草加市の情報公開請求者脅迫事件 脅迫避ける方策とは?
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開示された調査委員会の文書。388枚あるが、関係部署への説明資料として同じ文書が何度も使われており、重複も多い |
- Digest
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- 事件の概要
- 「正義のため」を宣言する脅迫状が届いた
- 男性の開示請求内容
- 文書特定のための多数のメールやりとり
- 調査は「した」「していない」の2択式
- 聞き取りに要した時間は3〜4分
- 「市職員の関与、情報漏洩の事実はありません」と結論
- 住所氏名を隠した情報公開請求の可能性
- 事件の概要
- 「正義のため」を宣言する脅迫状が届く
- 男性の開示請求内容
- 文書特定のための多数のメールやりとり
- 調査は「した」「していない」の2択式
- 聞き取りに要した時間は1人3〜4分
- 「市職員の関与、情報漏洩の事実はありません」と結論
- 再発防止措置は事件があったことの周知だけ
- 住所氏名を隠した情報公開請求は可能か
事件の概要
「正義のため」を宣言する脅迫状が届いた
男性の開示請求内容
文書特定のための多数のメールやりとり
調査は「した」「していない」の2択式
聞き取りに要した時間は3〜4分
「市職員の関与、情報漏洩の事実はありません」と結論
住所氏名を隠した情報公開請求の可能性
回答する記者団の調べで、職員1人あたり3〜4分の簡単な聞き取り調査で事態を収束させていたことが分かり、事件は闇の中に葬られた。男性の代理人を務めた弁護士事務所に電話でコメントを求めたところ、男性はこの調査結果には、とうてい納得していないという。
事件の概要
埼玉県草加市や市教育委員会に情報公開請求を続けていた男性宅に2008年7月25日、差出人不明の封書がポストに入っているのを男性の家族が見つけた。封書の中身はA4用紙1枚にワープロ書きされた脅迫状で、「お前一人の知る権利で、公共の福祉が損なわれている!お前は何様のつもりだ!」「でかいつらして生活していることは絶対に許せない!!」などと書かれていた。封書には「SOKA」の消印があった。草加市は2006年4月から、児童が市内の中学校を自由に選べる「中学校学校選択制」を実施しているが、男性は、子供の進学先を検討できるほどに「十分な情報が開示されていない」として、08年7月9日から19日にかけて、学校給食費の未収納の状況、学力テストの結果、市立中学11校の定期テストの問題と解答、校長会議の資料など18件を情報公開請求した。
最後の請求から数日のうちに「知る権利」など請求に関係すると思われる内容の脅迫状が届いたほか、情報公開請求をしていることを第三者に知らせていなかったことから、男性は、市職員が個人情報の漏洩や不正利用に関与していると考えられるとして7月28日に草加市役所を訪れ、徹底的な内部調査と関与した職員の処分を申し入れた。同日、18件の請求のうちすでに公開された3件を除く15件を取り下げた。
この申入れに対して市は9月16日付けで調査委員会(委員長=檜垣昌司・総務部自治推進課担当副部長)を設置し、10月14日から16日にかけて情報公開に関わった教職員65人に聞き取り調査をおこなったが、全員が関与を否定、調査委員会は「職員の関与はなかった」と結論づけた。調査委員会の報告を受けた市は11月10日、市長(木下博信さん)と教育委員会委員長(國澤正和さん)の連名で「調査の結果、市職員の関与、情報漏洩の事実はありませんでした」と男性に回答した。
しかし、この回答に不服だった男性は12月4日に市役所を訪れ、「今回の調査結果に対しては納得できない」「今後の審査は、教育委員会及び中学校のみを対象として欲しい」と追加調査の申入れた。
市は2009年1月、追加調査として、教育委員会と中学校の未調査の教職員34人に10月と同様の聞き取りをおこなったが、やはり全員が関与を否定。調査委員会は「これ以上の調査は困難であり、関与したものを特定できない」との結論を出した。この報告を受けて市は2月24日、市長と教育委員会委員長の連名で前回同様「教職員の関与、情報漏洩の事実はありませんでした」と男性に回答している。
「正義のため」を宣言する脅迫状が届く
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男性宅に届いた脅迫状![]() |
日本の恥・埼玉の恥・草加の恥 ●●●●へ
お前一人のために、大勢の人が迷惑している!
お前一人の知る権利で、公共の福祉が損なわれている!
お前は何様のつもりだ!
お前の偏った考えや意見を何も物言えぬ弱い立場の学校や市役所に偉そうに語ったとしても所詮自惚れの何物でもない!
私達●●●●を日本から追放する会は、ここに正義のために立ち上がる!
お前の今やっていることを支持する者がこの日本・埼玉県・草加市にどれほどの人間がいるか!1パーセントにも満たないだろう!それほどの愚か者がでかいつらして生活していることは絶対許せない!!
お前が正しいと思うのなら、正々堂々とマスコミの前で自分の意見を述べ、世論の意見を聞け!お前の言動など評価する者などいるはずはない。
これからマスコミ各社(テレビ局・新聞社)にモンスター市民としてとりあげていただくよう依頼する。
警察の方へ:
最低最悪の男:●●●●がこの文書を脅迫状として警察に届けたら、是非ともお願いです。この●●●●の身辺を捜索してください。この男は、自分の主義主張のため多くの善良な市民を脅迫し、名誉毀損し、公共の福祉を乱しています。●●●●が起訴され、逮捕された場合、私達は名乗り出てどんな罪も受けます。それほど、この●●●●は、多くの善良な市民を苦しめています。
追伸:●●●● 調子に乗るな!!
●●●●を日本から追放する会
男性の開示請求内容
調査委員会が開示した文書によると、この男性が出した情報公開請求は、2007年に12件、2008年は脅迫状が届くまでに38件この先は会員限定です。
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聞き取りに使われた「調査確認書」のひな形。調査を受けた職員が選択肢をマルで囲み、自筆署名した
市と教委が男性に出した2回目の調査の回答書。「教職員の関与、情報漏洩の事実はありませんでした」と結論している
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読者コメント
わたしも娘の担任教師がわいせつ罪などの犯罪暦がないか調べたことがあります。相互不信のいやな世の中になりました。この人の子供もいじめられそうですね。
正義という単語を簡単に使ってほしくないですね。もしかしたら間違ったことをしているかもしれないという意識を常に持ってて欲しいです。前鳩山総務相もやたらに正義を連呼してました。自ら正義だって言うのはおこがましい。良かったかどうかは別の人間の判断することだ。
んん。匿名での情報発信というかそういう健全なものは必要です。ただ、ちょっと請求文の書き方とかにも上から目線で偉そうに書いてしまっていたとか問題があったかもしれませんね。あと給食費や学力テストの公開はおおいに行うべきだと思うんですが、定期テストの問題と回答と校長会議などは各学校の内部情報でしょうし。ちょっと過剰に公開請求をやりすぎたんじゃないのかなと思います。
この脅迫状は、資料を出す側の教員か教育委員会職員の仕業でしょう。教育関係者の閉鎖的マインドが一番の問題ですが、もう一つの問題は、この事例のように多量の請求をされたら、担当者の事務量が膨大になってパンクしかねない点です。資料請求だけでなく、職員から説明を受けるような情報公開の方法も必要ですね。
請求者の氏名を伏せるのは、善し悪しだと思います。脅迫状は論外ですが、市民の中にはストーカーまがいの執拗な公開請求を、必要以上に繰り返す人がいます。そのような人には、担当課もそれなりの心構えで対応する必要があると思うのです。
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