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上陸止め2ヶ月、毎日反省文3ヶ月超——新隊員を自殺に追いつめた海自"監獄護衛艦”の殺人的いびり文化

情報提供
両親2
護衛艦「あけぼの」の乗員だった故西山大弥さんの遺影に向かって合掌する両親。上司からパワハラを受けて自殺に追いやられたとして国を相手どり、国家賠償請求訴訟を起こしている。

だれかがやらねばならない仕事だーーそんな志を持って自衛隊に入る若者は毎年1万数千人。しかし、劣悪な労働環境やパワハラ、セクハラの横行を目の当たりにするなどして失望し、中途で辞める者は年5千人を超す。そして、心身を病み人生に絶望する者が後をたたない。2021年2月、またひとつ、将来ある若者が命を落とす事件が起きた。新人海上自衛官の西山大弥さん(海士長、20歳)が、配属されていた護衛艦「あけぼの」(佐世保基地所属)の艦内で自殺した。自衛隊の内部調査では長時間の超過勤務による過労死とされたが、遺族の調査で浮かんできたのは、先輩や上司による陰湿なパワーハラスメントだった。

Digest
  • ごめんのう、ヒロ…
  • 遺された「自己反省ノート」
  • 上陸止めと毎日反省文という制裁
  • 出航中も毎日「反省ノート」
  • 「反省の態度なし」で期間延長
  • 睡眠を削って雑用の日々
  • 反省のためのあらたな課題
  • 1ヶ月あけて「毎日反省文」再開
  • 辞めたいのに辞められない
  • 「米軍基地マック事件」
  • 公務災害認定するもパワハラ否定
  • 隊員自殺という日常
  • よみがえる「護衛艦さわぎり事件」

2ヶ月に及ぶ上陸禁止、毎日反省文を書かせる「指導」が3ヶ月以上。疲れ切って辞めようとしても上司は縷々口実を並べて認めない。事件前日には、「米軍基地のマクドナルドで買い物をした」ことをとがめられ、上司3人から計3時間に及ぶ激しい叱責を浴びせられていた。甘言を並べて若者を駆り集めては古参隊員らの鬱憤晴らしの餌食にする――帝国海軍から引きずる悪しき虐待体質につける薬はあるのか。

ごめんのう、ヒロ…

西山大弥さん
在りし日の西山大弥さん。曹候補生の枠で入隊して3年目で亡くなった。享年20、階級は海士長だった。

供え物があふれる祭壇の遺影の中で、自衛隊の制服を着た在りし日の息子・西山大弥(ひろや)さんがほほえんでいる。その前で父・賢二さんと母・美佐江さんが手を合わせる。賢二さんが静かに語る。

「もっと早くに辞めさせておくべきだったのかなって。申し訳ないなって。『ごめんのう、ヒロ』っていう言葉しか、いまのところ、まだ出ない…」

海上自衛官だった大弥さんが配属先の護衛艦「あけぼの」の艦内で自殺したのは、2年あまり前の2021年2月10日早朝のことだった。享年20。階級は海士長。レーダー監視などを行う電測員だった。高卒後に曹候補生の枠※で海上自衛隊に入隊したのが2019年4月。半年間の教育隊を経て、同年10月に配属された最初の職場だった。入隊から1年10ヶ月、乗艦から1年4ヶ月目の悲劇である。

〈自衛官の階級と採用枠〉

自衛官の階級は、下から順に、2士、1士、士長、3曹、2曹、1曹、曹長、准尉、3尉、2尉、1尉、3佐、2佐、1佐、将補、将――の16種類ある。士長までが任期制、3曹以上が定年制だ。3尉より上が幹部自衛官。

採用は大きくわけて、①一般隊員(3ヶ月間の自衛官候補生を経て2士任官)、②曹候補、③幹部候補――の3種類ある。

①の一般隊員で採用されると、2士という最も低い階級からはじまり、2〜3年の任期を更新しながら7〜8年で満期となる。満期後も自衛官を続けたい場合は3曹の試験を受けて昇任する必要がある。

②の一般曹候補も2士からはじまるが、一般隊員採用よりも昇任が早く、一般的に4年程度で3曹昇任が予定されている。

③の幹部候補は指揮官専門のコースで、陸海空の各幹部候補生学校(陸=久留米市、海=呉市、空=奈良市)や防衛大学校(横須賀市)を出て3尉からのスタートになる。

西山さん夫妻は今年3月、大弥さんが亡くなったのは上司らから受けたパワーハラスメント(パワハラ)が原因だとして、国を相手どり、慰謝料と逸失利益計7000万円あまりの支払いを求める国家賠償請求訴訟を長崎地裁大村支部に起こした。国側は争う旨の答弁を行い、現在審理が続いている(原告代理人・井下顕弁護士)。

