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税金無駄遣いの国会文書 ペーパーレス化が可能なのに

情報提供
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衆議院議員会館内にある議員ポスト。文書課が書類を配っているが、複数の議員秘書は『書類は事務所に持って行った後、すぐに捨てている』と語る
 「消費税を上げる前に、まずは歳出削減の徹底を」と政治家たちは盛んに発言するが、国会内部でも税金の無駄は繰り返されている。そのひとつが、旧態依然として紙で配り続けている無駄な配布物類だ。これらは、あえて隠している部分も含め、ネットで全て公開し、必要箇所だけ各自がプリントアウトすればよい。
Digest
  • 「そのまま捨てている」
  • 山積み放置の人も
  • 年間13億円もの無駄
  • 独立行政法人が印刷
  • 重要項目は公開しない「公報」
  • 法改正が必要

「そのまま捨てている」

国会の会期中、膨大な量の文書が日々、国会議員に配られている。文書の中身は、議事の経過などが記載された「公報」、本会議や委員会の「会議録」、各省庁や議員が提出した法律の「議案類」。これら書類は、衆参両院の文書課が、各議員のポストに漏れなく配布している。

 会議録と議案は、両院のインターネットWEBサイト(衆議院参議院 )で一般にも公開されている。しかも会議録は、紙で刷り上るよりもネットの方が数日早く見ることができる。公報は、ネットに要旨のみアップされている。

与党の議員秘書A氏は「議員会館にパソコンやインターネットが完備されているのだから、ネットで全て公開し、必要な箇所だけ各自がプリントアウトすればよい。文書は無駄」と語る。

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文書課の予算なども取り決める議院運営委員会の理事・山本有二議員のポスト。30cmもの高さに書類が山積みされている

山積み放置の人も

実際に国会会期中、文書が配布される衆議院議員会館内のポストを見に行った。

各議員のポストには、確かに文書課が配布した書類が置かれていた。「ここに積まれた文書を事務所に持って行き、そのまま捨てています」(A氏)。

なかには、山積みされているポストもある。まさに文書の予算などを取り決める立場にある「議院運営委員会」の理事である山本有二議員のポストは、30cm以上の高さになっていた。ほとんど利用されていないようだ。

これら文書化が配る書類について別の野党議員秘書B氏もこう証言する。「事務所を出てすぐ横にあるゴミ箱に捨てていますが、他の議員も同じように捨てるので、会期中は文書課の書類でゴミ箱が満杯になって、捨てるのにも困るんです」。

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国会議員や政党、省庁にだけ配られる「衆議院公報」。衆議院文書課が作成し、国会会期中は毎日、配布される。インターネットでも一部掲載しているが、「雑報」「広告」といった国会議員の詳しい動きが載っている箇所は公開していない。

年間13億円もの無駄

こうして各議員に配られる文書は、一年間で一体どれほどの分量になるのだろうか?それを確かめるため、国会図書館へ行き、今年の通常国会、臨時国会の会期中に文書課が議員一人につき配った公報、会議録、議案類などを積み上げたところ、高さは約3メートルにも上った。

→動画はこちら

 積み重ねられた文書の印刷費用はどのくらいなのか。財務省HPの 平成17年の一般会計予算(181頁、183頁)によれば、衆院の議案類印刷費が757,492(千円)、参院が565,582(千円)、衆参合わせて実に年間およそ13億円にも上っている。「全員分を印刷する必要はない」(B氏)。

こうした文書一つにつき2~3千部を刷っている、と説明する衆議院文書課に、ペーパレス化の取り組みを聞くと、「昔は事務局内の職員一人一人に配っていたが、今は部署ごとで回覧するようにしている。大分、部数は減らした」と言う。しかし、印刷費の予算はここ数年、横ばいで推移しており、コストは全く削減されていない。

また同課に対し「インターネットで見ることができるのだから、紙にする必要性がないのではないか」と問うと「議員に配っているのは、法律に則ってやっている」。国会法と衆議院規則、参議院規則には、文書を議員に配布するよう明記されているという。

独立行政法人が印刷

無駄を重ねる国会の文書。この印刷は全て、衆議院第二別館にある独立行政法人・国立印刷局の国会分室の工場で刷っている。つまり、無駄な書類の山は、印刷局の無駄な仕事(人件費)にも化けているのだ。

 この印刷局は、本来、国民全体に知らせるべき国全体の動きが記載された官報も、有料で販売して儲けている。 ネット上でも公開されている が、なぜか掲載日から1週間しか公開しないというやる気のなさだ。

重要項目は公開しない「公報」

 紙文書の1つである衆・参両院の「公報」には、各政党の部会や調査会の会合などの日程や人事が記載された「広告」という項目や、議員歳費の支払いなど興味深い項目も記された「雑報」という欄などもあるが(右画像参照)、ネットではそうした情報は公開されず、国会の各委員会の議事の日程や経過だけ掲載している。(衆院 /  参院

これでは国会議員が何をやっているのか、有権者にはよくわからない。

実際に実物(右)を見てみると、冒頭は「清子内親王殿下御結婚当日の参賀について」から始まり、「欧州各国における議会制度等調査のため本院から派遣される議員団」(8人)の実名が載っていたりと、国会議員の動きがよく分かる。こうした視察旅行は半分遊びであることが多く税金無駄遣いの批判があるため、国民の目に触れさせたくないのだろう。やましいところがないならば、ネットで公開すればよい。

公報は国会議員や政党、省庁にしか配られないため、一般の有権者がそうした情報を知るためには、国会図書館まで足を運び、閲覧しなければならない。ネットで公開する技術があるにもかかわらず、あえて情報を伏せているのだ。

国会は立法機関ということで、情報公開請求もできない。総務省・情報公開総合案内所によると、国会は会計検査院に収支報告などを提出しているため、かろうじて会計文書に限り、請求できるだけだという。

選挙時に国民に対し「政治に関心を持ち投票率アップを」と呼びかけるのであれば、そうした情報もオープンにするべきである。

法改正が必要

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2005年になってから文書課が議員一人につき配った文書を積み上げると、高さは約3メートルにも上った(↑11月19日に追加した)

 

 

 

 

 

こうした無駄の根源は、政治家自身が旧態依然とした法律を改めずに放置していることにある。税金の無駄を繰り返すのは国会職員であるが、それを決めているのは国会議員だ。国会文書の制度や予算など国会の運営は、衆・参の議院運営委員会で決まるのだから、議員が本気で変える気になれば、国会の無駄はすぐに改めることができる。

「まずは歳出削減から」というが、まずは国会議員自身が変わらないと、国全体の壮大な無駄を削ることなどできるはずがない。

 法を変える権限と責任を持ち、かつ無駄を放置しているのは コイツら (by片山さつき衆議院議員の日本語)なので、有権者が訴えて気づかせる必要がある。

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橘田光一2009/08/04 05:43
匿名2008/02/01 02:49
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通りすがりの者2008/02/01 02:49
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記者からの追加情報

国会議員は知らないと思うが、最近はコスト削減のために、企業の「社内報」や「給与明細」はWEB上にあるものを各自が見にいくのが当り前になりつつあります。最低限、民間の平均レベルの歳出削減はやってからでないと消費税アップは到底、受け入れがたいですね。(編集・渡邉)