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「絶望の防衛大」を元学生が提訴 上級生から罵倒され続けること数年間、精神がボロボロになり声失う

情報提供
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準強姦未遂(部外にて泥酔した女子高生に実施)、強制わいせつ(同)、Ipadや携帯電話の窃盗、エアガン乱射、カンニング、私的制裁・・・多発する服務規律違反の状況を記した防衛大学の文書。刑法犯に相当する事件も年間20〜30件起きている。
 「指導」にかこつけて毎日のように呼び出しては、暴言を浴びせる、無視する、反省文を書かせては破り捨てる、といったイジメを上級生から受け、言葉を発することができなくなるほどの精神的ダメージを被った防衛大学元学生の男性が、上級生の男(現・陸自幹部)と国を相手に訴訟を起こした。教官は上級生のイジメを黙認し、やがて同級生らも加担する陰湿な集団イジメにエスカレート。元学生の訴えから浮かぶのは、“国を守る”という掛け声とは正反対の、傷ついた仲間を攻撃してうさ晴らしをする防衛大学の醜い内幕だ。大学の内部文書によれば、服務規律違反者は、約1400人いる学生のなかで毎年150人前後に達し、うち20人〜30人が刑法犯相当だと報告されている。2019年12月には、女子小学生への強制性交容疑で防衛大学生の幹部自衛官(30歳)が警察に逮捕された。今回の裁判で表面に出た「イジメ」も氷山の一角にすぎない可能性がある。
Digest
  • 上級生Yの陰険ないじめ
  • 過呼吸発作もいじめのネタに
  • 「お前が過呼吸起こしても"指導"やめない」 
  • いじめ被害は不問で退校命令 
  • アンケート改ざん疑惑
  • 防衛大学は犯罪者だらけ?

◇横浜地裁での悲痛な訴え

「(上級生のYに)毎日のように寮の内線電話で呼びだされ、人格を否定する暴言を浴びせられました。呼び出しておいて無視したり、追い返すこともありました。私はそのうちに、電話の音を聞いたりYの部屋へ行くだけで過呼吸を起こすようになりました…」

2019年12月4日、横浜地裁の504号法廷に、原告Aさん(25歳)の意見陳述書を代読する代理人・後藤愛弁護士の声が響く。その横の原告席で、Aさんは固い表情で座っている。約40ある傍聴席は満員だ。大半は支援者で、静かに聞き入っている。

防衛大学元学生のAさんが原告となり、上級生のYと国を相手どって慰謝料など約4600万円の賠償を求めた国家賠償請求訴訟(原告弁護団長・岡田尚弁護士)の第1回口頭弁論の様子である。

裁判開始にあたり、ことの深刻さを裁判官に伝えようと、原告が意見陳述を行ったのだが、Aさん自身ではなく、代理人弁護士が代読したのには事情がある。Aさんは現在、声を発することができず、病院で治療を受けている。防衛大学でイジメに遭い、大きな精神的ダメージを受けた後遺症だ。

以下、訴状をもとに事件をみていきたい。

Aさんが高校を卒業して防衛大学に入学したのは2013年4月、その直後から「指導」に名を借りた上級生の理不尽なイジメに遭ったという。

なお、このころのイジメの具体的な状況は、訴状には書かれていない。ただ、ベッドのシーツやマットレスを窓から放り投げる、名札の縫い目が粗いといって執拗にやり直しをさせる、食堂で先輩の飯盛りや茶汲みを、それぞれの好みに合わせて「気配り」して行う――といった前近代的な悪習があることはよく知られている。

また、「粗相ポイント」と称して、上級生が難癖をつけて1年生個々について罰点を積算していき、それを「消化」させるために、風俗店に行かせる、陰毛を燃やす、乾麺を固いままで一気に食べさせるといった犯罪まがいの罰ゲームを強いるという風習があることも明らかになっている。

Aさんもこれと似た経験をしているとみられる。あるいはもっとひどいことがあったのかもしれない。詳細は裁判の進行を待ちたい。Aさんの健康状態の問題があり、取材がスムーズにいかない事情がある点を容赦いただきたい。

さて、逃げ場のない寮生活のなかでのイジメに対して、Aさんは当初耐えていたものの、半年ほどたつと心身の不調を覚えるようになる。何に対してもやる気がおきなくなったのだ。

2013年11月ごろ、Aさんの様子がおかしいことに同室の上級生が気づき、Aさんは自衛隊病院を受診させられる。そこで「適応障害」と診断される。

当時の診療記録に、Aさんの気持ちが記録されている。

〈防衛大は希望校。全寮制だけがイヤ。それ以外は魅力的。入ってみて全寮制はきつい。慣れてきたが一人でいる時間がない。やめたいわけではない〉

学校を続けたいという前向きな姿勢がみえる。もしこのとき学校が健康管理を適切に行っていれば、ことは深刻化しなかっただろう。

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上級生から「指導」の名のもと、理不尽な呼び出しと恫喝を執拗に受け、声がでなくなるほどの精神的打撃を受けた元防衛大学生Aさんは、国と上級生(現陸自幹部)を相手どって損害賠償請求訴訟を起こした。第1回口頭弁論後の集会で支援者に報告する弁護団長の岡田尚弁護士(中央)と田渕大輔弁護士(手前)ら(2019年12月4日、横浜市内)。

上級生Yの陰険ないじめ

精神的に疲弊しているとの診断が出たにもかかわらず、あろうことか、受診がきっかけでAさんへのイジメは、やむどころか過激化する。2014年2月、Aさんは上級生から「指導」を受けた際、強いストレスから過呼吸発作を起こす

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元防大生Aさんの裁判が行われている横浜地裁。

「防衛大学校は、若人が4年間の大学生活を過ごすのに最適な大学であることを、確信をもってお伝えします」と防衛大学の受験を呼びかける國分良成学校長。しかし、通常の大学ではあり得ない常軌を逸した風紀の乱れと「学生間指導」に名を借りたいじめの横行により、多くの学生が退校し、また精神を病んでいる。防衛大学のホームページより。

防衛大学に籍を置く海上自衛隊の1尉(30歳)が女子小学生に対する強制性交容疑で警察に逮捕されたことを伝える時事通信の記事。学生らによる強姦や準強姦、強制わいせつ事件は多発している。

防衛大学学生の非行事例を集計した内部文書。イジメが横行し、自殺や自殺未遂も頻発しているといわれる。

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 2020/01/01 20:17
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