【こだわりグルメ】魚は生で天然のみ、「Ozy's Dining 魚魚 -Toto-」(魚料理/東京・立川)
「Ozy's Dining 魚魚 -Toto-」 オーナーシェフである高橋慎さん。 |
◇和菓子職人の父からの学び
東京・立川にある魚料理の「Ozy's Dining 魚魚 Toto」 のオーナーシェフである高橋慎さんは新潟県十日町市出身。2人兄弟の弟として1973年に生まれ、現在34歳、二児のパパだ。
父は和菓子職人で、勤め人だったが製造工場の親方をしていた。高橋さんはその工場に時々遊びに行き、ままごと程度の手伝いをしていた。父親の元にお客から「着色料や保存料は天然ですか?」といった添加物の安全性について質問する手紙が届き、父は悩みながら返信していた。父は家の近くに畑を借り、高橋さんが小学生の頃までは自家菜園をしていた。
3~5歳頃には台所の母親を追いかけて包丁を握り、すでに料理に興味を持っていた。「味の素やカップラーメンは身体に毒だ」などと幼少の頃から、母親から言われていた。
母方の実家は酒屋で、祖父の家には囲炉裏があり、幼少の頃に昭和初期の生活を体験。祖父は畑仕事をし、鶏を飼って卵を売っていた。しかし、祖父の作る畑に汲み取り便所からとった糞尿を撒いていた光景を見て、「糞を喰った野菜を人間が食うのか?」と疑問に思っていた。
だが、ナチュラルハーモニーの河名さんから「糞尿の有機肥料で栽培した野菜には有害な硝酸性窒素の濃度が高くなることがあると聞いて納得しました」と言っていた(くわしくは、詳細はこだわりグルメのレストラン「日・水・土」)。
高橋さんの親戚には兼業農家が数軒あり、小さい頃から、田植えや稲刈りを遊び程度に手伝った。川や田んぼには、どじょうや沢蟹やヤゴなどがいたが、開発のためか、10歳くらいには見られなくなったという。「近くの川には、カジカという魚がいてモリで突いて獲った記憶がありましたが、年々、数が減っていきました」
そうかといって、海の魚は期待できない。実家(十日町市)は山地の豪雪地帯だったので、海産物の鮮度や味が悪い。「親戚に寿司屋もいましたが、貝類以外で美味しいと思ったことは一度もありませんでした。地元の鮮魚市場は最悪でした。そのせいか、海の食材に対する情熱が強くなりました」という。
自然のもの、新鮮なものに対する問題意識は、こうした幼少期の環境から醸成されていった。
◇自動車リース会社に11年勤務
高橋さんは、高校3年間の夏休みなどの長期休みは津南町にあるリゾートホテルの厨房でアルバイトをした。通常は皿洗い程度のことしかやらせてもらえないが、半年後からは洋食担当の助手を務めるように。2年後にはホテル別館のロッジにて、高橋さんが調理した品を提供していた。
高校卒業と同時に上京。知り合いの個人経営のラーメン店で働くことにして、その2階に新規オープン予定となったカレーショップの店長も兼ねることになった。しかし、料理の方向性の違いから3ヶ月で店の開店を待たずして退職。オーナーはレトルト思考で、高橋さんは手作り無添加思考だったのだ。
高橋さんはしばらくの間、料理の世界から離れたくて、某メーカー系自動車リース会社に11年間勤務し、2004年7月に退社した。最後は西東京地区エリアマネージャーをしていた。
サラリーマン時代もいずれ自分の店を持ちたい願望があり、自宅でいろいろと創作料理をしたり、レストランの食べ歩きをしたりしていた。友人や部下を自宅に招き、「居酒屋たかはし」と称していろんな料理を試していた。
退社後、友人の経営する東京小平市の居酒屋「よっちゃばれ 藍楽」で数ヶ月修行した後、2004年11月にその店のオーナーチェンジを引き受ける形で、「Ozy's Dining よっちゃばれ」を開店した。
前オーナーは、友人が当時「ナチュラルハーモニーかかしの夢」の店長で、そこを通して食材を仕入れていた。そのため、野菜や調味料の仕入れ先をそのまま引き継ぎ、無肥料無農薬の自然栽培野菜や無添加調味料などの天然食材を学びながら使用していた。
2006年7月に店名を「Ozy's Dining 魚魚-Toto-」に変更し、ほぼ全品無添加手作り料理になった。魚がメインだったので、「とと(魚)」と息子からの呼び名「とと=パパ」をかけて、店名に入れた。
2007年4月には、「ナチュラルハーモニー銀座店」のレストランのシェフとして誘いがあった。いったんは引き受けたものの、自分の店の引継ぎ問題、家庭事情も重なり辞退した。だが、その時すでに5月の「講演会&懇親会」が決定しており、懇親会の料理作りを頼まれていたため、現在のレストラン「日・水・土」の厨房で料理を作ったこともある。
2007年5~7月まで家庭事情により閉店し、実家に帰る予定で動いていたが、どうにか回避。売りに出していた小平の店の買い手も決まったため、8月1ヶ月間を準備期間として、9月より立川の現店に移転し、オープンした。
コンセプトは、前店時代の居酒屋スタイルを改め、「美味しい天然魚の刺身が食べられる自然食材を使った無添加レストラン」とした。お酒に合わせた完全手作り無添加「肴」のある店だ。もちろんお酒を飲めない人でも、料理は美味しい。
◇マグロ、サバ、牡蠣…天然と養殖の違い
高橋さんは、(冷凍ではなく)「生」で、(養殖ではなく)「天然」の魚介類しか扱わない
東京・立川にある魚料理の「Ozy's Dining 魚魚 Toto」 のオーナーシェフである高橋慎さんは新潟県十日町市出身。2人兄弟の弟として1973年に生まれ、現在34歳、二児のパパだ。
