「社風」を見分けるセオリー
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①~⑤以外の社風の見分け方(⑥2つのキークエスチョンに基づく):解説は本文参照 |
①カリスマ系&同族系
もっとも分かりやすいのが、カリスマ経営者が君臨している企業だ。経営者の性格や理念がイコール社風に反映されるので、その1人を尊敬できてウマが合いそうなら、入社しても後悔しないだろう。
楽天の三木谷浩、ソフトバンクの孫正義、京セラの稲盛和夫、ワタミの渡邉美樹、キーエンスの滝崎武光…などが代表格。
ただ、マスコミは成功した経営者を徹底的に美化して一面的に伝える傾向が強いため、成功物語だけをインプットして判断すると入社後にとんでもないギャップを感じることになるので、注意が必要だ。物事には裏表がある。
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カリスマの写真は常時、会議室に掲げられている![]() |
たとえば、京セラに今も君臨する稲盛名誉会長は、民主党幹部(前原誠司国交相、小沢一郎幹事長ら)にも支持者が多く、経営再建中のJAL会長にも引っ張られたカリスマ中のカリスマ。だが京セラは、中途入社者の離職率が高いことで有名。実際に中途入社して辞めた複数の元社員の話を聞くと、確かに新卒入社で最初から洗脳されてしまわない限り、ついていけない世界である。
会議室には稲盛氏の写真が飾られ、人事評価では稲盛氏が提唱する「京セラフィロソフィー」の理解度が最重要視され、20代では人事評価項目の半分を占める。稲盛氏の著作は半強制的に購入させられるし、小学校の「道徳の時間」を思わせる「フィロソフィー研修」に膨大な時間が割かれる。
「大家族主義」のもと、社内報には社員の子供の写真が並び、仕事と家庭を分け隔てる発想はない。「京セラコンパ」(社内の飲み会)やJリーグ「京都サンガF.C」の応援など、業務外の賃金がつかないイベントなどに拘束される。「京セラでは休みは悪と考えられ、有休を消化しても社内用語では『欠勤』とされます」(元社員)
一般的には業績目標値を超えたほうが評価されるが、京セラでは「完璧主義の原則」のもと、売上予測に対して100%であることが最も評価が高いという。
これらの考え方は、もちろん稲盛氏の中では完結していて、違法でもないため、“信仰”を持つ自信があるなら全く問題はない。ただ、他社では通用せず、キャリアにもならない独自の理論だ。
カリスマがいる会社に入社する場合は、事前に、経営側ではなく、社員側から発信された情報に触れておくことが重要。弊社サイト『企業ミシュラン』のほか、批判的な立場で元社員などが書いた著作(京セラなら書籍『京セラ悪の経営術』など)を読んでおくことだ。
また、ホリエモンなきライブドアが、当時とは180度逆の保守的なカルチャーを持つ「攻めない会社」に短期間で変わったように、カリスマがいなくなるとカルチャーも一変する点は注意が必要である。
これらカリスマ経営者が血縁で跡を継がせると、同族経営になる。重光一族によるロッテ、佐治一族によるサントリー、竹中一族による竹中工務店、飯島一族による山崎製パンなどが有名である。
創業者の息子が必ずしも有能な経営者である保証はないため、3代目で終わった井植家の三洋電機(パナソニックが買収)のように、同族企業は創業者が亡くなると脆くも崩れ去ることがある。今、崩れかけているトヨタ自動車も、半同族企業だ。
同族企業もカリスマ同様、独自のカルチャーを持つため、好き嫌いが分かれる。たとえば竹中工務店は、日本で17代続く竹中家の家業だ。
現在の竹中統一社長と故・竹中錬一会長の写真、そして社是・経営理念は、支店でも現場でも、必ず壁に貼ってあるという。
工事現場では、朝の朝礼で、社是と経営理念を、皆で唱和。「
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サイバーエージェントはウェットでフラットな社風。新興企業が多い。大学のサークル的なノリ。大企業でこのスローガン(TMN!)はさすがに無理。果たして、いつまで続けられるのか…。
本原稿は縮小版を「ZAITEN」(2010/4/1発売号)に配信した
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トヨタには異論ないけど他はピンとこないな。
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読者コメント
社風は最重要です。
例えその仕事が大好きでどんなに働いても社風によっては使い捨てに利用されるだけです。
社風は時によっては理不尽な事で真面目に働く者の命さえ消し去ります。
「辞めれない状態に追い込まれる前に」人生リセットを!
記事にも言及されているように、トーク番組で社長と文化人の対談があるが、あれは「企業PR」のためのヤラセ番組です。局のスポンサー的企業や文化人好きな経営者が頼み込んで出演させてもらってるだけで、別にいい会社だから選ばれて出てるわけではまーったくありません。
食品会社や原料会社は同族が多く、かなーり北朝鮮チック。バカ・ボンボンが卒業してすぐパパの会社に入ってきたら要注意!
企業によっては(どこの企業でも?)、部署によって雰囲気が違うことがあります。これもまた厄介だと思います。
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