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船井総研 粗利の8割を抜かれる個人事業者集団――客に言えない年収水準「正直、やりがい搾取感あります」

情報提供
船井総研評価

B:不良企業予備軍
(仕事4.0、生活2.0、対価3.0)

中小企業向けに、メンバーシップ型で業種特化の「研究会」を毎月のように開き、この生け簀に〝成功しているビジネスモデル〟というエサを撒き、コンサル契約を釣り上げる――そんな独自の手法で成長する船井総研。3~5年、この研究会メンバー相手に泥のように働いて評価してもらえるようになると、社長ともコネができ、「ウチに入社しないか?今いくら貰ってるんだ?」と誘われることもある。「でも、年収を言えないんです。安すぎてナメられるから。自分はそんなとき、『2千万円で雇えるようになったら声かけてください』と返していました」(元社員)

Digest
  • 必死で「高年収だと思わせたい」会社
  • 本当の30歳前後の年収
  • 30歳までに「8割辞める」のに離職率12%?
  • 「コンサルタントに昇格しないと人間らしい生活はできない」
  • チーフで600万円台に
  • 稼いだ「粗利」で決まる年収とボーナス
  • 年収1千万円貰うのに必要な粗利額
  • せせこましい会社
  • 粗利に対する労働者分配率18%!ベイカレントは売上に対して49%
  • 労働分配率が低い背景
  • 賢い子は、すぐ辞めちゃう
  • 管理職でも年収600万円台
  • マネージャーはメリットがない
  • 月15万しか売り上げないけど残る人も
  • 持ち株奨励制度は皆が利用
  • タニタ社長は船井出身…自営の跡取りは家業に戻る

必死で「高年収だと思わせたい」会社

なんとも寂しい、船井の待遇事情を象徴するようなエピソードである。コンサルタント側がぜんぜん稼げていないと、依頼する側の社長としても『ウチの社員より安いじゃないか』『ここに頼んで本当に大丈夫か』と心配になってしまうので、虚勢を張らなければならない。

コンサル業界は現在、報酬水準がバブル的に切りあがっている。ところがこれは、利益剰余金が過去最高に積みあがっている裕福な大企業を顧客とするBIG4クラスや戦略系コンサルの話であって、船井の顧客層である中小企業は懐事情から異なる。サービス内容もビジネスモデルも、いわゆるカタカナ系コンサル会社とは異なり、同じコンサル業とは言うものの、別業界に近い(→仕事編参照)。

とはいえ人材採用では似たような層から優秀な人材をリクルーティングしたいため、船井は苦し紛れに「30歳平均年収1082万円」と沢山の注をつけてアピールするのだが、元社員(30歳前後)によれば、まったく実感のない数字だという。

「これはどこの何を抽出したらそうなるのか、ちょっとわかりません。かなり現場の感覚とは乖離があります。年収が1082万円になるには、個人で約5500万円の粗利を稼がないといけない計算になりますが、そんな人、ほぼいませんから」(元社員、以下同)

本当の30歳前後の年収

船井の年収は、個人が稼ぎ出す「粗利」に連動する形で、ほぼ決まる。売上と経費を個人単位に賦課し、個人としていくらの粗利を会社にもたらしたか(個人別損益)を明確にしたうえで、まず、粗利をもとにした一定の計算式で、その年の年収が決まる。そこから毎月の定額給料を引いたものがボーナスになるという逆算式である。この、いわば従業員還元率が、かなりシブいのだ。

掲載用源泉徴収票
30歳前後リーダークラスの年収(源泉徴収票)

「リーダーになったら絶対1千万円超えるよ、って採用時の面接官に言われたのを覚えています。面接後の懇親会の場でした。あれは嘘でした。実際は、こんなもんです(左記)。30歳前後ではリーダー職が一般的なのですが、その年収として、ごく平均的なものだと思います。正直、『やりがい搾取』感がありますね」

この元社員の話に説得力があるのは、アソシエイト→シニアアソシエイト→コンサルタント→チーフコンサルタント→5年目でリーダーと、同期でも先頭グループで順調に昇格した人物であり、根拠となる資料やデータもしっかり示しているからだ。

掲載用給与明細(リーダー、マネジメントコース4級)
30歳前後の給与明細(4級、リーダー職)

一方の会社側は、バックデータを隠し、都合のよい注をつけて印象操作している。どちらが信用できるかは自明だ。

学生は会社に騙されないよう、注意が必要である。以下、現場実態を詳しく報告する。

30歳までに「8割辞める」のに離職率12%?

「この採用ページにある一覧(右下画像参照)でいうと、離職率12.1%というのも、コンサル部門の実態とかなり違います。実際にはその倍くらいじゃないと、私の同期や同僚たちの数字と合いません」

船井の公表する数字
数字を盛りすぎて現場から修正の指摘が相次ぐ船井の開示データ

コンサルブームで各社が採用数を増やす中、船井総研はコンサルタント数をあまり増やせておらず、公表値でも2021年(873人)→2022年(862人)と、この年は183人を採用したにもかかわらず、それ以上の離職者が出たためコンサル職の在籍数が差し引きで11人減っている。直近の2024年は、

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コンサルタント職の離職率推移

船井総研のキャリアパスと報酬水準

各等級の月給レンジ(基本給+業務手当)

各等級への昇格に必要な粗利額の基準一覧

まず粗利で年収が決まり、そこから逆算でボーナス額が決まる

マネジメントコースの年収決定方法

好評な持ち株奨励金制度

評価結果詳細と根拠

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