セブンイレブンの外国人バイト、「週28時間を超えて働くのが当り前」なカラクリ
![]() |
【外国人】現役アルバイトが語る(セブンイレブンジャパン公式チャンネルより) |
1日あたりの総来客数が約2千万人と日本一を誇り、国民の6人に1人が利用するセブンイレブン。店舗では、全国平均で約2名、計4.4万人の外国人が働き、大都市の夜勤は特に多く見かける。そのほとんどは、留学生のパート労働だ。「外国人は必須の労働力ですが、闇があります。週28時間までという上限規制を超えて働くのは当り前で、それが同一店舗でも行われています」――。元社員に、様々な意味で〝危うい〟留学生バイトの労働実態を聞いた。
- Digest
-
- 「週28時間まで」の曖昧な運用
- 生活が成り立たない現実
- データ上では28時間が守られているが…
- 留学生数2位だった東京福祉大事件
- 労務管理の課題認識はある
- 正社員外国人は別枠で商品企画など
- 増えるネパール人ミャンマー人…進む貧困国シフト
- 学業ではなく、貧困からの脱出
- 受益者が奨学金を拡充するしかない
「週28時間まで」の曖昧な運用
コンビニで働く外国人のほとんどが、「留学ビザ」で日本での滞在が許可されている外国人留学生である。これは、在留資格「技能実習」(育成就労に移行中)や「特定技能」では、コンビニ店舗の単純労働は対象外となっているためだ。
そもそも学業を目的とした滞在ビザなので、アルバイトに大半の時間を使うことは、主旨に反する。よって、たとえば「学生ビザ」で入国を許可される米国への留学生は、米国滞在中のアルバイトが禁止されている。これを守らず働くと移民法に抵触し、国外退去となりうる。米国人の職を奪ったり、不法就労で賃金相場を下げることに対し、『アメリカ・ファースト』のトランプ政権は特に厳しい。
留学ビザでのアルバイトが認められている国もあり、イギリスが週20時間まで、ドイツは年140日まで(週22時間相当)など。日本は「週28時間まで」ともっとも長く設定されているほうだ。
そのうえ運用が曖昧で厳格さはなく、守られていない。自動車のスピード違反のようなもので、運が悪ければ捕まるし、細心の注意を払えば捕まらない――というグレーゾーンのルールになっているのが実態だ。
たとえば、『コンビニ外国人』著者の芹澤健介氏は「コンビニを掛け持ちすれば、法定時間以上働いてもバレることはほとんどない」。ヤフーニュース特集記事も「コンビニに加え、宅配便の仕分け、弁当工場などで週に約50時間以上、夏休みなどは80時間以上も深夜と休日を中心にほぼ毎日働いてきた」と、現場実態を報道している。
生活が成り立たない現実
![]() |
解説するセブンの元社員 |
では、どうして週28時間超を働いてもバレないのか。日々、セブンイレブンの店舗6~8店の現場をまわって、アルバイト人件費をはじめとする各店舗の財務もすべて把握できる立場にいた本部の元社員(OFC=オペレーション・フィールド・カウンセラー)に、その手口と背景を解説してもらった。
「週28時間だと、時給1千円として2万8千円、4週で11万2千円。この月収では、特に東京など都市部の留学生ほど、生活が成り立たず、無理だ、ということです。
ベトナム、ネパール、ミャンマーなど、日本よりずっと貧しい国から来ていますから、母国の実家から仕送りを受けられる裕福な人は稀で、生活費に加え授業料もバイトで稼ぐとなると、週28時間では留学生活が成り立ちません」(元社員=以下同)
そうかといって、バレたら国外退去にもなりかねない。実際、正直に申告して留学ビザが更新できなくなったり、留学生10人と社長ら7人、そして法人が入管難民法違反(不法就労助長)で書類送検されたケース(一蘭)も報道されている。
さすがに、大っぴらに確定申告していたら、当局としても摘発せざるをえない。週28時間の単純労働で年収200万円になることはまずないからだ。現場では、どうやって発覚を避けているのか。
データ上では28時間が守られているが…
「セブンイレブン本部は、外国人アルバイトの氏名と1日単位の勤務時間を、情報システムでぜんぶ管理して、把握しています。それに基づいて支給明細が作成され、バイト代が振り込まれます。だからデータ上は、週28時間を絶対に超えないようにシフトが組まれています。でもそれとは別にオーナーが、自分の収入分から現金で支払うんですよ」
これは、どういうことなのか。
「本部に上がってくるデータ上では、オーナーやその家族が働いていることにして、
この先は会員限定です。
会員の方は下記よりログインいただくとお読みいただけます。
ログインすると画像が拡大可能です。
- ・本文文字数:残り5,101字/全文6,665字
2番目に外国人留学生が多い大学だった東京福祉大学(2019年5月、JASSOより)
外国人留学生の国別推移(2013~2023年)。ネパール人、ミャンマー人、スリランカ人、バングラデシュ人が増えている。
在ベトナム大使館の注意喚起
外国人留学生の国別変化(経年推移は末尾よりエクセルダウンロード可)
留学生の内訳(大学以上・大学未満=JASSO、2023年)
大学別の留学生数ランキング(JASSO、2023年)
Twitterコメント
はてなブックマークコメント
facebookコメント
読者コメント
※. コメントは会員ユーザのみ受け付けております。記者からの追加情報
本企画趣旨に賛同いただき、取材協力いただけるかたは、こちらよりご連絡下さい(永久会員ID進呈)
新着記事のEメールお知らせはこちらよりご登録ください。