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中身入りペットボトルで頭を殴打、「死ね」「殺すぞ」「なんでできねえんだ」と恫喝指導――元社員が告発するオープンハウスの“オープンにできない”パワハラ職場環境

情報提供
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上:オープンハウスの公式採用ツイッターアカウント。「自分の子どもに入ってほしくない会社。これから働こうという若い人にもっと知ってほしい」(元社員)
下:街頭でティッシュを配るオープンハウスグループの従業員女性(東京都内)

その急成長ぶりから、財界の注目を集める不動産会社「オープンハウス」(本社東京都千代田区、荒井正昭社長)。東証一部上場を果たしたのは2013年9月と比較的最近で、その後の伸びは目覚ましく、上場直前の売上高970億円(2013年9月期)から、直近2018年9月期の3,907億円へと、わずか5年で約4倍に激増させた。アイドルの長瀬智也を起用したテレビCМで若者にアピールしており、一般的な企業イメージは悪くない。だが現実の職場は、暴言と暴力が横行する劣悪な環境だった――と元社員の男性は証言する。「死ね、殺すぞ、といった怒号が毎日のように職場で飛び交っていました。中身の入ったペットボトルで部下の頭を殴りつける事件も起きています。このひどい状況は、若い人をはじめ、もっと広く知られるべきです」

Digest
  • 上場5年で売り上げ4倍の急成長
  • ペットボトル殴打事件
  • 「職場に罵声が飛ぶ日常でした」
  • 「社長自ら、なんでやらねえんだ!と怒鳴っていた」
  • 「売り上げ1兆円を目指す」と鼻息荒いが・・・
  • オープンハウスへの手紙

上場5年で売り上げ4倍の急成長

株式会社オープンハウスは、創業20年あまりの若い企業だ。その業績の急激な伸び方には目を見張るものがある。

創業は1997年、現社長の荒井正昭氏が設立した。伊藤忠商事子会社の不動産業「株式会社センチュリー21ジャパン」とフランチャイズ(FC)契約をして、住宅売買の仲介業務で業績を伸ばしていく。

ちなみに「センチュリー21」をめぐっては、FC加盟店が家賃滞納者に対して、鍵にカバーをかけるなど悪質な方法で追い出し行為を行っているとして、2009年、弁護士らでつくる「全国追い出し屋対策会議」(代表幹事・増田尚弁護士)が本社に警告書を送っている。もっともオープンハウスが「センチュリー21」FC加盟店時代にどんな仕事ぶりをしていたかはわからない。

創業10年後の2007年には伊藤忠商事の子会社「イートピアビジネスネット株式会社」(後に「株式会社アイビーネット」と社名変更)の全株式を取得し、事実上買収する。さらに5年後の2012年、「センチュリー21」とのFC契約を解消し、翌2013年に東証一部に株式上場を果たす。

2009年(9月期・連結)の売り上げ高は約297億円、経常利益28億円だった。年々100~200億円規模で業績を伸ばし、上場直前の2013年(同)には売り上げ高約969億円、経常利益約92億円をたたき出す。

株式上場後の業績の伸びはさらに目ざましく、2015年(同)の実績は、売り上げ高1793億円、経常利益202億円と、2年前の約2倍を達成。上場5年後の2018年には、売り上げ高3907億円、経常利益460億円と、上場前の4倍の業績を実現する。

2018年9月期の有価証券報告書の記載によれば、筆頭株主は代表取締役社長の荒井正昭氏で、43・42%(2400万株)と、ほぼ半数を保有している。文字どおり荒井氏のオーナー企業である。

2018年9月期の株式配当は1株98円だから、2400万株を保有する荒井社長は、1年で23億5200万円の配当を得た計算だ。これとは別に役員報酬が2億4000万円ある。昨年末には渋谷区広尾の高級住宅街にある三井財閥系の啓明学園保有の宅地・建物を買いとり、自宅にした。5億円はくだらないと思われるが、いまの荒井氏にとっては安い買い物にちがいない。

数字だけをみれば、オープンハウスは業績絶好調の「超優良企業」で、そのオーナー荒井氏は大成功を遂げたビジネスマンというところだろう。

ペットボトル殴打事件

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上司が部下を激しく恫喝する光景が毎日のように繰り広げられ、ときとして暴力事件も起きる陰惨な社内事情について証言するオープンハウス元社員の男性。※特定を避けるため、本人の名刺で隠した(2019年1月8日差し替え)。

