本建設業連合会(日建連)は、2022年3月期までに、施工現場を週休2日制に移行する「試案」を2017年9月に発表した。だが単純に実行すると、日給で働く現場の職人さんたちの出勤日数が減り、月収が減るうえに、工期も遅れる。日給を引き上げるとなると、そのコスト(7%とも言われる)を誰が負担するのか揉めることが予想され、実現は不透明である。
“現場”に入り浸りとなるのは、ゼネコン社内では、限られた職種の社員たちだけだ。具体的には、主要2職種=「建築施工」「設備施工」が中心となる。といっても、業界外から見るとわかりにくいので、まずは全体像の説明が必要だろう。
竹中工務店では、新卒採用において事務系と技術系の2つの枠で総合職を採用しており、約8割を理系が占める。2000年以降は計100~200人の範囲で毎年採用を続けてきたが、2015年度からは200人を突破。2017年度採用(2018年4月入社予定)では全258人にまで膨れ上がり、そのうち217人(84%)が技術系、と発表している。
![]() |
竹中工務店における組織と、大学時代の専攻。ほとんど直結しているため、大学の専攻選びで配属先がほぼ決まってくる。つまり高校生に対する、このレベルのキャリア教育が必要ということ。![]() |
技術系の配属先は、採用の内定時から概ね決まっており、職種によって細分化され、完全な縦割り組織だ。そして、最初の配属先(建築設計、構造設計、設備設計、建築施工、設備施工、建設機械、研究開発…といった10数個)から外に出ることは稀。特定の蛸壺内で、スペシャリストとしてのキャリアパスを歩む。ゼネコンには、ゼネラリストはいない
この先は会員限定です。
会員の方は下記よりログインいただくとお読みいただけます。
ログインすると画像が拡大可能です。
- ・本文文字数:残り14,534字/全文15,960字
1年目は全員必須で寮生活。同じ一棟のなかに「女性ゾーン」がある。(画像は公式サイトより)
竹中工務店の現場組織と人員体制
竹中工務店のキャリアパスと報酬水準
Twitterコメント
はてなブックマークコメント
facebookコメント
読者コメント
※. コメントは会員ユーザのみ受け付けております。記者からの追加情報
会員登録をご希望の方はここでご登録下さい
新着のお知らせをメールで受けたい方はここでご登録下さい(無料)
企画「ココで働け! “企業ミシュラン”」トップページへ
本企画趣旨に賛同いただき、取材協力いただけるかたは、info@mynewsjapan.comまでご連絡下さい(会員ID進呈)