リングス前田日明、“不良のための暴力ショービジネス”『アウトサイダー』肖像権侵害事件で逆転敗訴の真相
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不良のための格闘技『アウトサイダー』のDVD等をめぐり、選手に肖像権侵害で訴えられて敗訴が確定したリングスの前田日明社長 |
- Digest
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- 不良のための暴力ショーに不本意ながら参戦
- 肖像権放棄していない試合のDVDが出回る
- DVD回収、慰謝料等710万円分もとめ地裁に提訴
- 二審で原告勝訴の逆転判決下る
- 「原告に迷惑がかかるので公表は差し控えて」前田日明リングス
不良のための暴力ショーに不本意ながら参戦
被害を訴えたA氏(写真、年齢は本人の希望により伏せている)は、2008年3月初旬、「格闘技通信」という雑誌に掲載されている「アマチュア大会・開催日程&出場選手募集!」というページに載っていた、ある試合に応募した。
それは、元プロレスラーで格闘家の前田日明(あきら)が代表取締役を務めるリングスという会社が主催する試合だった。当時、リングスは約6年間活動を停止しており、久々の再始動だった。
リングスの募集欄は画像2のように「素人格闘技大会『THE OUTSIDER』」とあり、「出場資格 16歳~35歳まで」「履歴書、写真3枚、健康診断書を同封して郵送」などとあり、不良のふの字すらなかった。
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A氏はこの募集欄を見て
応募した![]() |
A氏はこの試合に応募した。理由は「リングスは以前から『アマチュアの競技人口を増やしたい』と言っていたのを聞いており、業界の中では名の知れた企業であるリングスの開く大会ならば安心して試合ができると考えたからです」と言う。
その後、書類選考が通り、A氏の出場が決まった。大会は、2008年3月30日、都内江東区にある「ディファ有明」で行われた。
そこでA氏は主催者側から説明を受けて、はじめて「『不良のため』の総合格闘技である」と知らされた。その時、A氏は、会場の雰囲気がいつもと違うことに気付いた。通常、アマチュアの格闘技大会の観衆は多くても200人程度なのに、この大会では、1,500人超も集まっていたのだ。「観客も暴力ショーを見る目的で集まっていると感じました」とA氏は言う。あとでわかったことだが、観衆は有料のチケットを購入していた。他のアマチュア格闘技とは違い、興業目的の大会であることは明らかだ。
そもそもA氏は、格闘技を暴力とは微塵も思っていない。「格闘技は、純粋に、スポーツとして好きです。格闘技を通して、自分の性格や行動にいい影響を与えてもらった。格闘技の試合に出る目的は、自分に挑戦し、自分に勝つことが目的です」と語る。そんなA氏にとって、「不良のため」という大会の趣旨は不本意だったが、「この日のために練習を積んで苦しみに耐えてきた自分と相手選手のために、前向きに思い直して試合に出ることを決めました」と言う。
こうしてA氏は試合に臨んだ。(試合結果は、A氏が誰なのかを特定されるのを防ぐため、伏せる)。
ちなみに、「THE OUTSIDER」がどういう大会かを示す映像は以下の通り。
試合を終えた感想をA氏はこう吐露する。
「ほかの試合は、どんな結果、内容でも、いい思い出となっているのですが、この試合だけは思い出すたびに不快で、吐き気すら起こります」
肖像権放棄していない試合のDVDが出回る
嫌な思いをしたA氏だったが、これで終わりではなかった。試合から半月後、リングス事務所からA氏のもとに手紙が届いたのだ。そこにはこう書いてある。
「今回の大会は反響が大きく、選手の可能性のため動画を公開することになりました。しかしながら、選手には肖像権があり、このままでは公開できません。肖像権の放棄に同意してください」
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リングスが各選手に送った肖像権放棄の確約書。同意をもとめるサインの欄があるが、A氏は返送しなかった。画像はサインをした他の選手の文面![]() |
もちろん、A氏は、同意書を返送しなかった。A氏にとって、アウトサイダーに参加したことは誰にも知られたくない過去だったからだ。
それから半年が経過し、嫌な過去を忘れつつあったA氏のもとに、突然、驚愕の電話が入った。知人から「アウトサイダーのDVDがレンタルされているが、Aにそっくりな選手が試合しているのが収録されている
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ミリオン出版の書籍。二審判決でこの本に関しては肖像権侵害にあたらないとして原告の請求は棄却された
A氏の訴状
二審判文抜粋。前半は判決主文。後半はDVD、動画配信を肖像権侵害とした裁判所の見解の全文
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ふむ、出場者の「肖像権放棄」手続きがないと、DVDや動画配信はいかんのか。/判決文を詳しく読んでみるか・・・
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読者コメント
前田さんって商売人ですね¨
フルボッコ 前田日明 で検索して出てくるアメーバ動画で前田日明は後輩を殴る蹴るパイプ椅子でどつき倒す…
記者からの追加情報
■リード
計710万円を求め→710万円分
(分を加筆)
計210万円の支払い→150万円
■ダイジェストと見出しの
◇DVD回収、慰謝料等710万円もとめ地裁に提訴
の710万円
を
710万円分
(分を加筆)
■本文 2点
◇DVD回収、慰謝料等710万円もとめ地裁に提訴
の章の、本文一段落目の
「慰謝料550万円など計710万円」
710万円分
(分を加筆)
◇二審で原告勝訴の逆転判決下る
の最後~2段目の
DVDや動画の差し止めと、リングスに対し精神的苦痛の慰謝料として130万円と弁護士費用20万円、ツタヤを運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ㈱など5社に対し、慰謝料50万円、弁護士費用10万円の支払いを命じた。
を
DVDや動画の差し止めと、リングスに対し精神的苦痛の慰謝料として130万円と弁護士費用20万円、計150万円の支払いを命じた。またそのうち60万円は、ツタヤを運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ㈱など5社が連帯して支払うことを命じた。
本文:全約6700字のうち約5100字が
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