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オープンハウスが隣地を突然「垂直掘削」で補修費2百万円損失 「境界のブロック塀倒れたらあなたの責任」

情報提供
hukabori
事前になんの説明もなく境界の壁ぎわを3〜4メートルの深さに掘削されたAさん宅(左のコンクリート壁の奥側)。

事前説明が全くないままAさんの隣地でとつぜん始まった、オープンハウスの住宅建設。境界ギリギリのところを垂直に3~4メートルも掘削された結果、もともと境界に設置されていたブロック塀が崩落しかねない危険な事態となり、全額自費(約200万円)で緊急に塀の修理をするはめに。オープン社の強引な工事で大金を失った。対策工事を共同で行いたい――そんなしごく常識的な提案をしても、オープン社側は話し合いにすら応じなかった。ブロック塀が新築物件に倒れ込むかもしれなかったので、注文者のことも考えていない。「オープン社にはかかわらないほうがいいと何人もの人に言われました。その通りだと思います」と嘆くAさんの「オープンハウス被害」体験を報告する。

Digest
  • 事前説明なくはじまった工事
  • 水道管破裂も詫びひとつなし
  • 垂直深堀り3メートルに驚愕
  • オープン社に歩み寄りなし
  • 「ブロック塀は危ない」は禁句?
  • 塀の補修費を隣人に全額負担させる作戦か
  • 自分の工事ファースト主義
  • 基礎を勝手に削る
  • オープンにはかかわらないほうがいい
  • オープン工事被害に遭わないために

事前説明なくはじまった工事

荒井社長
荒井昭明社長。乱暴な工事で近隣住民に迷惑をかけてでも「行こうぜ1兆!」と社員に売上達成の号令をかける。(写真は同社公式サイト)

不動産大手の株式会社オープンハウスグループ(荒井昭明代表取締役社長、東証プライム上場)の乱暴な工事に不快な思いをしたという近隣住民の苦情が、またひとつ、編集部に寄せられた。

「言うことがコロコロ変わる。嘘をつく。どうせ建築の知識などないと思ってなめられたんだと思います」

東京都N区、閑静な住宅街の一戸建てに住む女性Aさん(60歳代)は、苦笑まじりにつぶやく。両隣の家とともに数十年間平穏に暮らしてきたが、一方の隣家が数年前に売却された。更地になった後にやってきたのがオープンハウスだった。

今年2月、同社が一戸建ての新築工事を開始。それがきっかけで、Aさんは予想だにしなかった大きな精神的ストレスにさらされていく。

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Aさん宅の2階から見た隣地。建物を解体して基礎部分が残った状態。道路面から2〜3メートルの高さに嵩上げされ、その上に建物があった。手前のAさん宅もコンクリートガレージで嵩上げされており、建物の底面は隣とほぼ同一だった。

以下に紹介するAさんの体験は、持ち家の住民であれば誰の身にも起こり得る「オープンハウス」被害の一類型といってよいだろう。

Aさん宅がある住宅地は傾斜地になっている。斜面の低いほうが家の正面で、道路に面している。低い道路側に鉄筋コンクリートで箱型の車庫をつくり、その上に家を建てている。いわば一部高床式の構造である。

解体された旧隣家も似た構造で、低いほうの地面を頑丈な鉄筋コンクリートで2〜3メートルほど嵩上げして、その上に建物が建っていた。

旧隣家が解体されて更地になったのは昨年夏のことだ。丁寧な作業で問題はなかった。珍しいので見にいった。音や振動はあったがお互い様だと思っていた。

図1
現場見取図1(オープン社の着工前)。Aさん宅と隣地の境界にあるコンクリート壁は大部分が地中に埋まっている。左は予定地(手前)からAさん宅方向を見た図。右は道路面から見た図(右がAさん宅、左が予定地)。筆者作成。

ことのはじまりは半年過ぎた今年(2023)1月24日、突如工事がはじまった。説明等はいっさいなし。ポスティングもなし。だれが何をやるのかわからない。

Aさんは作業員のところに行った。もっともこのときは苦情を言うためではない。「塀の問題」について話し合いがしたかったからだ。旧隣家との境にコンクリートガレージの壁がある(現場見取図1の赤点線で囲った部分。以下「コンクリート壁」という)。Aさんが長年、隣家との共用物だと認識してきたものである。

コンクリート壁の大半は土に埋まっており、その上の地上部分に高さ約1・5メートルのコンクリートブロック塀が乗っている。それが築数十年たって傷んでいた。隣地で新築工事が行われる機会に協力してブロック塀を修復できないか提案したい、というのがAさんの考えだった。

コンクリート壁とブロック塀が共有物であるとの認識は旧隣家の持ち主にもあった。旧隣家を「建て直したい」という話が出たことがあり、そのときはいっしょに直そうと話をしていた。結局建て直しはせずに売却、取り壊された。塀の修理の話はそれきりになってしまった。そんないきさつをふまえての「共同修復」案だった。

