タクシー値上げの裏に業界から献金6千万 古賀、二階、石原…94名に“賄賂”
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2006年のタクシー業界から国会議員への献金額のランキング20位。1位は二階俊博・元運輸大臣402万円、2位は石原伸晃・元国交大臣350万円、3位は麻生太郎・元自民党幹事長240万円。 |
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- 深夜は最大36%アップ
- 94名に計約6千万献金
- 非難続出で異例の再審議
- 値上げを決めた閣僚会議の面々
- 業界から閣僚にも献金
- 「古賀誠が動いた」
- 全乗連から最も献金を受けていた古賀誠
- 値上げ関与は「微妙…」古賀誠事務所
- 「一番かわいそうなのは一般の庶民」
値上げは、内閣官房長官が主催する「物価問題に関する関係閣僚会議」で最終的に決定されたが、まさにその会議のメンバーのうち、06年にタクシー業界から金をもらっていた閣僚が4名もいることが分かった。
古賀、二階、石原といった有力族議員に加え、最終決定会議の主催者である町村信孝・内閣官房長官51万円、甘利明・経済産業大臣24万円、若林正俊・農林水産大臣20万円、渡海紀三朗・文部科学大臣9万円といった具合にバラ撒かれている。主催者自らが業界からカネをもらっているのだから、結論は最初から決まっていたようなものだ。ほとんど賄賂である。
深夜は最大36%アップ
12月3日から、東京地区(23区と武蔵野市、三鷹市)、多摩地区(八王子市など)、京浜地区(横浜市、川崎市、横須賀市など)のタクシー料金が値上げした。
これまでの初乗り660円のタクシーと比較した場合、2kmまでは、改正前660円、改正後710円で、2km以上の加算距離は、改定前が274m毎に80円上がっていたのが、改定後は288m毎に90円の加算となる。また、時速10km以下の走行時の、信号待ちや渋滞時での加算システムは、これまで1分40秒ごとに80円の加算だったのが、改定後は1分45秒ごとに90円の加算になった。
今回の値上げにより、これまでの23時から5時までの深夜料金は、3割増から2割増に下がり、深夜料金の時間帯が23時から22時に変更になった。3割増から2割増に下がったので、一見、深夜はお得になったようにもみえるが、実は、前とほとんど値段は変わらない。タクシーの深夜料金のシステムは、3割増とは、単純に昼間料金×1.3ではなく、初乗りや加算の距離、時間が、全て1.3で割って計算するシステムだ。
つまり、初乗り2キロ÷1.3=1538mまでが深夜の初乗りになり、その後の加算距離も、274m÷1.3=210メートル毎に80円。渋滞、信号待ちの時間加算も、100秒÷1.3=76秒毎に80円に加算される。
それが今回の値上げで、深夜料金は初乗り2キロ÷1.2=1666mまでが深夜の初乗りになり、その後の加算距離は、288m÷1.2=240メートル毎に90円。渋滞、信号待ちの時間加算も、105秒÷1.2=87秒毎に90円に加算される。
この3割増が今回の値上げで2割増になるというのはどういうことかというと、比較すると、ほとんど今までと変わらない値段で、距離数によっては前よりも上がるケースも出てくる。
しかも、これまでなら、小型車といって、初乗り640円のタクシーもあった。JR新宿西口のタクシー乗り場などでは、これまでは、普通車と小型車に乗り場が分かれていた。少しでもタクシー料金を安くしようという人たちは、少々混んでいても、小型車の乗り場に並んでいたものだった。しかし、今回の値上げに合わせ、この小型車はなくなってしまった。
小型車は初乗りが20円安いだけではなく、加算距離290m毎に80円、1分45秒毎に80円と、普通車に比べ、割安だった。
この小型車と改定後のタクシー料金を、22~23時の時間帯で比較すると、最大36%以上の値上げとなる。政府によると、値上げは7%だとされているが、本当はタクシーの値上げは7%どころではないのだ。
94名に計約6千万献金