しかし、オープンハウスの内情は「優良」どころではない、暴力が横行する、すさんだ職場なのだと、元社員の男性は言う。

男性が在職中に得た確証高い社内情報によれば、2016年5~6月ごろ、池袋営業センター(豊島区池袋)で、営業センターの責任者にあたるセンター長の男性が、部下の男性マネージャーの頭を水の入ったペットボトルで殴打するという暴行事件が起きた。

暴行のきっかけは「営業成績」をめぐる詰問だった。

マンションや戸建て住宅の販売契約を獲得するのが営業担当社員の仕事だ。その業績に不満があったセンター長は、「(成績が)なぜ上がらないんだ」とマネージャーを詰問した。ひとしきり詰問が終わり、その場から立ち去りかけたマネージャーがとった何気ない仕草を「反抗的な態度だ」と見とがめた。そして感情を爆発させ、持っていた水の入ったペットボトルで後頭部を強く殴りつけたという。上司の殴打によって、マネージャーは耳が聞こえづらくなる症状を訴えて病院に行った。

暴行罪に問われてもおかしくない出来事である。じっさい、被害に遭ったマネージャーの男性も腹に据えかねて事件化を望んだ。しかし、会社の介入により刑事告訴はせずに示談となった。そうして結局、被害者の男性は退職した。一方の加害者は、部長級から次長級へと一段階降格したものの、会社に残った。箝口令がしかれ、事件のことは社内でも一部の者しか知らない「秘密」となった。

上場企業とはとても思えない出来事ではないか――驚く筆者に男性はこう続けた。

「似たような事件がほかにもあります。別の営業所・・・渋谷だったと思いますが、部長級の上司が部下に対して暴力を振るう事件が起きたと聞いています。被害者の社員が出社しなくなって問題になった。このときは、加害者の上司が自主退職しました。暴力を振るった原因は、やはり“成績”でした」

元社員の男性が語るオープンハウスの職場の様子から浮かぶのは、明るいイメージのCMや広告、店構えからは想像もつかない暗くすさんだ光景だった。

「職場に罵声が飛ぶ日常でした」

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オープンハウス池袋営業センター(東京都豊島区東池袋)。元社員の男性によれば、2016年の5~6月ごろ、上司が部下の後頭部を水入りのペットボトルで殴る事件が起きたという。

東証一部に上場するからには、高いコンプライアンス意識が要求されているはずだ。経営者の目の届かないところで「パワハラ」が起きてしまったのだろうか。そんな筆者の想像を、元社員の続く話は完全に打ち砕いた。

男性の職場だった本社でも、上司が部下を恫喝する「ツメル」光景が、毎日のように、公然と繰り広げられていたというのだ。

男性によれば、丸の内本社の職場は、広いフロアに500~600人の社員がいたが、ほぼ毎日、そのどこからか怒号が聞こえた。100メートル離れた先にもはっきり届くくらいの大声だった。

「ふざけるんじゃねえ」

「死ね」

「殺すぞ

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オープンハウス本社の入る高層ビル(東京都千代田区丸の内)。

オープンハウス社創業者でオーナーの荒井正昭氏。2018年9月期の売り上げ高は前年より860億円増の3907億円。1兆円を目指すと鼻息は荒い。(オープンハウスホームページより)

2018年9月に荒井正昭オープンハウス社長が自宅として購入した渋谷区広尾の高級住宅街にある不動産。もとは三井財閥の一族の住宅で、学校法人啓明学園が2013年に寄贈を受け、研修所として使用していたものだった。

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cinefuk2021/08/17 13:28

おもしろCMの #オープンハウス、見る目が変わる「暴力を振るった原因は、やはり“成績”」「丸の内本社でも部下を恫喝する光景が公然と繰り広げられていた。広いフロアに500~600人の社員、毎日どこからか怒号が」

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読者コメント

編集部2021/08/18 17:32会員
情けない2019/01/13 11:51
 2019/01/08 02:15
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記者からの追加情報

写真説明中、荒井正昭社長が自宅を購入した時期の記述に誤りがありました。正しくは2018年9月です。お詫びして訂正します(2019年1月9日、本文訂正済)

筆者としては、しばらくの間オープンハウスという会社を観察することにしたい。読者の皆様からの情報提供をお待ちしている。


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