若者が闘うべきは、上の世代ではない
PHP月刊『VOICE』4月号(2011/3/10発売) |
- Digest
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- “成果主義”が生んだ世代間格差
- 悠々と余生に入った団塊の世代
- 後ろから刺してやろう、とは思わない
“成果主義”が生んだ世代間格差
その変化とは、成果主義の人事処遇が強化され、ほぼ定着に至ったことである。戦後の年功序列型の給与制度は、90年代半ばから形式的に人事査定による評価で差がつくようになってはいたが、ソニーが2004年4月から係長以下の一般社員約1万2,000人に「グレード制」を導入、キヤノンが2005年に「役割給」を導入し職務給(=人ではなく役割やポストに給与が紐づく)に20代の段階から近づけるなど、各社で急激に年功序列色が薄まった。
もちろん業種次第で強弱があり、規制産業(電力、ガス、マスコミ)は旧態依然として変化がないし、国際的な競争が激しい電機・エレクトロニクスメーカーでは変化のスピードが最も速かった。代表格は海外販売比率が7割を超えているソニーである。グレード制導入とともに、家族手当や住宅手当も全廃され、上の世代が享受してきた手厚い福利厚生も消えた。
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昨年、同社の中堅社員に話を聞くと、既に待遇面については諦めた風だった。「今のまま、給料は上がらないだろうと思っています。課長になれなければ、サラリーが毎年1~2千円ずつしか上がらない。40代のバブル期入社世代でさえ課長になれていない人が多いので、30代の我々がそれを飛び越えて課長になるのは、かなり難しいんです」。数年前に組んだマンションのローン返済もあり、不安そうだった。
会社の成長が鈍化、および低下するなかで、年功序列で皆の給与を上げ続けたら、固定費増で赤字体質になってしまう。よって総人件費の抑制が必要で、削減インパクトが大きいのは頭数が多いバブル入社組だから、彼らの給与が高くなる40歳までにルールを変えてしまえ、というのが会社側の狙いだった。だから、バブルピークの1990年入社組が30代後半を迎えた2004年前後に、“成果主義”への変更が相次いだのである。
ようは人件費が削減できればよいので、人事制度改訂ではなく「運用」で対処している会社も多い。流通大手のイオンは、昇格試験の合格率を恣意的に下げることで調整している。「2010年度の『M2』への昇格試験は、なんと合格率2%だった、というんです」(同社30代社員)
イオンの組合員(総合職)はJ(ジュニア)とM(ミドル)の2階層に分かれ
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訪れたインド企業
オフィスの中(休日なので社員はいない)
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ようは人件費が削減できればよいので、人事制度改訂ではなく「運用」で対処している会社も多い。
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