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“偽装チラシ部数”で稼ぐ山陽新聞の新型ビジネスモデル

情報提供
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岡山県の地方紙・山陽新聞には、重大な折込チラシの水増し疑惑がある。県の広報紙『晴れの国おかやま』のほか、政党のチラシ、パチンコ店のチラシなども水増しされている。本文の動画は、広告主必見、住民によるジャーナリズムの実践だ。
 山陽新聞社が、系列の販社である山陽新聞岡山販売への新聞偽装部数(押し紙)を減らす一方、同じく系列の山陽折込広告センターの折込広告部数表にABC部数を上回る架空の部数を書き込み、必要な折込チラシ数を実態よりも水増しすることで、本来は不要なチラシ料金を騙し取る新種のビジネスモデルを構築している疑惑が発覚した。税金で運営される県の広報紙『晴れの国おかやま』の折込部数は、実売部数はおろかABC部数を約4万5千部も上回って刷られ、料金が支払われていた。岡山市の住民らは、水増しチラシを回収する場面をビデオに撮影、告発した。
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◇市民メディアの可能性

水増しした折込チラシを回収している現場を、岡山市の住民らがビデオカメラに撮影することに成功した。画像には、新聞に折り込まれるはずのチラシを段ボールに詰め、トラックに積み込んで、シートで外見を隠して運び去る場面が記録されている。

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重大な水増し疑惑がある折込物。上から『晴れの国おかやま』、自民党のチラシ、民主党のチラシ。

偽装紙(「押し紙」)が回収される場面は、すでに京都新聞の販売店などで撮影されているが、水増ししたチラシが回収される場面が撮影されたのは初めてだ。広告主にとってはショッキングな画像に違いない。

ここで公開する画像は、ここ1年ほどの間にビデオ撮影した場面を再編集したものである。最初の場面は、販売店で男性がチラシをセットしている映像だ。余ったチラシを段ボール箱の中へ投げ捨てる。チラシで一杯になった段ボール箱は、回収業者のトラックへ運ばれる。水増しされた広報紙や政党のチラシも画像に収まっている。

ちなみに回収業者は「誓勇(せいゆう)コーオペレーション」という会社である。トラックを尾行したところ、岡山市の郊外の辛川市場という地域に集積場があることが分かったという。それは普通の民家の倉庫だった。

映像を公開しよう。(ここをクリック)

インターネットでしか見られない画像である。このような画像は、テレビ局に30年籍を置いても撮影できないだろう。既存のメディアはいまだに偽装紙問題をタブー視しているからだ。偽装紙報道に関しては、市民メディアが先を走っている。

チラシの水増し行為を検証した結果、山陽新聞には驚くべきビジネスモデルがあることが判明した。それは従来考えられていたビジネスモデル(販売店が、新聞の偽装部数を押し付けられることで生じる損害を、チラシの水増しと新聞社からの補助金で相殺する)の変形タイプだった。将来、他の新聞社が追随する可能性もある。

◇広告主の怒り

岡山市で塾を経営する久野仙一さんはみずからが受けた折込チラシの水増し被害をブログで明らかにした。塾の宣伝媒体として折込チラシに頼っていたところ、かなりの枚数が捨てられている事実に気づいたのである。その時の心境を、詩で表現した。

 饅頭をかう。1個100円だ。10個入りを買って1050円払う。
 家にかえって開けてみたら6個しか入っていない。
 誰もが言う。
 金返せ!
 このくらい当たり前のことを言うのに、この国では勇気がいる。

久野さんが、新聞折込によるチラシ配布に不信感をいだいたきっかけは、チラシの折込枚数には端数がないのに気づいたことだった。そこで依頼するチラシの配布枚数を自主的に少しずつ減らしてみた。その上で塾の生徒や友人、それに親戚に新聞にチラシが入っているかどうかを問い合わせた。このような作業を繰り返しているうちに、チラシ枚数を4割減らしてもなお家庭に届いていることが分かったという。

久野さんのチラシも、ビデオに撮影されたプロセスを経て処理されていた可能性が極めて強い。

◇チラシ枚数が新聞の搬入部数を超える

折込チラシの水増しは、新聞の偽装部数と表裏関係にある。たとえば3000部の新聞が販売店に搬入され、1000部が配達されないまま店舗に残っているとする。例外はあるが、原則としてチラシの搬入枚数は、新聞の搬入部数に準じるので、残紙が1000部あれば、チラシも1000部余っていることになる。これが通常の水増し行為である。現在、新聞業界で慣行化しているごまかしである。

ところが山陽新聞の販売店では、新聞の搬入部数をはるかに上まわる数量のチラシが搬入されているのだ。しかも、それが普遍的に行われている可能性がある。

たとえば次のような例が観察できる。

《2005年9月、岡輝販売センター(岡山県岡山市)の例》

増紙目標部数(新聞の搬入部数): 1875部
チラシの搬入枚数       : 2400枚(NTTコミュニケーションズ)

増紙目標部数というのは、実質的には新聞の搬入部数のことである。目標の部数を定めて、それをノルマとして搬入するのだ。

したがって実配部数はもっと少ない。岡輝販売センターの元店主によると、実配部数は1700部ぐらいだったという。

しかし、NTTコミュニケーションズのチラシは、2400枚も入っている。

700枚も捨てられていた可能性が

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チラシの運び屋である新聞の部数は1870部(上)。しかし、販売店に搬入された『晴れの国おかやま』の部数は2350部(下)。

(上)ABC部数を示している。(下)折込チラシの部数を示している。チラシの運び屋である新聞の部数が約45万部しかないのに、販売店には、約49万部のチラシが搬入されている。明らかな水増しだ。

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