【オリコンうがや訴訟15】帝京大から2200万請求された広田氏「編集長や出版社はフリーを見捨てるな」
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広田研二氏。1950年、愛知県名古屋市生まれ。中央大学法学部卒。十数年の出版社勤務を経て、フリージャーナリスト。『労働法律旬報』にて労働問題の連載。その他、社会問題などについても取材、執筆をおこなう。 |
【Digest】
◇1人だけを訴えるのは兵糧攻め
◇賞味期限が切れたらマスコミは見向きもしない
◇正義が勝つとは限らない
◇慎重になるのはいいが神経質になるな
◇おかしいと思う事を素直に言ってみただけ
◇1人だけを訴えるのは兵糧攻め
広田氏が2002年1月から4月にかけて『サンデー毎日』に書いた、帝京大学グループ関連の記事3本のうち、4月28日号に掲載された「帝京大学理工学部『単位乱発』問題発覚」(計3ページ)について、帝京大学は2002年5月、広田氏個人に対して、2200万円の損害賠償を請求する民事訴訟を東京地裁に起こした。
問題とされた記事の概要は、帝京大学理工学部の1997年度の卒業判定の不正と単位乱発問題であったが、帝京大学側は、記事内容のほとんどが「事実ではない」と言い、帝京大学の名誉を毀損した、として訴えてきたのである。
広田氏は以前にも、月刊誌『噂の眞相』(休刊)の2000年1月号に書いた記事について、帝京側から4300万円の支払いと謝罪広告を求める内容で訴えられた。このときは広田氏ひとりではなく、版元なども含めて被告とされた(2001年1月に和解が成立)。
しかし、この『サンデー毎日』の記事をめぐる訴訟では、執筆者である広田氏のみが訴えられ、編集長も毎日新聞社も訴えられなかった。広田氏は一審判決(2004年9月)、二審判決(2005年3月)ともに勝訴し、最高裁の上告棄却で2005年8月、判決が確定した。
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広田氏の著書『この命守りたかった 検証/木谷公治君の過労自殺』(かもがわ出版)![]() |
--帝京大学に訴訟を起こされたと最初に知った時の気持ちは。
広田「もうブルーで、やっていられない気分でした。ただ、私のようなフリージャーナリストは、表面的な物事を追いかけたり、当たり障りのない中途半端な記事を書いたって意味がありません。
向こう(帝京大学)が食ってかかってきたっていうことは、やはり痛いところを突かれたんだと思います。訴えられれば偉いわけではありませんが、事実を書くことがいちばん大事だと思うので、同時に『まぁ、しょうがないな』という気持ちもありました」
--広田さんだけが訴えられたことについて、どう思いますか。
広田「頭にきました。よくもここまで人をこけにしてくれた、と。これはフリージャーナリストに対する兵糧攻めです。この裁判のために割いた時間や、頼んだ弁護士の費用などはすべて私個人の負担です。これらは勝訴しても戻ってきません。
それに、一度訴えられると『またやられるのでは・・・』と怯んでしまうし、『もし万が一負けたら』と考えるとお先真っ暗になります。2200万なんて、とてもじゃないけど払いきれる額ではありません。このような、人を恐怖に陥れる言論封じ、言論弾圧は許し難いです」
--裁判期間中、精神的なことも含めて、きつかったことは何ですか。
広田「自分のことを神経が丈夫だと思っていたけれど、円形脱毛症にもなりました
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冲永佳史帝京大学学長。2002年1月学校法人帝京大学理事長に就任。2002年10月より帝京大学長を兼任。(帝京大学HPより)
画像上から帝京大学が「名誉を毀損された」と訴えた広田氏執筆の記事(『サンデー毎日』2002年4月28日号毎日新聞社、画像上)。東京地裁の判決後に広田氏が書いた記事(『サンデー毎日』2004年9月19日号毎日新聞社、画像下)。上から4段目の14行目から19行目(※のある部分)に、第一審に勝つまでの心境が書かれている。■判決関係2004年9月1日の東京地裁の判決、2005年3月9日の東京高裁の判決、2005年8月30日の最高裁の決定
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読者コメント
現学長がいかに「世間知らず野郎」かよくわかるでしょう。その体質は創価学会と同じで周りにはイエスマンだけ。「はいはい仰せのとおりです」といって学長から月給をせしめる輩ばかり。
SLAPPの特徴は、ガバナンス(内部統制)が機能していない組織で発生すること。つまり独裁体制下で起こりやすい。本件で最高裁まで争う兵糧攻めを進めた責任者である学長の冲永佳史氏は帝京大創立者の子供で、構図がオリコンとそっくり。これではますます学生も集まらなくなるでしょう。
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