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大増税 あなたはいくら負担増?選挙はどうする?

情報提供
 700兆円以上に上る膨大な国の借金を背景に、政府税制調査会が6月に公表した「個人所得課税に関する論点整理」は、給与所得控除や扶養控除、配偶者控除の縮小・廃止の方向性などを盛り込む増税色の濃い内容となった。その中でも特に給与所得控除の縮小は「サラリーマン増税」との批判を受けている。どのくらい増税になるのかをシミュレーションしてみると、投票行動もおのずと決まってくる。
Digest
  • 歳入-歳出の差額は20兆円も
  • 自民政権は、サラリーマン増税なしなら消費税20%
  • 民主は歳出削減を強調
  • マニフェスト通り実行なら、民主がまし

 給与所得控除がどの程度縮小されるのかは、論点整理には明記されていないが、政府税調の2000年中期答申には「 年間収入の一割程度という試算が得られる 」との具体的な数字が示されている。

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「相当手厚いものとなっている」というのが税調の見解

サラリーマン増税が実施されて給与所得控除が年収の10%にまで減らされ、合わせて定率減税が廃止された場合をシミュレーションすると、課税所得の上昇とともに、所得税・住民税は、大幅に上がることになる。

政府、財務省の考える最終的な増税は消費税の引き上げであり、この所得税の増税はあくまでその前段階、地ならしのようなもので、大増税の第一弾といえるものだ。

サラリーマン増税が具体的にどのくらいの負担増となるのかは、下記シミュレーションツールを使うと分かる。

 →サラリーマン増税シミュレーション

(製作者 信州税務研究所、システム改変 佐々木敬一)

例えば、独身で年収450万円、社会保険料が年収の12%の場合、所得税、住民税は合わせて50万8千6百円、増税額は23万2千3百円にもなる見通しだ。それに社会保険料を加えた負担総額は、104万8千6百円にも達してしまう。

このサラリーマン増税計画が国民から批判を浴びたことで、自民党は都議選(7月3日)の投票日直前になってサラリーマン増税を「許さない!」との号外のビラを配布し、郵政解散後の衆院選挙のマニュフェストにも、サラリーマン増税はしない、と明記するなど、火消しに懸命となっている。

しかし、これは増税しないといっているわけではない。同党の武部勤幹事長は8月28日、フジテレビの「報道2001」出演時に、司会者から「(マニフェストは)消費税を上げるということか」と問われ、「それはそうだ」と述べ、さらに、「首相退任後に消費税率を上げるということか」と司会者に問われると、「そうだ」と語った。

その後、党本部で同幹事長は「07年度に上げるということではない。消費税を含めた税体系の抜本的改革を『検討する』、ということだ」と釈明したが、テレビでの発言は本音がポロリと出ただけの話で、消費税アップは自民党の規定路線である。

歳入-歳出の差額は20兆円も

自民のマニュフェストには、19年度を目処に消費税を含む税体系の抜本的改革を実現する、と明記。2010年初頭にプライマリーバランス(基礎的財政収支)を回復するとあり、そのためには、少なくとも20兆円の歳入、歳出の差額を埋めなければならないといわれる。(政府税調議事録より)

政府は歳出削減と増税を合わせて財政を健全化させるといい、マニュフェストには、小泉内閣は過去5年間で計10兆円の歳出改革を断行した、と自画自賛しているが、これは単年度予算でみた場合、2兆円の削減でしかなく、プライマリーバランスの回復には程遠い。

自民政権は、サラリーマン増税なしなら消費税20%

 自民政権下で進められてきた整備新幹線や 八ツ場ダムなどの巨大公共事業 は続行され、特殊法人改革も看板が変わっただけで、税金の無駄を今も重ねている。今後、超高齢化社会により年金、医療などの社会保障費が毎年1兆円近く増え続けることを考えると、自民党政権がさらに歳出削減を進めるといっても、大増税は避けられない。

プライマリーバランスの赤字は、所得税見直しのサラリーマン増税と消費税で埋め合わせる方針だった。サラリーマン増税が実施されれば約10兆円の増収ともいわれる。残りの赤字分は、消費税率を大幅に上げることでプライマリーバランスは回復できるという算段だった。

そのサラリーマン増税は国民の批判を浴びたため、いったんは立ち消えとなっている。しかしそれは、その分を消費税に回すということで、大増税に変わりはない。消費税は1%上げる毎に、景気の抑制効果などを考慮しても約1.3兆円の増収効果があり(政府税調審議より)、政府にとっては国債同様、打ち出の小槌のような存在なのだ。

 また、マニュフェストにはサラリーマン増税はしない、とあるが、所得税の見直しをしない、とは言っていないので、形を変えた所得税の大増税案がまた出てくる可能性は残っている。

不足分の20兆円という数字についていえば、自民党のマニュフェストにも、税金と社会保険料、負担等をあわせた国民負担率を50%以内に維持する、とある。平成17年度の国民負担率は44.8%なので、そこから5.2%とすると、約20兆円増税できるので、辻褄が合う。

今回の自民マニュフェストの通り、サラリーマン増税は行わずに、消費税アップだけで20兆円の赤字を埋め合わせた場合の消費税率は21%に達する見込みだ。財務省の試算でも消費税は19%、野村證券の試算でも26%となっており、2桁アップはすでに規定路線といえる。

民主は歳出削減を強調

他方、民主党のマニュフェストには、2013年にプライマリーバランスを回復するため、最初の3年間で国の直轄公共事業半減、国家公務員人件費総額2割減、特殊法人向け支出半減など10兆円の歳出削減を実施、次の5年間で歳入改革を行う、とあるが、消費税の引き上げについては明言を避けている。

民主党の歳出削減は本当に実行すれば官僚の執拗な抵抗が予想されるが、仮に公約を実現し、単年度あたり10兆円の歳出を削減することに成功して、プライマリーバランスの乖離が10兆円となった場合、消費税アップでそれを賄うとすれば、消費税率はおよそ13%ですむことになる。

ただ民主党は、年金保険料の徴収を税金と一体化する、としており、これは、年金に不信を持ち未納を続ける若年者層などにとっては、当面の負担増要因となる。将来的には、年金目的に限定した消費税も導入するとあるので、消費税率はさらに上がっていくことになる。

マニフェスト通り実行なら、民主がまし

 自民、民主のどちらが政権を獲るにしろ、増税は避けられそうにない。ただし、所得税を固定化したとしても、数年後に、歳出削減の数値目標を掲げていない自民党政権の場合は消費税が20%近くに上がり、民主党の場合だと13%程度ですむ見通しなので、税を争点とした場合、国民にとっては、単年度の歳出削減10兆円を公約に掲げた民主党の方がメリットが大きいということはいえる。

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読者コメント

今回だけ支持者2008/02/01 02:49
無党派2008/02/01 02:49
政界を覗いてきた者22008/02/01 02:49
政界を覗いてきた者2008/02/01 02:49
別の元講習受講生2008/02/01 02:49
小さな政府2008/02/01 02:49
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