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日大・田中理事長と内田常務が強行した“非常勤講師ホロコースト計画”で8人が提訴――専任教員は穴埋めでコマ数6割増の労働強化へ

情報提供
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日大の非常勤講師ゼロ化計画。非常勤の仕事をなくした穴埋めは、専任要員の基準担当授業数60%増でまかなうという。
 日本大学で3,643人の非常勤講師を雇止め・解雇する「非常勤講師ゼロ化計画」が全学部的に進んでおり、担当授業減と雇止めが続出中だ。前アメフト部監督の内田正人氏が理事で人事部長だった2015年に出された基本方針が発火点となっており、現在働いている非常勤講師をゼロ⇒2016年以降に新たに採用された者は契約期間上限を5年に⇒非常勤担当の授業を削減、最終的に非常勤講師を一掃する計画で、非常勤を専任に転換する予定はない。なかでも田中英壽理事長が「事務局長事務取扱」として陣頭指揮をとるスポーツ科学部・危機管理学部では、大学から講師に「平成32年3月までは、継続してご担当いただきますようお願い…」と文書で依頼しておきながら、英語非常勤講師15人全員を今年3月で雇止めし、非常勤を排除したあと授業を英語学校に丸投げしたため、偽装請負の疑いも出ている。2018年6月22日、非常勤講師8名が、地位確認や給与支払いを求め、東京地裁に提訴した。(記事末尾で訴状PDFダウンロード可)
Digest
  • 英語非常勤講師を全員雇止め 危機管理学部&スポーツ科学部
  • 学校教育法92条違反と偽装請負というダブル疑惑も
  • 専任教員なみの授業数担当なら年収176万円
  • ホロコースト計画のはじまりの「基本文書」
  • ゼロ化計画の具体策は労働契約法の潜脱狙い
  • 奴隷を海に突き落とし、自由民をガレー船の漕ぎ手に

英語非常勤講師を全員雇止め 危機管理学部&スポーツ科学部

今年2月11日、大学関係者から一通のメールが筆者に送られてきた。

「日大でも非常勤講師の契約期間に5年上限を設けています。でも、早稲田や東大・東北大の場合と違って日大問題に関しては、大手マスコミは全く報道しません」

報道されない理由や背景が列挙されているが、へたに報道すると「怖い」「やっかい」というニュアンスが文面からにじみ出ている。明らかに他大学とは違うリアクションが想定される旨がメールには書かれていた。

それから3カ月後、日大アメフト部のタックル問題が明るみに出た。たんに一運動部の指導・指針ではなく、日本大学そのものの体質に問題があるのでは――と世間に知れ渡ることになったのは、周知のとおりだ。

一般企業なら非正規社員に相当する非常勤講師問題でも、日大ではかなり強引な人事施策が進められている。田中理事長と内田常務理事の体制下で雇止めが始まっていたが、そんな中で昨年2017年11月、三軒茶屋キャンパス内が、にわかに騒がしくなってきた。

三軒茶屋キャンパスには、「スポーツ科学部」と「危機管理学部」の2学部がある。日本オリンピック協会副会長を務めていた田中英壽理事長が力を入れた2学部は、2016年4月に新設された。

非常勤ゼロ化計画の焦点のひとつが、三軒茶屋キャンパス(スポーツ科学部・危機管理学部)問題であり、それを主導しているのが、田中英壽理事長である。単に理事長だからというだけでなく、この三軒茶屋キャンパスでは、「事務局長事務取扱」の役職で、非常勤講師就業規則の制定にかかわる説明会招集の文書も田中氏が直接出している。

三軒茶屋キャンパスは、田中理事長の”直轄地”ともいえるだろう。

大学設置法などの規定や文科省の指針などにより、学部完成までの4年間は、カリキュラムの改編や教員の入れ替えなどは、原則として認められない。

ところが、昨年11月、三軒茶屋キャンパスで非常勤講師説明会なるものを急遽開催し、英語非常勤講師15人全員を平成30(2018)年3月で雇止めすることを通告したという。当の非常勤講師たちは、おそらく面食らったに違いない。実は大学設置法や文科省の方針に則って日大当局は「平成32年まで講師をお願いします」との趣旨を文書で出して非常勤講師を募集していたからである。

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田中秀英壽理事長の肝いりで新設された危機管理学部とスポーツ科学部では、平成32(2018)年まで授業を担当してほしいと文書を発したが、途中で雇止めにした。

その文書とは「非常勤講師採用に関する書類等の提出について(依頼)」

そこには「(学部)完成年度の平成32年3月までは、継続してご担当いただきますよう、お願いいたします」と記されている。

工藤学務委員長の説明は、こうだ。

「コミュニケーションベースの英語の教育課程を再構築すること、さらには、その教育効果を最大化するために教育メソッド、教材、レヴェル管理、授業評価などを担当の講師に対する管理を組織的に戦略的に行うこととしたものであります。

言い換えますと、これまでのような、先生方個々人との契約に基づいて、

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(上)大内吉兵衛学長が財政事情を背景に授業科目数を考慮する必要があると発信。しかし日大の財政は安定している。((下)田中理事長が積極的に関与していることを示す文書。非常勤講師就業規定などにもかかわってきた。

誰も得をしない非常勤講師ゼロ化計画の方針をしめす基本文書。

多くの大学で非常勤講師の5年雇止めを撤回している中、日大は5年上限に執着している。

6月22日に日大を提訴した非常勤講師たちの思い。

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読者コメント

2018/07/29 00:50
2018/07/12 15:35
miyake2018/07/12 11:16会員
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記者からの追加情報

【情報1】この問題の背景がよくわかる 「ブラック大学 早稲田」(同時代社)

【情報2】日大訴訟第1回口頭弁論
2018年9月20日(木)午前10時、東京地裁709号法廷

本文:全約7600字のうち約6200字が
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