父は和菓子職人で、勤め人だったが製造工場の親方をしていた。高橋さんはその工場に時々遊びに行き、ままごと程度の手伝いをしていた。父親の元にお客から「着色料や保存料は天然ですか?」といった添加物の安全性について質問する手紙が届き、父は悩みながら返信していた。父は家の近くに畑を借り、高橋さんが小学生の頃までは自家菜園をしていた。
3~5歳頃には台所の母親を追いかけて包丁を握り、すでに料理に興味を持っていた。「味の素やカップラーメンは身体に毒だ」などと幼少の頃から、母親から言われていた。
母方の実家は酒屋で、祖父の家には囲炉裏があり、幼少の頃に昭和初期の生活を体験。祖父は畑仕事をし、鶏を飼って卵を売っていた。しかし、祖父の作る畑に汲み取り便所からとった糞尿を撒いていた光景を見て、「糞を喰った野菜を人間が食うのか?」と疑問に思っていた。
だが、ナチュラルハーモニーの河名さんから「糞尿の有機肥料で栽培した野菜には有害な硝酸性窒素の濃度が高くなることがあると聞いて納得しました」と言っていた(くわしくは、詳細はこだわりグルメのレストラン「日・水・土」)。
高橋さんの親戚には兼業農家が数軒あり、小さい頃から、田植えや稲刈りを遊び程度に手伝った。川や田んぼには、どじょうや沢蟹やヤゴなどがいたが、開発のためか、10歳くらいには見られなくなったという。「近くの川には、カジカという魚がいてモリで突いて獲った記憶がありましたが、年々、数が減っていきました」
そうかといって、海の魚は期待できない。実家(十日町市)は山地の豪雪地帯だったので、海産物の鮮度や味が悪い。「親戚に寿司屋もいましたが、貝類以外で美味しいと思ったことは一度もありませんでした。地元の鮮魚市場は最悪でした。そのせいか、海の食材に対する情熱が強くなりました」という。
自然のもの、新鮮なものに対する問題意識は、こうした幼少期の環境から醸成されていった。
◇自動車リース会社に11年勤務
高橋さんは、高校3年間の夏休みなどの長期休みは津南町にあるリゾートホテルの厨房でアルバイトをした。通常は皿洗い程度のことしかやらせてもらえないが、半年後からは洋食担当の助手を務めるように。2年後にはホテル別館のロッジにて、高橋さんが調理した品を提供していた。
高校卒業と同時に上京。知り合いの個人経営のラーメン店で働くことにして、その2階に新規オープン予定となったカレーショップの店長も兼ねることになった。しかし、料理の方向性の違いから3ヶ月で店の開店を待たずして退職。オーナーはレトルト思考で、高橋さんは手作り無添加思考だったのだ。
高橋さんはしばらくの間、料理の世界から離れたくて、某メーカー系自動車リース会社に11年間勤務し、2004年7月に退社した。最後は西東京地区エリアマネージャーをしていた。
サラリーマン時代もいずれ自分の店を持ちたい願望があり、自宅でいろいろと創作料理をしたり、レストランの食べ歩きをしたりしていた。友人や部下を自宅に招き、「居酒屋たかはし」と称していろんな料理を試していた。
退社後、友人の経営する東京小平市の居酒屋「よっちゃばれ 藍楽」で数ヶ月修行した後、2004年11月にその店のオーナーチェンジを引き受ける形で、「Ozy's Dining よっちゃばれ」を開店した。
前オーナーは、友人が当時「ナチュラルハーモニーかかしの夢」の店長で、そこを通して食材を仕入れていた。そのため、野菜や調味料の仕入れ先をそのまま引き継ぎ、無肥料無農薬の自然栽培野菜や無添加調味料などの天然食材を学びながら使用していた。
Ozy's Dining 魚魚 -Toto- ◆住所:東京都立川市曙町3-22-15 ◆アクセス:JR立川駅北口より近道8分、緑側通り沿い ◆TEL:042-519―5529 ◆営業時間:17:30~23:00(ラストオーダー22:30) ◆定休日:日曜日、月曜日、祝日 ◆メニュー:日替わりが主。季節によっても替わる。 |
2007年4月には、「ナチュラルハーモニー銀座店」のレストランのシェフとして誘いがあった。いったんは引き受けたものの、自分の店の引継ぎ問題、家庭事情も重なり辞退した。だが、その時すでに5月の「講演会&懇親会」が決定しており、懇親会の料理作りを頼まれていたため、現在のレストラン「日・水・土」の厨房で料理を作ったこともある。
2007年5~7月まで家庭事情により閉店し、実家に帰る予定で動いていたが、どうにか回避。売りに出していた小平の店の買い手も決まったため、8月1ヶ月間を準備期間として、9月より立川の現店に移転し、オープンした。
コンセプトは、前店時代の居酒屋スタイルを改め、「美味しい天然魚の刺身が食べられる自然食材を使った無添加レストラン」とした。お酒に合わせた完全手作り無添加「肴」のある店だ。もちろんお酒を飲めない人でも、料理は美味しい。
◇マグロ、サバ、牡蠣…天然と養殖の違い
「魚魚」の天然魚と刺身 |
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「魚魚」の無肥料自然野菜と野菜料理
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「こだわりグルメ」では5つの条件にかなう食事処、お取り寄せ商品情報を募集中。自薦他薦は問いません。三好氏が調査し、条件がかなえば当企画にて紹介していきます。(MyNewsJapan)。
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■「こだわりグルメ」5つの条件
(1)美味しいこと
(2)化学調味料を一切使ってないこと
(3)食材の内容の情報をできるだけ公開できること
(4)適正価格であること
(5)効果、効能を謳わないこと
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