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30歳年収トップのキーエンス〝役立ち度〟で決まる給料 「歳をとると下がるシステムです」

情報提供
キーエンス評価2025

Baa:優良企業予備軍
(仕事5.0、生活2.0、対価5.0)

平均35歳で2千万円と、日本では珍しい、グローバル水準のまともな賃金を払うキーエンス。相場はいっさい見ないので、払い渋りもない。その仕組みは〝役立ち度〟で決まるため20代から高く、取締役の平均年収が社員平均の2.8倍、社長でも9.2倍と、分配の納得性も高い。「降格があって、2段階下がる人も普通に見ます。歳をとって衰えると、役立ち度が下がるので、給料も下がります」(中堅エンジニア職)。経営層と労働層の分断で格差が激しい米国企業とも違う、年功序列のJTCとも違う。滝崎武光氏が一代で創り上げた〝リッチな社会主義国〟は、開発も営業も差別のない、年齢差別もない、金銭面では全員が裕福な理想国家だった。

Digest
  • 30歳年収は総合商社より高い
  • 同じクラス内での9段階相対評価
  • 同期の7~8割が昇格できるラインは「6B」まで
  • 「使えない」と異動になる
  • 降格が普通にある会社
  • フェードアウトする創業者・滝崎武光氏
  • スローガン「上向き会話」「やめる気づき」
  • 個人資産3.3兆円の相続税対策「痛恨の極みです」

30歳年収は総合商社より高い

本体社員3205人の平均年収が2039万円(平均34.8歳、11.1年)と、若いうえに賃金が高いキーエンス。国内時価総額トップ10の常連だが、不動の1位であるトヨタがいまだ平均1千万円に達しない(982万円、40.7歳)ことを考えると、未来に希望を感じさせる数少ない会社である。

キーエンスの報酬制度は、少なくとも約20年前からほぼ変えていない。特徴は以下。

①固定で支払う基本給は高く設定せず、全社の営業利益に連動して支払う。

②リアルタイムに毎月払い、さらに四半期ごとでも精算する。

③業績に役立った度合いに応じて平等に配分する。

④職種や年功による差別はしない。

⑤取締役から平社員まで、説明できない格差をつけない。

クラス分けも、毎月支払うリアルタイム業績賞与も、年4回の四半期ボーナスも、「他社と比べることなく、相場無視で、余剰利益を社員に還元する」という一貫したポリシーのもと、実にうまく機能して会社が成長しているため、他社のようにコロコロ制度を変える必要がないのである。株主還元と役員報酬を上げることばかりに熱心なJTCは、参考にすべきだろう。

キーエンスのキャリアパスと報酬水準2025
キーエンス(エンジニア職含む総合職)のキャリアパスと報酬水準

報酬水準を決めるランク(クラスと呼ぶ)は、2B→3B→4B(P・S・Uの3段階ある)→5B(同じくP・S・U)→6B→7M→8M→取締役。

総合職は入社2年目に3Bに上がり、はやくも全員が1千万円を超える。3年目に4BのP、4年目に4B(S)、5年目に4B(U)と上がり、最速で6年目に5Bに到達する。

キーエンス開発源泉徴収票掲載用
キーエンス『5B』ランクの年収(源泉徴収票)

「左記が、5Bの年収です。4B→5Bは、筆記試験があって、『コーポレートポリシー』と『ビジネスガイドライン』(添付)をすべて丸暗記できていれば昇格できます。

この試験では、『接待の禁止』や『ありのまま報告』など、キーエンスのポリシーを一言一句、理解したうえで記述できなければいけません。ユニクロの新人研修と似ているな、と思いました。5Bまでは、普通に仕事ができていれば、全員が昇格できます」(中堅エンジニア職、以下同)

ありのまま報告の部分(ビジネスガイドライン)
ガイドライン「ありのままを報告する」

この「コーポレートポリシー」は、「経営理念」「行動指針」「Keyプロ」「社員の育成に関する基本的な考え方」「環境方針」という5つの項目があり、それらを実践する際の指針として「ビジネスガイドライン」も定められている。

Keyプロ8か条
「最小の時間と費用」「報・連・相」などキーワードが並ぶ「Keyプロの必要条件8か条」(コーポレートポリシーより)

「Keyプロ」では、プロの必須条件として8つが挙げられており、「最小の時間と費用で進めることを常に意識しているか。」「当事者意識を持って、気づきを発信できているか。」「自分の意見・考えを持って、報・連・相できているか。」

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キーエンスの報酬構成と支払いタイミング

「成果」と「アクション」の両面評価

キーエンスのクラス制度

返済不要の奨学金480万円を年700人の大学生に支給

評価結果詳細&根拠

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