長妻さんにやってもらいたいこと
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このリポート(The Global Gender Gap Report 2009)、全体としてはよくできている。
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「Gender Gap Report 2009」のJapan![]() |
ただ、「Legislators,senior officials,and managers」が6位というのがものすごい違和感。
根拠となるデータが示されていないので分析不能なのだが、やっぱり中間管理職以上のポストへの女性登用は多くの日本企業では消極的で、ガラスのCapがある。
たとえば山崎製パン なんか、単体で15,879人も社員がいて、課長以上の女性は、全社で3人だけしかいないそうだ(人事、研究所、衛生管理に1人ずつ、生産はゼロ)。このGenderGapは、社内でも話題になっているという。2年ほど前にトヨタ の広報に聞いたら、女性で部長級はゼロ。次長級=基幹職2級が3人/全1533人、課長級=基幹職3級が21人/6047人。世界のトヨタが女性部長ゼロだ。今はどうかしらないが。
だから、このように数値化して可視化し、全社を横並びで示すことが重要なのである。
元トリンプ会長の吉越氏が主張していることに通じるので紹介する。
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長妻厚労省は、従業員1000人以上の大企業に対して、まずは下記数値の情報公開を義務付け、サイトで毎年公開すべきだ。
この情報公開規定は、経営側にとっては困る話ばかりなので、自民党政権にはできるはずがなかった。
だが、「政・官・労(連合)」の癒着が始まった現政権なら、可能なのだ。今のうちに、がっちり法制化していただきたい。
私のこれまでの取材感覚からいうと、とりあえず下記が重要。
・平均残業時間・有給休暇消化率
・事業所別の健康診断結果の平均値(原発とか絶対怪しい)
・在籍中の死亡者数
・社員の労災認定数(企業の味方・厚労省は過労死を非開示!)
・離職率
・女性の管理職人数と全体に占める比率
・休職者数と全体に占める比率
別に、数字さえあれば、それが良いのか悪いのかの判断は就活生なり社会なりが判断することなので、どんな数字であろうが、かまわない。罰則も必要ない。「うちは保守的な男社会だ、女性は補助的業務に限る、それが日本の伝統なのだ」と言い切る会社があってもいい。
重要なのは、情報が公開され比較検討できること。その一環で私も 企業ミシュラン を続けている。
トヨタや山パンが女性を重要な仕事に就かせない会社であっても、「それで何が悪い」と独自のロジックを展開し、カネ儲けにまい進してくれて一向にかまわない。社会的責任(CSR)なんて関係ねぇ、そんなもんは戦勝国に押し付けられたもんだ、と田母神さんみたいに堂々と主張すればいい。
民主国家では、情報が公開されるだけで人間の善意が働き、世の中よくなっていくはずだ。トヨタは、広告宣伝費というカネの力で優良企業っぽく見られているから、過労死の実態や女性差別が公開されると、イメージで売っているプリウスの売上に影響があるかもしれないが、自己責任である。
民主党は情報公開をやると口では言っている。この施策は予算もほとんどかからない。長妻さん、すぐにやってくれ。
→PDFダウンロードGender Gap 2009
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就活での企業選びのさいのチェックリスト。平均残業時間、有給休暇消化率、離職率など
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読者コメント
>トヨタは女性の部長がゼロ
年次という視点が分析から抜けてませんか?普通の日本の会社だと、部長クラスになれるのは入社後25-30年くらいでしょうから、女性の社会進出が本格化した年代を考えると、2年前の時点でまだいなくても特におかしくはないと思います。
既に次長・課長クラスでは出てきているわけですから、あと10年くらいしたら、管理職適齢期の女性総合職の増加に伴い、女性役職者の数もそれなりになるのではないかなと思います。
山パンの例もそうで、管理職になれるのは基本的に大卒総合職なのですから、15,879人を母数にして語るのはロジックとして少々甘いかなと思います。
ただ、情報公開については賛成です。それなりの理由があって、やましいことがなければ、別に隠す必要はないと思いますので。
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