 B 不良企業予備軍
(仕事2.5、生活4.0、対価2.6)
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化粧品事業では自社よりも高いシェアを誇るカネボウを買収した花王。買収にかかった費用の金利負担やのれん代(商標権)償却などにより、2006年3月期決算で連続増益記録を24期でストップさせてまで飲み込んだ。
「ウチはリストラはできない会社だし、シナジーを出すのは難しいでしょう。将来的には化粧品専業で別会社化すると思う。化粧品業界は日用品業界よりも給与水準が低くて、ウチとカネボウでは年収ベースで300万円も違うんですから」(社員)。
【Digest】
◇年収差300万の買収
◇定番の不満
◇転職先は、高級ブランド企業
◇40代半ばで1,000万円
◇曖昧な人事評価
◇職種で評価スパンも異なる
◇役職定年57歳
◇若年層の抜擢人事はなし
◇「社員のキャリアを勝手に決める」コーディネーター
◇勝負商品はハズさない
◇生産のシナジーくらいまでが精一杯
◇全員がさん付けで呼び合う
◇真面目で優しい人柄、ドライな人間関係
◇残業申告の範囲は8時から20時まで
◇勤務地の中心は、亀戸
◇年収差300万の買収
買収した会社の報酬を自社レベルに引き上げたら利益を圧迫するだけなので、ありえない。別会社化したうえで、花王の化粧品事業の社員を出向・転籍させ、時間をかけてカネボウ並みに引き下げていくのが順当なセオリーだ、というのだ。そもそも化粧品は、シェアトップの資生堂でも584万円(40.2歳、平成17年3月31日現在)という、稼ぎがよくない業界なのだ。
実際、有価証券報告書ベース(いずれも2005年3月31日現在)で、カネボウは485万円(38.8歳)、花王は799万円(41.0歳)。花王とて、2005年3月期まで24期連続の増益という超安定成長企業の割には高いとは言えないが、粉飾決算で没落したカネボウとは約300万もの差がある。
◇定番の不満
「既に産業再生機構送りになった時点で、優秀なマネージャーがたくさん辞めている」(同)ともいわれ、いまさら元カネボウ社員の待遇を引き上げても、国内市場の飽和などから、それを上回る売り上げ増への貢献は期待できそうにない。そうかといって、花王側の待遇を下げるのは、さらに難しい。なにしろ、同社社内でも「給料が安い」というのは定番の不満となっているからだ。
花王では、2001年に社員全員の匿名による意識調査「Find」を開始。その結果は社内に公表されるが、「業績の割に給料が安い」という意見は、「国際化が進んでいない」などと並び、常に上位にランキングされているという。
◇転職先は、高級ブランド企業
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花王のキャリアパス
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同社の給与制度では、職種別に若干異なるが、ほとんどの組合員は1~3の3段階に等級が分かれている(1~5の5段階の職種もある)。大卒新入社員は1から始まり、1を5年ほどやる。1と2の間は残業がつく。1の5年間は、残業代を入れても年収350~450万円と、かなり低く抑えられていることから、20代後半には転職する人も出てくる。
「高給を求める人は最初から入ってきませんが、.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。
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