AI時代に食える仕事 食えない仕事――GAFA勢の軍門に下らないポスト平成のキャリア構築
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『週刊東洋経済』(2019年4月8日発売号)に掲載 |
- Digest
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- 猛威を振るうGAFA勢
- 個人向けがネットにシフト
- 法人向け事業は人間の強みが活きやすい
- 10年後まで二極化が進む
- 20年後は手先ワーカーの業務も減っている
- GAFAの軍門に下る「新型社畜」たち
- 感情・信用・創造ワークへシフトせよ
猛威を振るうGAFA勢
あなたの仕事は、機械に置き換わる可能性があるか――という質問を、この3年余り、第一線のビジネスパーソンにぶつけ続けてきた。
法人向け営業職は、どの業種でも概ね、AIやロボットの進化に対する危機感は持っていなかった。JTBの営業(30代)は、自身が企画・添乗した褒賞旅行(高業績者へのインセンティブの一種)をもとに、こう解説した。
「東南アジアのある国で、通常は一般に貸し出さない歴史的建造物を交渉して借り切り、オーケストラ生演奏を手配し、現地の特産物でもてなす等のサプライズをゼロから演出しましたが、参加者は『これまでの旅で一番よかった』と喜んでくれました。何をすれば感動するかは、感動したことがない機械には、判断できませんからね」
一方で、いわゆるGAFA勢、すなわちエクスペディアやブッキングドットコム、トリバゴといったグローバルOTA(Online Travel Agent=ネット旅行代理店)の攻勢で、個人向け事業は直近の4年連続で、売上を減少中。急成長のインバウンド(訪日客)市場もOTAにやられっぱなしで、グローバル事業に至っては2年連続で営業赤字だ。
旅行代理店業界は、格安旅行会社「てるみくらぶ」が2017年に倒産。価格勝負の個人向け市場は、巨大資本のGAFA勢(『楽天トラベル』や、ヤフーが買収した『一休』を含む)に浸食され、中間層以下の淘汰が進行中。インバウンドで市場が拡大するなかでも、旅行業者数は2002年11,148→直近2017年の10,301と減少した。
規模の利益で大量調達できる巨大資本に「宿泊費の最安値保証」を仕掛けられると、弱小資本は勝負にならない。自転車操業になり、最後は倒産するか、大手に系列下される運命だ。
個人向けがネットにシフト
法人向けは残り、個人向けはオンラインのGAFA勢へ。これは各業界で進んでいる。銀行は法人向け営業担当者は残るが、個人を担当する支店窓口やバックオフィスの事務系スタッフは、大幅な削減となるのが確実。各行とも、ネットバンク利用を促す。
証券業界も、ネット証券会社の登場後、法人やオーナー社長など大口向け営業担当者は残ってアナログ的なドサまわり提案営業を続けるが、中小証券会社のいくつかは大手に吸収され、小口の個人はネット取引で完全自動化へ、という棲み分けが進んだ。窓口で人間が対応していた手続きはシェアードサービス化し、ネットと郵送に置き換わった。
小売業では、アマゾンが、書店をはじめ小売店全般を駆逐しつつあり、プラットフォーム内に出店させてその軍門に下らせ、圧倒的な支配力を武器に、自由に手数料を徴収している。アパレル販売において、ZOZOの出店ブランドは、平均で売上の30%超を納める。
UberやUber eatsは、世界中でドライバーをその軍門に下らせている。フェイスブックやグーグルは、世界中で広告代理店の仕事を奪う。
デジタル化社会の特徴は、個人向け市場において、GAFAに代表される巨大プラットフォーマーが圧倒的な競争力と支配力を持ち、中間層以下を根こそぎ駆逐し、軍門に下らせていく点にある
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ポスト平成のワーカー:「人間にしかできない」4つのアナログ分野で差別化せよ
掲載イメージ(42、43頁)。電子書籍はこちら。
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読者コメント
AIに関する技術が重要なのは明白だが、IT技術はどう査定、評価されてきただろうか?評価基準は誰が決めますか?会社は評価基準を公開などしていますか?若い時は給料が低くても今だけと我慢するが、無理が効かなくなった頃に使い捨てされないでほしい!シリコンバレーにも病人が多く出たがどれくらいのメディアが伝えましたか?次世代の若者達が氷河期世代のような末路にならないことを願いたい。
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