タバコの煙と臭いを地下鉄構内に撒き散らしていたアートコーヒー霞ヶ関駅店だが、タバコ問題首都圏協議会の申し入れを受け入れ、4月14日から全面禁煙となった。
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構内全面禁煙のはずなのに、構内にあるカフェで喫煙できるのはおかしい--。東京メトロ霞ヶ関駅構内にある「アートコーヒー」には喫煙席があり、駅構内にタバコの煙と臭いが漂っていた。タバコ問題首都圏協議会が3月末に(株)アートカフェと東京メトロに禁煙を申し入れたところ、1週間後に回答が届き4月14日に禁煙になった。だが都内地下鉄にある残りのアートコーヒー2店(日比谷・神保町)に加えて都営地下鉄分も含め、まだ11店も喫煙可のカフェがあり、矛盾が放置されている。わずかな期間で完全禁煙に持ち込めた秘訣と、一人からでも取り組めるノウハウを紹介する。
【Digest】
◇「訴訟も検討」と全面禁煙を申し入れ
◇異例の早さで東京メトロとアートカフェが対応
◇20日足らずで全面禁煙を実現させた決め手
◇地下鉄構内でいまだに喫煙できる店舗
◇全面禁煙に向けて一人でも取り組めるノウハウ
◇「訴訟も検討」と全面禁煙申し入れ
今回の取り組みのきっかけは、3月20日過ぎに、私も入っているquit(クイット)という禁煙メーリングリストの中で、日本禁煙学会の小児科医の方から、アートコーヒー霞ヶ関店の前を通りかかるたびにタバコの臭いがひどい、地下鉄は構内全面禁煙のはずなのにおかしい、どうにかならないでしょうか、というメールが流れたことです。
東京メトロの霞ヶ関駅構内にあるこの店は、改札の中と外の両方から利用できる構造なのですが、ガラス戸を隔てて改札の内側の店舗内が喫煙席となっていて、煙と悪臭が常に漂っています。
私自身もよく利用していますが、店内で注文する際には、「息を止めて待っているから早くしてください、この臭いはなんとかならないのですか」と店員に言っていたほどでした。
駅構内の全面禁煙は、営団地下鉄(東京メトロの前身)と都営地下鉄で1988年から実施され、健康増進法が施行された2003年には東武、西武京王、小田急、東急など関東の大手私鉄8社が実施しました。いまや駅構内の全面禁煙は常識となっています。
一方で、JR東日本では20007年から全列車全面禁煙となりましたが、駅のホームについ
ては、終日全面禁煙の駅もあるものの、基本的には分煙のままです。
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アートコーヒー霞ヶ関駅店に掲げられた「全面禁煙」のお知らせ。

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東京メトロは「構内全面禁煙」を実施している以上、構内に設置されたカフェが禁煙でないのはおかしい。そこで昨年10月にも、地下鉄駅構内にある店舗は全て全面禁煙を、という申し入れを、アートコーヒー本社と東京メトロ本社に行いましたが、「運営上、全面禁煙の政策が取れないのが現状です。諸般の事情をご理解の上もう少しお時間を頂戴いただきたい」という、納得できない回答でした。
そこで今回はより本腰を入れて、多くの人に働きかけてやってみよう、と考えました。
まずは、禁煙・嫌煙権運動関係者に向けて、「東京メトロ駅構内『アートコーヒー』の煙害追放を!」という呼びかけ文を作成し、駅店舗を管轄する(株)アートカフェと、東京メトロ本社に向けてのアクションをお願いしました。
霞ヶ関駅は出口からすぐのところに東京地裁、高裁があり、弁護士も数多く利用する駅なので、各種タバコ裁判で協力していただいている弁護士さんらにも呼びかけました。
この呼びかけ文を禁煙・嫌煙権運動関係者に送ったのは3月25日ですが、3月27日にはタバコ裁判の弁護団である三枝基行弁護士から2社に対して「直ちに禁煙とするよう」という内容の要望書が送られたのをはじめ、かなり多くの人がFAXなどで申し入れをしてくれました。
3月27日には、アートカフェの河西雄史社長と、東京メトロの梅崎壽社長に、タバコ問題首都圏協議会の代表として「霞ヶ関駅構内の煙害について申し入れ」という文書を郵送で送りました。
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■運動関係者各位への報告書と、東京メトロとアートカフェへの申入書
まず支援者に申し入れへの協力を呼びかけた上で、東京メトロとアートカフェへの申入みを行い、支援者からの申し入れも同時期に届く段取りを整えたことが、今回の訴えをより効果的にしたという。なお、東京メトロの社長の名前は梅崎壽社長だが、申し入れの際、名前を間違って送ったため、後日、お詫びを伝えている。
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この文書では、東京メトロは既に「構内全面禁煙」を実施しているのに、霞ヶ関駅構内のアートコーヒー店は全くの治外法権としてタバコの煙と臭いが野放しになっているので全面禁煙にしてほしいこと、これは昨年に続き2回目の要請となるが、今回の申し入れを無視するようであれば、「健康増進法第25条」の「努力義務違反」で訴訟も検討したいと考えていること、霞ヶ関駅店だけでなく、他の駅構内の店舗を全面禁煙にしてほしいこと、などを申し入れました。
先方に文書が届いたのは3月28日だと思いますが、ほぼ同時に、私の呼びかけ文に応じてくれた禁煙・嫌煙権運動関係者からの数多くのFAXの申し入れも届いたはずです。
◇異例の早さで東京メトロとアートカフェが対応
後日お話したアートカフェの方によれば、3月31日にはアートカフェの責任者が東京メトロに呼ばれて、「明日からでも禁煙にしてもらいたい
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■東京メトロとアートカフェからの回答書
全面禁煙の実施を伝える東京メトロとアートカフェからの回答書。両社で協議した結果、4月2日付でまず東京メトロが、4月3日付でアートカフェが回答を出したことからも、東京メトロ主導の決定だったことが推測される。
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