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全乗連は、様々な機会に料金値上げを訴えていた。写真は2006年10月20日に全乗連が冬柴鐵三・国土交通大臣に渡した要望書。要望事項の一にタクシー値上げについての要望が記載されている。『全乗連会報NOW』2006年11月号より![]() |
タクシーを値上げした理由は、タクシー会社の経営難といわれているが、06年のタクシー業界から政治家への献金額を調べたところ、自民党を中心に94名もの国会議員に、合計約6000万円もの金をばら撒いていた。献金リストは右上の表の通りだ。
特に金額が多かったのは、昨年8月にタクシー料金の値上げを国交大臣に陳情し、その後も、値上げを訴え続けていた(社)全国乗用自動車連合会(全乗連)だ。全乗連は、全国1万445のタクシー会社が参加する、各都道府県の(社)タクシー協会を束ねている。
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2007年1月10日に開催した全乗連の新年賀詞交歓会であいさつする古賀誠氏。全乗連会報NOW2007年2月号より。
新宿歌舞伎町に並ぶタクシー(12月5日深夜撮影)。忘年会シーズンのこの時期の値上げは、タクシー会社にとってはかき入れ時だが、終電で帰りそびれた利用者にとっては懐が痛い。
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読者コメント
値上げでは何も解決しまえん。タクシー会社が、いくらでも増車できるのが経営刷新が進まない元凶。規制緩和で一台当たりの売上げが落ちても、増車すれば会社はやっていけるけど、乗務員は貧乏になるだけ。規制緩和で一社も退場がないのは、制度の欠陥。
ほんま 小泉さんが改革してからいいことおまへん格差広がる 自由化で競争激化価格あげてから実車率下がってるんねんでほんま だまされた気がする
値上げしても乗務員の収入が増えるわけでもなく、利用者にとってもありがたくない。しかもタクシーを足代わりにできる人(よく使う人)(富裕層?)は都心に家があり距離も出ない。懐が寒い人ほど遠距離になってしまう。いったい誰が得するの?これってどう考えてもおかしい話。規制緩和すればなんでもいいってのは乱暴すぎた。献金するくらいならもっと歩合をあげろ!
繁忙期の今月だが、売上金は前年と変わらないし実車率がよくなったわけでもない。私の場合1日に300km以上走るけど(高速道路でならいざ知らず都内で)、結構ハードな仕事だったりするわけだ。拘束時間で時給換算すると1500円くらい(深夜残業という考え方をすればもっと下がる)。
業界の苦境は小泉売国政策による規制緩和によるもの。需要と供給のバランスが崩れたわけだ。車両が増えても利用者は増えない→企業は減収→値上げして何とか帳尻合わせるか?そんなことじゃないかと。しかしどう考えても値上げの必要はなかった気がする。
政治献金を一切受け取っていない共産党の勢力をもっと強くしなければいけない。共産党を支えているのは、言うまでもなくしんぶん赤旗であり、同紙はMNJにも記事を提供している。みなで購読し、共産党を応援しようではないか。
政治献金は廃止すべき。自民党政治に終止符を打つべき。
終電の時間を2時間くらい遅らせるといい。タクシーなんて環境にも財布にもエコに反する。おまけにそうすれば霞ヶ関の連中も終電に乗れるだろうから、税金にも優しい。
値上げについて3人のタクシーの運転手に聞いたところ、みなさん一様に「賃金は変わらない」とのこと。客離れが起これば賃金はさらに下がると心配してました。
規制の多い業界だから、料金の値上げのために、ロビー活動をしなければならないので、金がかかる。逆に宅配業界のように政治の力と対決するようになると、どうだろうか?ちなみにタクシー乗務員の年間所得はたしか200万円台って聞いたことがある。
一人乗り軽自動車タクシーにして料金下げれば客は戻る。それとももはやタクシーは個人ユースはないのか。
ガソリンの無駄遣いだから止めるとか、企業努力で何とか頑張って欲しかった。
逮捕できないの?
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