現場にいたのは下請け会社の作業員で、「わからない」という答えだった。元請けの施工業者の名をAさんはまだ知らなかった。

水道管破裂も詫びひとつなし

新築工事をするのがオープンハウスだとわかったのは3日後の1月27日だ。当時は悪い印象を持っていたわけではないが、振り返ると、非常識さの片鱗がすでに見て取れる。

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建築が終了した現在のAさん宅(右)とオープンハウスが施工した新築の家(左)。赤線部分を掘削した。青線で示した部分にブロック塀があった。Aさんが費用を全額負担してブロック塀を撤去してフェンスを取り付けた。もともと土に埋まっていた壁の左面(新築の家の側)の防水塗装工事もAさんが負担して行った。

前日の26日朝、Aさんが外に出てみると、現場の水道管が破裂し、大量の水が道路に流れている。前夜の冷え込みで凍結したらしい。作業員はいなかった。

濡れた道路が凍結したら歩行者や車が滑って危ない。そう思ったAさんは水道局に連絡した。局員がやってきて応急処置がなされた。結局この日、作業員は誰も来なかった。

翌27日朝、工事関係者らしい男性が現れたので、Aさんは近づいて前日の出来事を話した。

「きのう、水道が破裂して、水道局呼んで止めてもらったんです」

「あ、そうですか」

男性作業員の返事はそれだけだった。「ご迷惑おかけしました」も「ありがとうございました」もない。男性が差し出した名刺に「オープンアーキテクト」とあった。オープンハウスの工事であることをAさんはそこではじめて知った。

オープンアーキテクト社員に向かってAさんは件のブロック塀のことを切り出した。

「塀の地上部の部分。共同で直したいのですが」

返事は煮え切らなかった。

3階建てという新築工事のごく大ざっぱな内容についても、Aさんはこのときはじめて聞いた。具体的にどういう工事をやるのか詳細な説明はない。それでも、マンションでもなく一戸建てなので大規模な工事にはならないだろうと、さほど心配していなかった。

垂直深堀り3メートルに驚愕

水道管破裂の一件から約3週間がたった3月20日、現場がにわかに騒々しくなった。看板はなかったが、重機が搬入され工事が本格的にはじまった様子がうかがわれた。

そして数日後、Aさんは驚いた。境界部分が3メートルほどの深さに垂直に掘り下げられ、地中にあったコンクリート壁の大半がむき出しになっている。

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大きく掘り下げられて、コンクリート壁がむき出しになった現場。壁の上部がブロック塀で、崩壊の危険が生じた。

そんな大がかりな掘削をするとは予想していなかった。依然として説明はない。Aさんは驚くと同時に不安に駆られた。

まずブロック塀のことだ。ブロック塀はもともと古くて倒れるおそれはあったものの、掘削がなければ事故の危険は小さかった。だが片側を3メートルもの深さに掘削してしまえば事情は異なる。ブロック塀の頂点から工事現場の地面まで4メートル以上。万が一、ブロック塀が倒れて工事関係者の頭上に落下すれば大事故になる

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現場見取図2(掘削後)。赤斜線が掘削した部分。筆者作成。

大規模な垂直掘削によって悪化したAさん宅のブロック塀の損傷。塀の反対側が新築工事現場。

この工事施工者・日高靖仁社長は「椅子蹴りパワハラ」で3月20日付で取締役に降格。工事開始後、Aさんの指摘を受けて設置された工事看板。工事内容を近隣に事前説明しないのがオープンハウスの方針なのか。

大きくヒビが走るブロック塀。奥が新築工事現場で、掘削によって3〜4メートル落ち込んでいる。ブロック塀が崩れて落下すれば大事故になり得るが、オープン社は「塀の所有者であるAさんの責任だ」という言い方を繰り返した。

Aさんは、ブロック塀とコンクリート壁を緊急に補修する必要性に迫られた。総額約200万円。足場代や塗装費用はオープン社の工事に伴って発生した費用だった。

塗装を終えたAさん宅のコンクリート壁。

基礎コンクリートの越境部分を削っている現場。Aさん宅の地盤を支える重要な構造物であるにもかかわらず、事前に相談はなかった。

削られた基礎コンクリート。鉄筋をむき出しにしたまま埋め戻した。

補修が終わったブロック塀とコンクリート壁の内側(Aさん宅の側)に立つAさん。オープンハウスは隣人のことはおろか、施主のこともまじめに考えていない会社ではないかと感じているという。

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minaka_saikyo2023/11/12 21:01

オープンハウスはやることなすことアレだ。

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記者からの追加情報

【おわびと訂正】
本文中、「新築の家の壁とコンクリート壁の間は1メートルしかない」の「1メートル」は「50センチ」の誤りでした。おわびの上訂正いたします。(2023年11月11日、本文訂正済み、筆者)
「垂直掘削」被害については、これを防いだり規制する法令が有るのかどうか、今のところ筆者は知らない。この点は今後の取材の課題としたい。引き続き、読者各位の情報提供をお待ちしている。

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