大和証券SMBC 政治銘柄とピストル商法
Baa 優良企業予備軍 (仕事4.5、生活2.7、対価4.6) |
- Digest
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- “脱力系”証券のピストル商法
- 配属はIBとマーケットで半々
- リーダーを経験しやすい
- アジアへは行きやすい
- 辞める理由は「カネ」と「人材」
- プロパーが過半数
- ハッピーリタイアメントは無理
- 「使えない社員」もボーナス1回5百万
- 部長の年収3千5百万
- 個人的な株取引は部長印が必要
- 5年目までは、定性評価が8割
- 1日の流れ
- 野村と違って『サービス早出』なし
- グラントウキョウノースタワーにオフィス移転
- 残る都銀カルチャー
“脱力系”証券のピストル商法
上意下達で下克上なし、バイタリティーが弱い、おっとりとした人が多い--複数の社員が解説する大和証券SMBC(以下、ダイワ)のカルチャーは、およそ投資銀には似つかわしくない“脱力系”だ。では、なぜ証券会社がリスクをとらずに利益をあげられてしまうのか。
IB(Investment Banking)部門の社員が解説する。「ウチは銀行(三井住友)と証券(大和)の合弁会社で、アドバイザー業務の4分の3は銀行経由、4分の1が証券経由というかんじ。だから、債権者としてのピストルを突きつけて、仕事をとれてしまう。形だけコンペになっても、裏では後ろから手をまわしてる。あとで見せてもらって『外銀のほうがいい提案してたな』と思うこともある」
顧客から見たらダイワは債権者で、銀行(三井住友)から融資を止められたら事業が立ち行かなくなる。その紹介なのだから、ダイワの立場は強い。三井住友銀が、融資先に、金融スワップなどの金融派生商品の購入を強制したとして、公取から独占禁止法違反で排除勧告が出た(2005年12月)が、構造は似ている。
外銀もそのあたりの事情は分かっており、M&A案件でも、売り手側ではなく買い手側(投資家側)にまわることが多いという。
逆に、銀行とのしがらみによる『政治銘柄』は仕事を引き受けざるをえない。「三井住友銀を通して依頼された仕事は、値切られてもやる。でも、そこで恩を売っておけば、ファイナンスで回収できる。たとえば増資は手数料4%でオイシイ。ある企業の100億円増資を手がければ、4億円もの収入になる。M&Aで恩を売ってファイナンスで回収するモデルですね」(同)
マーケット部門も同様で、顧客は、地銀、信金、生保など、昔からつながりを持つ日系の機関投資家が多いという。「政治銘柄は受けざるをえない。だから、海外のファンドを連れてきてカネを出させるなど、海外投資家向けの派手な仕事をしたい人は外資へ転職していく」(マーケット部門社員)
配属はIBとマーケットで半々
大和証券SMBCのキャリアパスと報酬 |
ある年の新卒入社は、総合職が約50人。うち、海外出身で日本の大学に留学しているマレーシア人など国内留学組の外国人が4~6人、海外大学の出身者も5人ほどと、国際展開をにらんだ採用も行っている。
業務職(2007年で30人採用)のほうは、補助的業務を行ういわゆる一般職の女性のことだが、「やる気と実績次第で、総合職への転換制度があり、実際に転換している人もいる」(若手社員)。
新卒の配属は、IBとマーケットで半々だ。
IB部門は、株式公開(IPO)の引き受けやM&Aアドバイザリーサービスなど、証券を発行して顧客企業と投資家を結ぶほか、コンサルタント的な仕事が多い。インサイダー情報を扱うため、コンプライアンス上の理由から組織は他部門から隔離されている。M&A担当は計100人強で、業界別に4部門に分かれ、プロジェクトを回す「プロダクツ」と呼ばれる部隊を持つ。
マーケット部門は、投資家同士を結ぶ仕事。顧客が持つ株や債権をダイワが買い、売り先を探す。株はポジションを長く持たずに市場に流す。組織は、株と債権それぞれで、役割別に大きく3つに分かれる。実際の売買を執行する「商品担当」(ディーラーなど)、顧客とのやりとりを行う「営業担当」、アナリスト・エコノミストなどとしてレポートを書く「調査担当」。
これとは別に事業法人担当がある。ここは要するに顧客別に張り付いている営業統括で、いわゆるアカウントマネージャー。年齢層が高い管理職クラスで、若手が配属される部署ではない。「顧客のエラい人とゴルフやってるオジさん、というかんじ」(若手社員)。
リーダーを経験しやすい
IBのプロジェクトにおけるダイワの特徴は、案件数が豊富なこと。外銀の場合は一発デカいのを当てようとする大玉狙いが基本なので、案件数は少なめだ。だから若い人は下働きが多く、身に付くスキルはエクセルやパワポが中心、あとは体力勝負という、“兵隊養成所”になりがちだ。
一方、ダイワは、大和と三井住友のブランドで仕事をとる(というか、半自動的に流れてくる)ため、小粒ながら案件数は多く、従って、若い段階からリーダー的な役割を経験しやすい。案件がクローズするまでの一連の流れを経験する機会も多く、全体像をつかめる。1年目はデューデリ(資産査定)の資料作成や、投資家向けの説明資料作成などが中心で、次第にリーダー的な役割が増えていく。
1プロジェクトは数人~7、8人ほどで、一人あたりの責任は重い。企業の合併・買収という、顧客企業から見たら死活問題となる重要な交渉の、各当事者の代理人業務を行い、相手方の代理人と交渉することもある。
「自分が顧客をリードできている、と思えるときは楽しい。資金調達のスキームを考えて提案することもできる。逆にツラいのは、グループ内での事実上の債権の飛ばしなど、銀行の尻ふきのような仕事をするとき」(IB部門社員)
逆に、グループのブランドで仕事が来るため、営業経験は積めない。「プロジェクトを回すのがうまい人が、高めのポジションで外資に転職して、向こうで苦労している、という話を聞く」(同)。
マーケット部門では、
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20代明細。基本給より多いのが当り前の超過勤務手当。
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事実上の退職勧奨かと波紋。大和証券グループ本社は7月1日、大規模な配置転換に踏み切った。約400人の社員を、大和証券(個人向け)の支店営業、大和証券キャピタル・マーケッツ(大和CM、法人向け)の未上場企業営業、そしてアセットマネジメント(資産運用)部門の3収益部門などに配置転換させた。(ダイヤモンド・オンライン2011年07月15日) //t.co/8G0mZWm
外資に転職するための足がかりという感じですね。
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