My News Japan My News Japan ニュースの現場にいる誰もが発信者のメディアです

ニュースの現場にいる誰もが発信者のメディアです

ブラック大学・早稲田が「非正規5年で無期転換」阻止のため偽装選挙で就業規則制定 学内労働法教授らが鎌田総長を刑事告発

情報提供
ReportsIMG_J20130421230744.gif
早稲田大学の理事を告発した首都圏大学非常勤講師組合の松村比奈子委員長
 今月施行の改正労働契約法で、通算5年勤務の有期契約労働者は、期間の定めのない契約に転換できることになったが、4261人(2012年度)もの非常勤教員を抱える早大は「本学の財政事情において無期雇用転換を受け入れる余裕がない」と、同月1日付で非常勤教員の契約を最長5年とする就業規則の制定を強行した。その手口は、大学がロックアウトされる入試期間中を狙って非常勤教員に知られぬよう公示書を投函する騙し討ち。さらに労基法では就業規則制定において過半数を代表する者による聴取が必要だが、その代表候補者から非常勤は除外されていた。首都圏大学非常勤講師組合の松村比奈子委員長と早大の佐藤昭夫名誉教授(労働法)は4月8日、早大・鎌田薫総長ら理事18人を労基法違反で東京地検に刑事告発、受理された。“早稲田ピラミッド”の底辺で、低賃金の上に雇用まで失われようとしている「高学歴ワーキングプア」の当事者5人に実情を聞いた。(告発状ほか書類5点ダウンロード可)
Digest
  • 突然配達された不可解な文書
  • 教授会の不穏な動きを察知
  • 不穏分子あぶりだしの“偽装選挙”
  • 「正規の手続きをとれない」と大学が不正を認める
  • 年収250万円未満が44%の高学歴ワーキングプアー
  • 配送センター時給850円でバイトする非常勤講師
  • 早稲田ユニオン結成は下級武士の反乱となるか

雇用を安定化するという改正労働契約法の趣旨とは真逆に、専任教授の既得権を守るため、ただでさえ不安定かつ低賃金な非正規労働者の雇用を、さらに不安定化しようとする早稲田大学のブラックぶりが明らかとなり、学内の労働法の名誉教授からも総長が告発されるという異常事態に発展しているのが本事件だ。

突然配達された不可解な文書

それは、寝耳に水のことだった。文学部の語学講師Aさんの自宅に、A4判14ページの「非常勤講師および客員教員の雇用に関する変更について」(3月25日付け)という文書が届いたのである。

複数の非常勤講師の話を総合すると、通知文書は郵送以外に、一部の人にはメールの添付文書として送信されている。

「突然のことで、驚きました。そこには(2ページ目)、『雇用契約期間の上限を通算5年とする』と書かれていたのです。いままで非常勤講師は1年更新を繰り返していたのですが、その科目や授業がなくならない限り、事実上の自動更新みたいなもので、10年も20年も教えている人が多いんです」

A氏がいうように、形式的には年ごとに契約更新はしても、無期契約に近かったのが実態である。これは他の多くの大学でも同じだ。そして今回、就業規定が初めて定められた(これまで就業規定はなかった)。

大学の非常勤講師に関しては、就業規定がないことも珍しくない。つまり、低賃金・過重労働がうやむやで続けられてきたわけだが、低賃金とはいえ、長年にわたり授業を継続してきたのだ。それが、規則制定により、5年で雇い止めになることになり、これまでよりも、圧倒的に不利益を被る可能性が高い。そうなると、生活や人生設計が大きく変わらざるを得ない。

それほど重大な決定が、前触れもなく届けられたわけで、受け取った人にしてみれば、“不幸の手紙”が配達されたような気さえしただろう。

ReportsIMG_I20130421074636.JPG
3月28日には、参院議員会館で集会を開き、全国から非常勤講師が集まった。そのときの声明文。この席上で、今回の早大の問題や、大阪大学でも契約期間最長5年が導入されようとしていることが報告された。

今回の決定の背景には、2012年8月に公布され13年4月1日に施行された改正労働契約法がある。雇用の安定を図る目的で、非正規労働者の契約が5年を超えた段階で期間の定めのない契約に転換できるようになった。早稲田大学の決定は、法の趣旨を曲解している。

A氏ばかりか、他の非常勤講師に聞いても、就業規則制定のために過半数代表者の意見聴取があったとか、その過半数代表者を選ぶ選挙があったことを誰も知らないのである

この先は会員限定です。

会員の方は下記よりログインいただくとお読みいただけます。
ログインすると画像が拡大可能です。

  • ・本文文字数:残り6,893字/全文8,089字

(上)就業規則制定にあたっての過半数代表者の信任手続きを知らせる文書。授業が終わり非常勤講師が大学に立ち入らない2月14日に講師控室に配布したと大学側は説明した。当事者のほとんどがこの事実を知らず、4月の新学期になって見た人もいる。(中)その裏面を見ると、2月4日には過半数代表者の候補者が届け出ていた。非常勤教職員の就業規則制定のための手続きなのに、7名の候補者全員が専任教員だ。(下)公示書。不信任がある場合のみ所属と氏名を書いて事務局に送ることになっている。秘密投票は守られない。そして、文書届け先は、候補者たちが所属する専任組合事務局である。つまり、全候補者は実質的選挙管理委員会から出ている人たち、ということになる。

早稲田ピラミッド。これを見ると、非常勤講師が大学内で一番厚い層だとわかる。

告発した佐藤昭夫・早大名誉教授(労働法)3月28日に行われた参院議員会館での集会で。

公式SNSはこちら

はてなブックマークコメント

プロフィール画像
sophizm2013/05/27 15:08

ブラック大学・早稲田が「非正規5年で無期転換」阻止のため偽装選挙で就業規則制定 学内労働法教授らが鎌田総長を刑事告発:MyNewsJapan

プロフィール画像
Yoshitada2013/04/23 18:14

早稲田では労働法の講義はやってないのか、新しい学派でも立てるつもりなのか、どっちだろう。

プロフィール画像
nakag07112013/04/23 13:31

鎌田先生って確か民法だよな。やはりそういう専門だと契約自由の民法帝国主義に染まってしまうのか

プロフィール画像
taraxacum_off2013/04/23 00:23

「ブラック大学・早稲田が「非正規5年で無期転換」阻止のため偽装選挙で就業規則制定 学内労働法教授らが鎌田総長を刑事告発」

もっと見る
閉じる

facebookコメント

読者コメント

林克明2014/02/07 23:20会員
通りすがり2013/08/14 21:50
2013/05/19 15:19
林克明2013/05/07 09:30会員
前田 進2013/05/05 23:37
佐々木奎一2013/04/30 00:41会員
※. コメントは会員ユーザのみ受け付けております。
もっと見る
閉じる
※注意事項

記者からの追加情報

本文:全約8100字のうち約6900字が
会員登録をご希望の方はここでご登録下さい

新着のお知らせをメールで受けたい方はここでご登録下さい(無料)