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暴力横行する陰惨な自衛隊の実態 空自小松基地暴行失明事件

情報提供
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上官の激しい暴力で隊員が失明する事件が起きた航空自衛隊小松基地(石川県小松市)
 航空自衛隊小松基地(石川県)で昨年8月、酔った上官が「指導」と称して部下に激しく暴行を加え、顔を骨折、左目失明の重傷を負わせる事件が起きた。被害者は発見当時、顔や鼻から血を流し、首を絞められて気絶状態だったが、病院に搬送されたのは約2時間後。さらに警務隊が重い腰を上げたのは発生から3週間後だった。「幹部らは事件が表ざたになることを恐れていた。もし私が死んでいたら『喧嘩』で処理されたかもしれません」と、被害を受けた隊員は憤る。暴力事件で懲戒処分になった自衛官は、2007年度一年間で60人を超えている。
Digest
  • 「左目に拳、鼻血がどっと出た…」
  • 悪夢の「納涼の夕べ」
  • 左右パンチ約30発、頭突き、酒瓶で殴る
  • エスカレートする暴力
  • 意識不明のまま病院到着は2時間後
  • 3週間後、失明してようやく捜査開始

「左目に拳、鼻血がどっと出た…」

 「いきなり拳が飛んできて左目にまともに入りました。目の奥でパキと音がするのがわかりました。鼻血がどっと出てきた。普通じゃない、と思いました。さらに柔道の締め技をかけられた。意識が遠のいて後は覚えていません」

 悪夢のような体験を語るのは航空自衛隊元士長のAさん(24歳)だ。空自小松基地(石川県小松市)の消防小隊に所属していた昨年8月3日夜、酒に酔った上官の3曹隊員B(当時28歳)から、殴る、蹴るといった激しい暴行を受ける。眼窩内壁骨折という重傷を負い、左目の視力を失ってしまう。

 現場は人気のない基地内の路上。点呼の時間になっても二人が宿舎に戻ってこないため、探しにきた別の隊員が発見した。気絶し、血だらけで仰向けに倒れているAさんの上に、B3曹は馬乗りになって殴っていたという。数人がかりで引き離そうとしても、まだAさんに蹴りを入れる激しさだった。

 「止めてくれたからよかった。あのまま続いていたら死んでいたかもしれませんから」

 Aさんが振り返る。

 「死んでいたら、どういう説明をされていたかわかりません」

 一般社会なら犯人は現行犯逮捕され、被害者も救急搬送されだろう。だが、Aさんの場合は違った。病院への搬送は発生から2時間後。自衛隊内の犯罪を捜査する警務隊も、捜査に着手したのは失明の後遺症が確実となった3週間後だった。

 さらに、Aさんによれば、事件後しばらくの間、「腫れた顔で基地内を歩くな」などと上司に言われ、小隊の部屋に軟禁同然の状態にされたという。

 「事件が基地上層部に知られたら問題になる、とできるだけ内々に処理しようとしたらしい」

 Aさんは後に、周囲からそう聞かされる。
 
 若く将来のあるAさんにとって、当然のことながら失明は大きなショックだ。自衛隊も辞めざるを得なくなった。それでも気を取り直して、現在、鍼灸師の勉強をしている。東洋医学で視力が回復するかもしれないと、一縷の望みを抱いてのことだ。病気やケガで苦しい目に遭っている人の役に立ちたいという気持ちもある。

 そして今年7月、防衛省を相手に国家賠償請求訴訟を、静岡地裁浜松支部に起こす。暴力を振るった本人に憤りを感じる以上に、事件後の自衛隊の対応に業を煮やしたからだ。
 国民の生命・財産を守るはずの自衛隊内で起きた暴行事件。訴訟で明らかになった事実は、国民の生命・安全を守るべき組織とは到底思えない、陰惨なものだった。

悪夢の「納涼の夕べ」

 事件があった8月3日(金)は、夕方から基地を一般開放して夏祭り「納涼の夕べ」が催されていた

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被害者と加害者の隊員が所属していた消防小隊。自分を精神的・肉体的に鍛えて、技術も身につけたいと希望を持って入隊した自衛隊だが、事件後、印象は180度変わった。

暴力事件をめぐって行われた内部調査の調査報告書。開示請求に対して、防衛省はほとんどスミ塗りのものしか出そうとしない。裁判の中でも、開示をめぐって攻防が続いている。

加害者のB3曹は停職15日の懲戒処分を受けた。記者発表の資料が地元記者クラブに投げ込まれたが、記載された内容はごく簡単で、失明の後遺症を負った事実は伏せられていた。

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