城繁幸と対談(2)貧困解決を阻むニセモノたちと、格差解消のための資産課税
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飲みながら議論を続ける(2008年5月26日)。本編は、4回にわたりVOICEWAVE にて放送されるらしい。本原稿は要約版。 |
- Digest
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- 「貧乏代表」のほうに混じる、格差解消反対な人たち
- 話をすりかえ、ガス抜きするニセモノたち
- 団塊ジュニア世代が正論を言うしかない
- うまく取り込まれてる貧乏代表たち
- 資産課税で必ず政権をとれるのに
- 勝ち逃げ世代からとれ
【Digest】
◇「貧乏代表」のほうに混じる、格差解消反対な人たち
◇話をすりかえ、ガス抜きするニセモノたち
◇団塊ジュニア世代が正論を言うしかない
◇うまく取り込まれてる貧乏代表たち
◇資産課税で必ず政権をとれるのに
◇勝ち逃げ世代からとれ
以下、城繁幸と対談(1)メディアとキャリアとアウトサイダーの続き。
「貧乏代表」のほうに混じる、格差解消反対な人たち
――朝生、僕も見てたんだけど、視聴者からみて右側にいたのが、貧乏代表の労組、NPO、森永卓郎で、左側が企業、自民党。この区分けが分からない。だって自民と経団連って、格差を助長してるわけじゃなくて関心がないだけだし、貧乏代表のほうにも実は格差解消に反対な人たちが混じっている。連合とか民主党とか。渡邉さんから見て、どうなんですか。
「もう答えは見えているのに、連合と経団連の既得権の調整ができないだけなんですよ。それぞれの支持を受けた民主と自民が政権の中心にいて、どっちも既得権を手放さない。既得権を持っていない貧困層は、タイヘンだタイヘンだ、と言ってるだけで。そんなことはもう分かってる。法治国家なんだから、具体的にこの法律のこの条文をこう変えろ、という話をしなきゃいけない。そこが足りない」
→『激論!新しい貧困とニッポン!』氷河期世代を救い、労働市場を正常化する政策提言――そうそう。絶対、足りないですよ。
「もう次の選挙が見えてきてるんだから、各党に迫ればいい。具体的には、厚生労働委員会の理事を務めているような、自民の茂木さんとか、民主の山井さんとかに言って、具体的な公約を作らせる。非正規が2千万人いれば影響力あるわけだから。森永卓郎なんかがリーダーになってね。でも格差拡大とともに売れてきた人だからできない。格差解消しちゃうと彼はビジネスにならなくなっちゃう…。
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城繁幸『若者はなぜ3年で辞めるのか』(光文社新書、735円)![]() |
「言ってることに整合性がないからね。格差拡大は、一部の性格の悪い経営者のせいだ、とか言ってる。だったら性格矯正のプログラムでも作らなきゃいけないのか、と。性格の問題にしたら問題は解決しない」
――メディアってバランスをとろうと思っちゃうから。一方が新自由主義なら、もう一方の側は、選択肢が森永卓郎か金子勝か、しかなくなる。
「本当に格差を解消したければ、あれだけ影響力あるんだから、自分で市民団体でも作って政策を打ち出せばいい。この問題は解決が難しいよ。格差解消側にニセモノが多いから」
話をすりかえ、ガス抜きするニセモノたち
――民の側が、それを信じちゃってて、既存の政治勢力が、うまく便乗してる。自治労は改革をしてほしくないから、経営者が悪い、改革路線が悪い、と話をすりかえるこの先は会員限定です。
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渡邉正裕『若者はなぜ「会社選び」に失敗するのか』(東洋経済新報社、1,680円)
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読者コメント
要宏輝さんが起こした提訴のことは詳しく報道されなかった・・・、そういう姿勢にメディアってどうなんだろうとすごく疑問に思いました。経団連と連合のやり取りで格差解消すると思ってる人たちがどれだけ居るのか世論調査したら面白いのに~。人材派遣会社の役員が有識者として意見するようなTV番組なんか見たくは無いね~。
2015年(平成27年)現在トマ・ピケティの唱える21世紀の資本に資産課税の話が出てくる。資産課税しろってのは世界的にも求められている。2008年の段階でその話をしているってのは重要なことだ。
うまく機能していないのでしょうね。
政治や役所、企業経営者。社会をリードする立場にある方々が自らの利益しか考えなくなった結果であるとしか思えません。
市営バスの運転手の給与が年収800万円だったか、意外と想像以上に高かったり、学校給食のパートのおばちゃんなんかも案外と結構貰っているそうです。
官製だそうなので、さぞかし絞りがいがあるでしょうね。これまた命懸けになりますけど。
それと法は余程しっかりと正当に作らないと穴が残りますし、現実には万能ではないように思います。
特別会計に切り込め、と主張すべきではないかと。
塩爺こと塩川正十郎氏の次の発言「母屋でおかゆ(比喩するならば定食が妥当)を啜っている時に、離れですき焼きを食べている」(一般会計が赤字を削っているのに特別会計で浪費していることを揶揄した表現)は有名です。
言われる通り、双頭揺動作戦といった手法もあるとは思えますので、適切な選択肢は狭くも意外な対象に絞られてしまうのかもしれません。
確かに、常識や前例主義に縛られていては解決不能な難しい問題ですね。
野党=労組こそが諸悪の根源であるという当たり前の事実を既存のメディアは絶対に報道しようとしません。
中高年の既得権益を守るために若者が犠牲になっているということを声を大にして言いたいです。
弱者を食い物にしている旧来の左翼ではない、真に弱者の味方となる識者・団体に期待したいです。
権力側の人間や勝ち逃げをしようとする世代は、いかにごまかしながら自分達の利益を守ろうとするかに全力を注いでいるように思えます。まずはこういった啓蒙活動で種をまき、問題意識を持った活動家が増えてくることを期待しています。
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