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「社内接待を盛り上げなかった反省文を書け」中小企業『上司ガチャ』リスク(続)

パワハラ被害エピソード5(加賀電子)――解説:50代元社員「筧専務にも責任があるのでは…」

情報提供
筧専務1枚目掲載用サムネ
旧HONTEX(後の加賀上海)時代の筧新太郎専務=加賀電子社内報より

加賀電子EMS事業部で、長年にわたって常態化しているパワハラ。情報提供者が続々と現れることからも事態の深刻さはわかる。Eさん(現30代)は、20代の若手社員時代、「叩く、蹴る」「正座で反省」「月100時間超の残業」「約20万円の経費自腹」「毎週の反省文」…と、おもちゃのように扱われ、その職場は、人権無視なパワハラのオンパレードだった。「間違えさせて、怒って、覚えさせる」という犬猫のような扱いだ。人事部長ら管理本部に改善を訴えたが、何も動かなかったという。

Digest
  • エピソード5:「社内接待を盛り上げなかった反省文」書かされる上海
  • 「できないのは全てオマエの問題」と洗脳
  • 会社ぐるみ、稀に見るブラック企業体質
  • 50代元社員の解説
  • 「ほしかったら香港まで取りに来いよ!」
  • 麻雀・ゴルフ1日5~10万「みんな負けてうまくなった」
  • マクニカと異なる体育会カルチャー
  • 「在庫ゼロは無理」M&A先の社員が辞めちゃう
  • 「オフィスを出た瞬間、殴られました」
  • 「参加強制&フォローがない」は加賀の文化とは違う
  • 「創業以来のピンチ」筧専務にも責任がある

エピソード3のCさんも、俊成取締役と筧専務に直訴したが改善されず辞めているが、今回の被害者Eさんも「筧専務に社員教育手法の問題を直訴したら飛ばされた優秀な社員がいます」と、取締役の不作為や報復人事を証言する。

社内報表紙
在籍当時の社内報『タクサンファミリー』を今も手元に残す元社員Fさん(50代)

病巣が、企業経営におけるガバナンスの重要性を理解できない経営陣一同にあるのは明らかだ。

20年超にわたって加賀電子に在籍し、岡部上級執行役員を長年、社内から見ていた元社員Fさん(50代)は、「創業以来のピンチ」「筧専務の責任も重いのではないか」と話す。パワハラに対し、何ら防止策を打ってこなかった同社の企業風土について、後半でじっくり解説してもらった。

■加賀電子EMS事業部パワハラ事件簿

エピソード1 深圳USBメモリ事件

エピソード2 暴力・説教・反省文の上海

エピソード3 賭け麻雀強制参加で120万円被害の深圳

エピソード4〝麻雀初心者狩り〟に疲弊する東京

エピソード5「社内接待を盛り上げなかった反省文」書かされる上海(本稿)

エピソード5:「社内接待を盛り上げなかった反省文」書かされる上海

Eさん=20代(当時):2010年代半ば~後半、上海に赴任。当時の「加賀電子(上海)有限公司」は、岡部剛男社長―須田達也課長(営業)―K社員(先輩)―Eさん(末端若手社員)、という序列だった。

自分は20代の、まだ仕事を覚えていない若手社員の立場で上海に赴任し、独力で仕事ができない弱みがありました。以下、現地で体験した話です。若手の教育手法として間違っていると思います。

直属の先輩にあたるK氏は、胸ぐらをつかむ、頭を叩く、蹴る、といった暴力を振るう人物で、それが上司たち(岡部社長、須田課長)から容認されていました。K氏からは、私の資料作成が遅れると、「午前中ずっと立っとけ!」と言われ、それが会議室ではなく、現地スタッフみんながいる事務所内で、さらし者にされるのです。

須田からは、私がお客さんに対してドジをしてしまったとき、「正座で反省しろ」と命じられ、午前中2~3時間、ずっと正座させられたことがありました。

赴任1年目は、月の残業100時間超が恒常化して精神的におかしくなり、手と顔のふるえが止まらなくなって病院に行き、1週間やすみました(その後、職場に復帰)。

接待費で、自腹を切らされたこともあります。須田自身もその接待の場にいたのに、飲食費やタクシー代など、約20万円が自己負担になりました。経費精算の提出期限に遅れたことの罰だ、というのがその名目でした。

反省文は、須田からも、K氏からも命じられ、毎週のように書かされていました。これは、ワード文書で書いて提出します。本社の別部署の部長が中国に出張で来たときのアテンドで、「若手として接待を盛り上げなかったことの反省文」を書かされたこともありました。お客さんに対してではなく、夜の飲食会などの社内接待に不手際があった、盛り上げかたが足りない――というのです。

車の中で、岡部から「おまえは赤字社員だから、さっさと帰れ。飛行機代も引っ越し代も払わないぞ」と言われました。結局、LCCの費用と最低限の引っ越し代だけは出ましたが、一部が自己負担になりました。今でも納得いきません。

自分は上海にいた間、ずっとパワハラのターゲットにされ、おもちゃのように扱われていました。自分の前は、別のターゲット社員がいたそうです。「おもちゃを決めて遊ぶ」タイプのパワハラで、過去に自分が味あわされたことを新人に対してやり返す、という組織カルチャーがあったと思います。これは、社員教育と呼べるものではないです。

当時は、『自分は、まだ仕事が確かにできないから仕方ないのだ』――と思わされていました。今思うと異常で、洗脳されていたと思います。

教育研修の類はなく、ただ「間違えさせて、怒って、覚えさせる」だけ。マニュアル的なものも何もありません。はじめて駐在にきて、海外での仕事の進め方など、すべて初めてなのですから、そもそも、独力だけで学べるはずがないのです。それでも、「なんでできないんだ!」「できない理由を述べよ!」「反省文を書け!」、その繰り返しでした。

「できないのは全てオマエの問題」と洗脳

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私の履歴書<中国版>筧新太郎(『TAXANFamilyNo5/2000』より)

EMS事業部長を入れ替えただけで処分は誰にも下っていない

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