 Ba:普通の企業
(仕事4.5、生活3.7、対価2.2)
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シャープといえば、液晶。同社は、液晶テレビ向け大型液晶パネルを増産するため、次々と生産ラインを拡大。2004年は主力の亀山工場(三重県)において、1月に続き8月に第2期のラインを稼動させたが、まだ完成度は全体の半分だ。業績も好調。しかし、社員は「やらなあかんからやる」という感じで、現場のモチベーションはそれほど高い訳ではないという。
【Digest】
・業績好調の割には低い報酬
・フラットな組織で1年目からバリバリ
-一部で大胆な抜擢人事
・普段の休日取得数は多い
・低い報酬で雇用を守る
(2.2:悪い)
絶好調の業績を背景に、同社の労組は今春、年間ボーナスを過去最高に迫る5.64カ月とする要求を行ったが、結果は5.17カ月だった。「○ヶ月分」という数字だけを見ると4ヶ月台の日立や三菱電機より高いが、もともとの基準額が低いため、絶対額は未だに大手電機メーカー9社のなかでも最低水準にとどまっている。
入社4年目(28歳前後)で残業が付かない部署にいると、年収ベースで400万円を切るのも珍しくない。工場の立ち上げや製品開発といった最も忙しい部署では残業代が年間100万円くらい加わるものの、経営側が業績を支える現場の労に報いていないと感じている社員は多い。
このため、上昇志向や出世欲の強い人は、年収1.5倍のケースもあるソニー等に転職していく。逆にシャープに残る人は、「やりがいがあるから」というより、むしろ、根がまじめな人、関西出身で地元志向が強い人、が多いという。
同社は、2001年に諸手当を全廃済み。独身寮はあるが、費用は1万円以上と高めで、食事も付かない。家族向けの社宅は2~3万円で利用できるが、寮や社宅に入らない場合の住宅補助はゼロだ(社宅がない一部地域でのみ社宅補助が出る)。しかも、30歳になると出なければいけない。福利厚生が悪いというのは社内の共通認識だ。
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シャープのキャリアパス
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30歳くらいから主事になり始めると月収が月2~3万円上がり、年収ベースは450~600万円(残業代の多寡による)。主事は、階層を簡素化して昇進しやすくするために従来の「副主任」「主任」「係長」の3つの資格をまとめたものだが、通常、次の副参事(いわゆる課長)に昇格するのが40歳前後であるため、それまでは残業がつくことになる。
ソニーの30代社員(「グレード1」が中心)は管理職でなくとも完全に裁量労働制だが、シャープの30代社員の中心を構成する主事には、裁量労働制が適用されない。会社側は適用したい方向だが、以前に残業代の未払い問題で労基署の立ち入り検査が入るなど、残業管理できないことを理由に、導入しきれていない。
主事を経て副参事(課長相当)に昇格するのは、最速で32~33歳。通常は40歳前後。これで年収は700万円台~800万円くらいである。ただ、報酬に占める年齢給の比率が高く残業もつくために、ベテラン係長で残業が多い人の方が、若手の課長(副参事)より年収が高くなるという逆転現象も見られている。
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年収推移
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組織・階層
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