「もっと早く辞めさせていれば」と遺族が悔やむのは、次の事情があるからだ。

大弥さんが「自衛隊を辞めたい」と家族に打ち明けたのは亡くなる数ヶ月前のことだった。もう少し続けたらどうか――当初、賢二さんはそう助言した。

「辞めてどうするね、と聞いたら、息子が黙った状態だったんですよ。先にビジョンがない状態だったんで。それだったら、もうちょっと待って、次の仕事行くなり学校に行くなりして(進路計画が決まってから)辞めればどうか、と言ったんです。仕事もすぐにみつかるとは限らない。次にやることも決まらずに辞めるのは心配だったんです」(賢二さん。以下同じ)

助言は子どもの将来を案じてのことだった。まさかパワハラで苦しんでいるとは思いもしない。大弥さんは口数が少ない。我慢強い性格で、自衛隊内での嫌な出来事を親にはほとんど話していなかった。

だがなんどか息子と話をするうち、辞めたい気持ちが変わりそうにないことを賢二さんは悟った。そして言った。

「あとはお母さんに相談しなさい」

妻の美佐江さんは息子の退職に反対しないことを知っていた。つまり、退職してもいいというメッセ―ジを送ったつもりだった。

事件後わかったのは、なんとかして辞めさせまいとする上司らの姑息なやり方だ。「お母さんに相談しなさい」と言われたあと、大弥さんは上司に「母親に電話をして話してほしい」と頼んでいる。上司はそれを無視し、「親が反対している」として退職を認めなかった。やがて20歳の誕生日がきて成人した。本人の意思のみで退職できるはずなのに、なおも縷々口実を並べて退職を「妨害」した疑いがあった。

そして、上司らからパワハラに遭い深刻な苦しみを抱えていたことも、遺族は大弥さんが亡くなった後に知る。

遺された「自己反省ノート」

自己反省ノート
遺品から見つかった「自己反省ノート」。2020年10月2日から21年1月21日まで3ヶ月半に及ぶ(途中約1ヶ月の空白がある)。自分を責める言葉にあふれている。

遺族がパワハラを疑いはじめたきっかけは、遺品から出てきた1冊の大学ノートだった。「自己反省ノート」と表紙に大弥さんの字で題が書かれている。

「これ何?」「これひどくない?」――ページをめくりながら遺族は強い違和感を覚えた。来る日も来る日も、何ヶ月間にもわたってひたすら自分を責める「反省」の弁がつづられている。

遺族は自衛隊に説明を求め、また同僚らから事情を聞いた。その結果、”制裁”として課せられたものであることがわかった。

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海上自衛隊佐世保基地に停泊する護衛艦「あけぼの」。海士長・大弥さんはレーダー監視を担当する電測員だった。遺書はなかったとされるが、故人ロッカーの捜索のあり方に不自然な点があり、疑う余地がある。

早朝、護衛艦「あけぼの」艦内で作業をする隊員。

海上自衛隊佐世保基地。大弥さんは、休日でも艦内から出ることが許されない「上陸止め」を約2ヶ月間にわたって命じられていた。写真中央のマストは護衛艦「きりさめ」。同艦では2007年、米軍艦船への給油活動でインド洋派遣中に男性曹長が自殺する事件が起きている。

食品店や居酒屋が並ぶ「とんねる通り」(佐世保市内)。上陸止めと反省文の原因は、未成年飲酒と未成年喫煙だった。

上陸止めが解除され、休日に帰省する際も、逐一行動状況を記録し、報告するよう命じられた(大弥さんの実家に近い駅)。

「もう、限界です」とSNSに書かれた大弥さんのメッセージ。

長崎地裁大村支部。

遺品のバレーボール靴。ボールは地元のバレー仲間が形見として使っているという。

海上自衛隊佐世保基地所属の護衛艦「さわぎり」でおきたイジメ自殺事件(1999年発生)は、遺族が起こした国賠訴訟で国側が全面的に敗訴した。

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blog11212023/08/27 16:35

そこは上司の実名しっかり書こうよ。

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2023/10/08 18:22会員
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