My News Japan My News Japan ニュースの現場にいる誰もが発信者のメディアです

ニュースの現場にいる誰もが発信者のメディアです

ある富士通社員自殺の真相  妻証言「夫は富士通によるパワハラで自殺に追い込まれたんです」

情報提供
ReportsIMG_J20180613231727.jpg
自殺した富士通社員の妻・B子さん
 2017年10月、富士通の知的財産を管理する部署で働いていた同社の社員Aさん(当時50歳)が飛び降り自殺した。大学院卒業後、地元にある富士通の100%子会社(16年に富士通と合併)でSEとして働いていたAさんは、16年6月に富士通本体にある、上記の畑違いの部署に異動。だが遺族である妻B子さんの証言および医師の診療記録によれば、Aさんは配属早々に上司から人格否定的発言をされていたほか、ろくな新人教育も受けられないなかでミスを叱責され気分次第で怒鳴られるなど、パワハラの疑いがある扱いをされ、苦悩しきっていた。一方で富士通が存命中のAさんの訴えに対してとった措置は、「席替え」だけ。死後にB子さんが事情説明を求めると、Aさんの無能ぶりをあげつらうかのような「説明書」を提出するなど、責任逃れに終始している。自殺直前には「俺は会社のせいで再起不能になった」と語っていたというAさんの死の真相に迫る。
Digest
  • 大学病院の病棟を抜け出し、自殺
  • 「クセのある人」=「声が少し大きい人」?
  • 新人教育もないまま叱責、人格否定発言も?
  • 有休取得がきっかけで態度はさらに悪化
  • 対策はやはり「席替え」だけ
  • 「本を読みたい」と話した2時間後に

大学病院の病棟を抜け出し、自殺

2017年10月2日、総合エレクトロニクスメーカー・富士通の社員であるAさん(当時50歳)が、結婚8年目になる妻・B子さんと、まだ幼い子どもを遺して都内のビルから飛び降り、自ら命を断った。精神の病で治療中だった大学病院の病棟を抜け出しての自殺だった。

亡くなったAさんは秋田大学の大学院で電子工学を学び、同大学院卒業後の1993年4月に富士通の100%子会社である地元企業「富士通秋田システムエンジニアリング」に入社。同社はその後、「富士通東北システムズ」「富士通システムズイースト」への2度の社名変更を経て、2016年11月に富士通本体と合併し現在に至っており、Aさん自身も亡くなるまでの最後の一年間は富士通本体の正社員だった。

Aさんは上記富士通システムズイーストのシステムエンジニア(SE)として秋田で働いていたが、16年4月に東京本社に転勤し、さらに同年6月、SEから同社の「ビジネス戦略本部経営戦略統括部業務部」の中に置かれた「知財グループ」と呼ばれる部署に異動となった。知財グループとは、SEから寄せられる知的財産に関する問い合わせや相談に回答したり、富士通の保有する特許を侵害する第三者がいないかなどを調査する部署である。

この異動自体は、Aさんが自ら希望したことだった。その頃富士通システムズイーストでは秋田での受注減から東京方面への営業を拡大しており、Aさん自身も家族と離れ、時には1ヶ月もの長期出張を命じられることがあった。そうしたことから当時のAさん夫妻は、いっそ子どもが小学校に上がる前に東京に引っ越したい、と考えていたのである。

そしてAさんには、「どうせ東京本社で働くならば知財グループに行きたい」との希望もあった。実はAさんは10年ほど前に会社の業務とは別の発明で特許を出願して取得していたほか、会社でも一部の業務では知財権の取り扱いを経験していたこともあって、この分野に強い関心を抱いていたのだ。

妻であるB子さんによれば、Aさんは知財グループへの転属を希望するにあたって、同部署の管理職であるC課長と面談を行い、このときに同課長から「(知財グループには)クセのある人がいるけど大丈夫?」と尋ねられている。

「クセのある人」=「声が少し大きい人」?

ReportsIMG_I20180616205154.jpg
Aさんが富士通を退職したことを示す証明書。Aさんが自殺した2017年10月2日をもって退職したことになっている。

この「クセのある人」とは、知財グループにおけるC課長のひとつ下位の役職者であるDグループリーダーのことを指していた。だが「クセのある」という曖昧な表現だけでは、当時のAさんは特に不安にも感じなかっただろうし、したがって、その後に自分の身に起こる事態を想像できなかったはず、とB子さんは言う。

「実は私と夫は職場結婚で、私自身も以前は富士通システムズイーストで総務として働いていたので、職場での夫の様子は知っています。しかし私と結婚する前の彼が対人関係で特別問題を抱えていた様子は見聞きしたことがありませんし、結婚後も知財グループに異動し、Dリーダーと出会うまでは、人間関係について愚痴らしい愚痴を言ったこともありませんでした

この先は会員限定です。

会員の方は下記よりログインいただくとお読みいただけます。
ログインすると画像が拡大可能です。

  • ・本文文字数:残り4,892字/全文6,317字

Aさんが通院していたクリニックの「カルテ開示書」。

富士通の産業医による診断書。ともに「抑うつ状態」と診断されている。

Aさんが鼻の手術を日大附属病院で受けた際のカルテにも、Dリーダーと見られる人物に関する記録がある。

富士通グループの理念・行動指針を示した「FUJITSUWay」。「社員は富士通グループの最大の財産」とあるが…

公式SNSはこちら

はてなブックマークコメント

もっと見る
閉じる

facebookコメント

読者コメント

富士通の知財担当者2019/09/12 22:12
富士通の知財担当者2019/09/12 22:09
富士通の知財担当者2019/09/12 22:01
そんなクセの傾向2018/06/24 13:59
首がイタイイタイ2018/06/24 11:00
関連記事2018/06/21 14:04会員
※. コメントは会員ユーザのみ受け付けております。
もっと見る
閉じる
※注意事項

記者からの追加情報

後編はこちら
本文:全約6500字のうち約5100字が
会員登録をご希望の方はここでご登録下さい

新着のお知らせをメールで受けたい方はここでご登録下さい(無料)