キーエンス エンジニア職が語る「原価2割以内、回収2年以内」な商品開発の現場
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| 東大院卒の就職先企業ランキング | 
キーエンスは2025年4月、東大院卒だけで23人も新卒を採用した。ほぼ理系とみられ、東大院卒の就職先ランキングで3位にあたる。B to B(工場で使用するセンサー等)の地味な大阪のメーカーながら、日本企業としては実に珍しい「グローバル基準の給料をちゃんと払う会社」として、抜け目ない学生の注目を集めていることがわかる。「開発職の情報は、まだまだ少ないように感じます。キーエンスに関する正しい情報が広まるよう、開発として協力できることがあれば」との報を受け、大阪に飛んだ。
- Digest
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- エンジニア職の採用
- 基礎研究はやらない
- 開発400人体制
- 「原価2割以内、回収は2年以内」で承認
- ニーズカード「迷ったとき見る」
- エンジニア職が辞めるパターン
 
 
エンジニア職の採用
キーエンスは2025年、294人を新卒採用した、と『就職四季報』に開示している。全体の社員数3205人(2025年3月)に対し、その1割弱を新卒採用するので、平均年齢は34.8歳と若く、平均勤続年数11.1年と、大手メーカーとしてはかなり短い。
中途採用者比率の開示は義務化されたが、どこにも開示されておらず、有休取得制限(前回記事参照)などと同様、相変わらずコンプラ無視のアウトロー主義、我が道を行く。罰則を科されないと動かないタイプの会社である。2022年度と同水準(中途比率21%)とすると、約80人規模を中途採用することになる。
実際、自社サイトでは現在、33のポジションについて中途採用の募集をかけており、うち32が総合職(B職)で、うちエンジニア系が9割、残りが管理部門などだ。キーエンスは営業職を中途では採らない方針を続けている。新卒から洗脳しないと適応できない特殊な職場だから、中途で入っても馴染めないことは容易に想像できる。つまり中途入社のチャンスが大きいのは、圧倒的にエンジニア系のほうだ。
新卒採用では、一番多いのが営業職で、次がS職(事務の女性)。近年、エンジニア職は年50~60人規模で採用を続けている。過去の例では、筆記+面接2回で内定、だという。
「キーエンスで面接官を務めるのは『7M』(管理職の一番下)以上が中心。役職は『物件責』(開発プロジェクトのマネージャー)か、『グループ責』(個別の事業部における開発グループ長)ですが、リーダークラスでも面接官をやります。内容は、『あなたは商品開発メンバーです。目的は〇〇で、〇〇のフェーズです。重要度が高いものを考えてください』といった、優先度を問うような設問に、口頭で答えるスタイルでした」(中堅エンジニア職、以下同)
面接では、何を見ているのか。
「モノづくりに対する熱量と、あとは説明能力を見られていると思います。キーエンスでは『報告・連絡・相談』が重要視されていて、配属後1年研修でも5段階評価でチェックを受けます。人事評価の項目に設定されているわけではありませんが、すべての前提となる基礎能力というかんじで、『報連相13ケ条』は手帳用の印刷物(→記事冒頭画像参照)のほか、イントラ上からもチェックできるようになっています」
実際の内定者は新卒採用の場合、旧帝大が中心で高学歴である。学歴も見ているのは間違いないだろう。
「エンジニア職は全員が院卒で、私の代は東大と阪大が多く、続いて京大、東工大(現・東京科学大)、早慶、といったところでした。近年は、やはり東大出身者が一番多いです」
2025年4月入社組では、東大院卒だけで23人も採用。これは東大院卒の就職先企業ランキングで3位である(1位・アクセンチュア、2位・野村総研=東大新聞オンラインによる)。
キーエンスは売上の6割超が海外市場で、グローバル展開を進めている。外国人は多いのか。
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| キーエンスの開発体制図  | 
「同年代の新卒入社組にも中国人が数人いましたが、中国市場の攻略で増やしつつあります。部品を中国から買っていますから、メーカーを訪れて仕様や品質を確認する業務があって、購買部門で中国人社員が重宝されています。部署としては、
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本社各フロアの配置図

キーエンスの企画・販促体制

ズバ抜けた営業利益率と成長率

ニーズカードは開発現場でどう利用されるのか(公式説明)
 
           
         
             
             
             
             
             
           
         
          
          



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